MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

休みをとりました

2012-09-24 09:19:49 | 通訳者のつぶやき
今年前半は、
滋賀での病院実習やレポートなどの
社会福祉士の通信過程をこなしながら、
職場ではベテラン相談員通訳の退職、
個人では土日にも仕事を入れているという状態で
ここにきて疲れがマックスになって動けなくなってしまいました。

で、9月になってやっとまとまって休みました。
土日祝を挟んで11連休。
1日だけ温泉ランドに行く以外は何も予定をいれず、
ずっと家でぼ~っとしていました。
こんなに「呆けた」休暇はたぶん初めてです。

旅行へ行ったり、リフレッシュするのもいいけど、
疲れたときはひたすらやすむというのもありだと感じました。

と、いうことで復活しました。
MEDINTの言語分科会が30日にあります。
今回はタイ語も増えて5言語の同日開催です。
公開講座にしているので、
たくさんの方にご参加いただけることを楽しみにしています。

皆さんも夏の疲れの出てくる時期ですので、
くれぐれもご自愛ください。

報酬と医療通訳

2012-09-10 11:07:29 | 通訳者のつぶやき
先週末はCHARMの「HIV/AIDS通訳者研修」に参加しました。
今までにも何度か書いたことがありますが、
HIV/AIDSは新しい病気なので治療や制度がどんどん変わります。
きちんと知識をフォローしておかないと通訳できません。
今回も治療と大阪市・大阪府の検査について、
治療費に関して使える福祉制度、
ハイリスクコミュニティなどについて
学ぶことが出来ました。

また、少人数のクラスだったので、
他の通訳者の方々とも打ち解けて交流できました。
いつもながら、感染症に特化して長期にわたり外国人支援をしている
CHARMさんの活動は地味だけれど大切なお仕事だと思います。

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仕事柄、○○語の通訳を捜してもらえますかという依頼を受けます。
MEDINTは原則通訳者派遣事業は行っていません。
しかし、英語、中国語といったメジャーな言葉ではない場合、
MEDINTの会員さんからご紹介することもありますし、
協力隊のネットワークを使うこともあります。

ただ、ご紹介するに当たり
報酬については責任もって確認をしておかなければなりません。

なぜなら、報酬によって仕事を受けるかどうかの選択権が
通訳者側にもあるからです。
もちろん、通訳者は守銭奴ではありません。
報酬がなくても引き受けるべき仕事は引き受けることもあります。
災害や人の命がかかっているときなどは特にそうです。

ただ、OKを出してから
報酬はなしですということになると、
気持ちとして「だまされた~」という気になるのです。
特にフリーの場合は立場が弱いので、
なかなか報酬について聞きづらい。
いや、フリーだからこそ聞かなければいけないのですが、
医療通訳の場合、先に患者さんの事情を聞いてしまうので、
少数言語の場合、それを聞いてから断るのは至難の業です。
患者さんの大変さを聞いてから、交通費も出ませんと言われると、
ここで断るのは人間としてどうか・・という気持ちになります。

ですから、できれば依頼者の方から先に
報酬や経費についての説明を
日時や稼働場所と同じようにきちんと伝えてほしいと思います。

時々「報酬はいくらですか?経費はでますか?」と聞くと
電話口の向こうで微妙な沈黙があります。
ひどいときには「え?言葉の通訳でお金取るの?」
みたいなことを言われることがありました。
ここ数年で医療通訳に経費や報酬がかかるという認識は
多くの医療関係者や行政の方々にも浸透してきています。

だから今はだいぶ減りましたが、それでも
「困った人がいて、助けるのだからボランティアでしょう」
「病院にはそうしたお金はないので自力で来てください」
と言われることもあります。
中にはポケットマネーで交通費を出してくれる方もありますが、
そんなことはいつまでも続くものではありません。
ただ、患者も治療費の上に通訳報酬を支払うのは大変です。

もし、依頼者の行政や病院もボランティアで動いていて
誰かのための支援をされているなら、
お手伝いしようという気になります。
NGO同士では実際そうしたやり取りもあります。
ただ、そういう人は「報酬はないのは申し訳ないけれど」と先にいいます。
だまし討ちのようなことはしません。
それでも頼みたい理由を伝えます。

ボランティアとは「志(こころざし)」のことであり、
報酬のことではないということを
今一度確認しておかなければいけないと思います。

家族って何だろう

2012-09-03 09:38:17 | 通訳者のつぶやき
9月になりましたが相変わらず暑い日が続きますね。
いかがお過ごしですか?

先々週の「fiebre de verano」にコメントありがとうございました。
辞書で引けない生きている言葉は
いろんな言い方ができるので、
色々なアドバイスをいただけて参考になりました。
このブログはコメントを受け付けていますので、
気づいた点があればぜひこれからもコメントをよろしくお願いします。

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困ったことがあると、家族って本当に大事だなと思います。

ソーシャルワークのキーマンは
とりあえずは配偶者だったり子どもだったりします。

完全看護の病院であっても、
こまごまとした見守りや話し相手は家族がしていることもあり
病院においても家族って大切だなと思います。

でも、病気だけでなく困ったとき外国人日本人問わず、
最近はいわゆる家族のいない人
いてもかかわりたくないと思っている人を支援する機会も
少なくありません。

病気や生活苦になると家族の関係や問題が顕在化します。

脳梗塞で麻痺が残ってしまったGさん、
年の離れた奥さんは離婚して母国に帰ってしまいました。

無職になり家賃が払えなくてホームレスになったHさん、
近所にいる子供たちも生活が苦しく援助ができません。

交通事故のIさんは
一度帰国したけれど
家族はIさんを国に預けたまま仕事や学校のため日本に戻りました。

認知症のJさんの介護では
ヘルパーさんと言葉が通じないために
孫が通訳しています。

家族に囲まれて援助してもらえる人もいれば
今まで散々家族のために働いてきたのに助けてもらえない人もいます。
支援の社会化が進んではいるけれど
やっぱり家族かなとおもう場面はまだまだ多いです。

でも、もう少し世代が進んでくると、
家族がいない、いても助ける力がない人がとても増えていきます。
日本人だけでなく外国人も日本に住んでいる限りでは同じ傾向です。

外国人だから家族の助け合いは濃厚なのは、
その国に住んでいるからであって、
日本の社会システムになじんでしまうと
家族に対する考え方も日本的になるのだなと思うと
ちょっと残念な気もします。


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