MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

11年前のブログ

2020-04-19 12:40:58 | 通訳者のつぶやき
今回のコロナウィルスの感染拡大は世界的な規模で
緊急事態宣言や都市封鎖などが起きています。

MEDINTも今のままでは通常5月に予定している言語分科会の開催は難しく
先生方にお願いして6月以降で調整をし直しています。
ただ、それも集合研修としては時期的に開催が微妙な状況です。

MEDINTの言語分科会は
台風などの災害での開催中止は近年の記憶にもあると思いますが
2009年の新型インフルエンザの時も開催を中止したことがあります。
古い会員さんは覚えていらっしゃる方もいるかと思います。
その時は、「不要不急の自粛」はあったものの、今回のような政治的な判断ではなく、
参加者に危険がないように、それぞれが判断して決めたと記憶しています。
また、当時の会場だった山西福祉記念会館さんがキャンセル料の措置をとらなかったことが
ありがたく今でもはっきり覚えています。

新型インフルエンザ~その後 2009年5月20日

当時も今と同じように、みんながマスクをして、
通訳も同行ありきではなく、保健所や病院とトリオフォン通訳体制をとりました。
思えば、あのときから遠隔通訳の重要性が理解され始めたと思います。
たった11年前のことなのに・・・忘れていることが多いですね。

当時と今の比較については
NHK解説員の方が昨年5月に新型インフルエンザから10年をテーマに
解説されている記事が、今となってはすごく参考になります。

NHK解説委員室2019年05月07日 (火)
「新型インフルエンザから10年 いまパンデミックが起きたら」
中村 幸司 解説委員

今回の感染拡大をめぐり、通訳者、相談員として気をつけていることが2つあります。

(1)情報の精査
当時と比較して、私たちの周囲にはSNSやネットの情報がとても多くなっていますが
中にはフェイクニュースやエビデンスのない個人的な見解も混ざっています。
専門職として、外国人の方々への情報提供は
新聞やNHKなどの公共放送の情報などでチェックしてから
厚生労働省や都道府県などのHPからウラ取りをして
はじめて情報提供するくらいの慎重さが必要です。
外国人の方々の日本の中の情報ソースは非常に限定的です。
私たちの言葉に惑わされてしまうことがないように発言に責任をもてるようにしましょう。
(ただし、今回の給付金30万円から10万円への転換は政府の発表であったにもかかわらず
簡単に変更になったので、今後コミュニティの中でかなりの混乱を招くことが予想され、頭が痛いです)

(2)他専門職への敬意と配慮
医療機関や保健所、日常インフラを支えるみなさんは
日々、感染の危険性やストレスを抱えながらお仕事をされています。
だから電話をしたり、通訳をしたりするときに
いつもの5割増しで感謝の言葉を伝えるようにしています。
また、通訳でできることは限られてはいますが
私たちのできることをきちんとすることで現場のお手伝いになればと思います。

こうした時期は、
個人が社会のために何ができるかの視点で過ごす必要があります。
自宅で待機していることも、感染を広げない大切な活動です。

それと、是非、今の時期のことを記録に残しておいて下さい。
未来の役にたつとおもいます。

非常事態宣言だ

2020-04-09 03:19:08 | 通訳者のつぶやき
おととい、新型コロナウィルスをめぐる非常事態宣言がでました。

スペイン語学習者として
「ストライキ」や「クーデター」は比較的早く覚える単語ですが、
「非常事態宣言」という単語は今回はじめて使いました。
今月に入ってから、相談は「いつでる」「どうなる」というものが多かったので
いつものようにペルーの人たちから自然と教えてもらう形になります。

彼らの多くは日本のニュースもみてるけど本国やヨーロッパ、アメリカのニュースを見ています。
だから、なかなか非常事態宣言の出ない日本に不安を覚えたり
非常事態宣言イコール都市封鎖や外出禁止令というイメージを持っているような気がします。
一番多かったのは、非常事態宣言がでたら仕事に行かなくていいのかというものでした。
「いや、仕事は・・・会社が来るなと言わない限り、行かなければいけないみたい」
「休んでもいいけど、自分で休んだら有給休暇になってしまうみたい」と。
もちろん、子供が学校を休むことで親が仕事に行けないときに保障される
「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」
は4月以降も延長になっているため、それを適用してもらうために会社に説明することはありますが、
それ以外は仕事を休んで家にいなさいというものでもなさそうです。
また、学校も2転3転しているため、広報などの印刷した配布物では間に合わず
日本語のメールが読めない人については
電話での連絡の通訳が多くなります。
毎日、職場に着いたら電話が鳴り始め、昼休みの時間は鳴りっぱなしでとれないこともあります。

兵庫県国際国際交流協会の相談窓口では
来週13日から面談による相談を取りやめます。
リスク回避だけでなく、感染により窓口を閉鎖させてしまっては元も子もないので
せめて電話での相談・通訳を継続させるための苦肉の策です。
もちろん、平時であれば面談での相談は大切です。
ただ、こうした非常時には100か0かではなく
できることをきちんと全うするという発想が必要だと思います。
一人の面談にかかる時間を、少しでも多くの電話による問い合わせに割きたいという思いもあります。

医療通訳も同行ありきではなく、広く電話や遠隔通訳を使うことで
通訳者のリスクや移動の手間を省いで、少しでも多くの通訳ができるように
お互いに工夫をしていくことが大切です。
電話機による感染のおそれもあるため、最近では少し聞きづらいですが
設定をスピーカーにしてもらい通訳しています。

非常事態宣言を受けて、
今は時間がたくさんあるので、老後の楽しみの前倒しをしています。
先日は前から見たかった「キングダム」のアニメ版を一気にみました。
本も前から読みたかった脳科学の本と行動経済学の本をまとめて読んでます。

職場で、家庭で、ボランティアでもそれぞれの持ち場で頑張るしかない状況ですが
一日も早い終息を祈り、皆さんとまたお会いできる日を楽しみにしています。