MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

先週は静岡県の研修に行ってきました

2014-08-25 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
静岡県の多文化ソーシャルワーカー育成研修に参加しました。

静岡県では、市町や地域に通訳や相談員を設置しているケースが多いのですが、
実際に社会福祉協議会の担当者や生活保護担当、
DV被害者支援者やスクールカウンセラーといった福祉の実践者の方々と
連携してケースにあたることが少なくありません。

こうした福祉専門職の方々にも外国籍住民ケースに熟知してもらい、
ケース検討をスムーズにするためにたくさんの地域に
多文化ソーシャルワーカーを育成したいという県の考え方です。

今回は自治体国際化協会からの派遣でしたが、
主催は静岡県と静岡県社会福祉協議会の共催でした。
暑い8月の研修にも関わらず50名を超える方々が参加してくれて、地域のニーズと熱意を感じました。
外国人生活相談員は、本当に様々な相談を受けています。
なぜなら「外国人の母子」「外国人の高齢者」「外国人の障害者」「外国人の生活保護受給者」などと
要支援者に「外国人」がついたとたんに、言葉の問題だけでなく文化の問題や
制度説明の難しさもあって外国人生活相談の窓口にまわってくるからです。
でも、外国人生活相談窓口には予算も権限も足もない。
なので、専門機関との連携なしには問題解決に進めないのです。
でも、どうしても「外国人」がつくだけで専門職の方々は及び腰になるのでしょうか。

本当に「言葉の壁」や「制度の壁」「文化の壁」はあるのか?
それはこちら側が勝手に作っているだけじゃないのか?
相談者を日本人に置き換えたらどうか?
本当に外国籍住民特有の問題なのか?
考えていけば、外国人ならではの問題は実はそんなに多くない。
そして連携が必須であることを認識すれば
専門窓口と外国人窓口がうまく役割分担することができるのです。

具体的な話をしすぎてかなり消化不良になってしまいましたが、
今後、こうした研修が継続することを望みます。


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医療通訳士のありかた3

2014-08-11 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
真夏の暑さを覚悟していたらまさかの雨・雨・雨ですね!

窓口にも風邪をひいた人が多いです。
建物内は冷房が効いているので体温調節が大変ですね。

先週の続きです。

医療通訳士協議会のなかで、
「医療通訳者のあり方を考える委員会を作ろう」という案が出ています。
医療通訳者自身が自分たちのことを考える時期にきたのだと思います。
実はもっと前から通訳者は通訳者同士でいろいろと話をしてきているのですが、
それでも、まとまることはあまりなかったと思います。

医療通訳者にかかわらず
通訳者はどちらかというとチームプレイより
一匹狼的で職人気質な仕事を得意とする人が多いような気がします。
通訳として会社などに所属するよりは、フリーランスとして仕事を受けている人や
スポットで仕事をする人が多いためだと思います。

「医療通訳の制度化に向けて声をあげましょう」と言っても、
様子見の人も少なくないと思うし、
まだ職業となっていない業界で活動をすることはリスクでもあるし、
仕事に結びつかないのであれば、そんなに時間を使うわけにもいきません。
医療通訳で食べていける人たちはまだまだ日本には少ないです。

シンポジウムや学会に出席して、
「どうして医療通訳者はこうした場所にこれないの?」と聞かれることがありますが、
こうした場所に来るには時間もお金も必要です。
自分たちの仕事に興味がないわけではありません。
それこそが、医療通訳の問題点なのですが、それに気づいてくれる人はあまりいません。

もちろん現場での必要性をわかっている人たちはたくさんいます。
声をあげたい、あげなくてはいけないと思っている人たちもたくさんいる。
でも、私も含めて行動するだけの力がないのも確かなのです。
たとえばひとつの遠方の学会に出席するために
月生活費の半分が消えるのであれば誰が簡単に出席できるでしょうか。

ここで医療通訳者自身が声をあげる方法を考えなければ、
結局は今と同じ与えられた制度の下で働く人になってしまいます。
ただ話し合いよりも今目の前の通訳に時間を割きたいと思う。
それが私たちにとってのジレンマなのです。

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