MEDINT(医療通訳研究会)便り

医療通訳の制度化を目指す医療通訳研究会(MEDINT)のコラム
~みんなで 医療通訳者を増やし、守り、育てよう!~

今年もお世話になりました

2006-12-27 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
まだ暖かくて年の瀬の気がしませんね。
医療通訳研究会(MEDINT)も派手なことは何もありませんでしたが、皆さんのお力添えで地道に活動を続けることのできた一年でした。ありがとうございました。
来年は、第二回医療通訳を考える全国会議2007が京都で開催されるなど、医療通訳にとって大きな飛躍となる年になるでしょう。
医療通訳研究会(MEDINT)は、今までの大阪・神戸における研修会とネットワーク作りにプラスして、関西に住んでいない方々も学べるような環境づくりに力を入れていきたいと思っています。
また、今まであまり行ってこなかった記録作りにも是非挑戦していきます。来年も、医療通訳研究会(MEDINT)をよろしくお願いします。

皆さん良いお年を
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トリオホン

2006-12-20 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
私の通訳は電話での通訳が多いということは以前書きました。
同行通訳よりは患者さんも医療者も心細いだろうなぁということは理解していますが、兵庫県全域を平等にカバーし、たくさんの件数をこなすには、今のところ電話通訳がベストではなくてもベターな方法だと思っています。
その中でも力を発揮してくれるのが、NTTのトリオホンという三者通話システムです。皆さんご存知ですか?別にNTTの宣伝ではないのですが、使い勝手の良いシステムなので少し紹介します。
普通の電話は2者間の通話だけです。AさんとBさんの二人がお互いに話をしているという普通の電話の会話です。そこで基本料金(月500円)と通話料をプラスするだけ(要申し込み)で、3者同時に話せるシステム(要フック機能つき電話)にできるのです。全部の電話がトリオホンに加入する必要はありません。そのうちの中心になる一台がトリオホンであれば、他の2台は携帯電話でも大丈夫です。簡単にいえば、Aさん、BさんがしゃべっているところにCさんも入ってきて、同じ場所で同時に話している感じになります。3人ともに他の2人の声が聞こえていますし、時差もなく同時にお互いの声を聞くことができます。10年以上使っていますが、使えば使うほど電話通訳の欠点をカバーしてくれる優れものです。
少しわかりにくいので、使い方の例をあげてみましょう。患者が自分の携帯PHSで通訳に電話をかけ、通訳(*1)がトリオホンで病院の固定電話にかけます。すると、目の前にいる患者と医師の間に電話を通じて逐次通訳が出現します!医師はあくまでも患者に向けて話をしていても、声が電話を通じて通訳に届いているので、通訳はその言葉を即座に通訳し、患者に伝えます。患者は少しのタイムラグで医師の言葉の翻訳を聞くことができます。通訳は待ち時間もありませんし、必要以上の患者情報も聞いていない代わりに診療通訳に専念できます。
もちろん、これは熟練の通訳者を確保できている場合に限られます。電話通訳は、患者や医師の顔や診療の様子を見ずに通訳するので憶測がききません。当たり前のことですが、言葉を聴いてその言葉だけを忠実に訳す必要があります。また、熟練していなければ電話で外国語を聞き取るのは難しいですね。
しかし、メリットもあります。それは、通訳の拘束時間が短いことと交通費などの費用がかからないこと。患者だけでなく通訳者のプライバシーも守れることなどです。
来年2月に開催される医療通訳に関する全国大会では、この電話通訳に関する分科会が開催されます。同行サポート通訳のみならず、様々な可能性を医療通訳の中に見つけていく必要がありそうです。

*1 この場合、通訳の電話機がトリオホン対応になっています。

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感染症の通訳

2006-12-13 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
電車に乗っていると、必ずくしゃみや咳をしている人を見かける季節になりました。
今年はインフルエンザよりノロウィエルスの脅威のほうが目立っているようですが、それでもこの季節は風邪には充分な注意が必要ですね。体力をつけるには充分な栄養補給!と美味しいものばかりたべていると体重計にも要注意ですが(笑)。
ところで以前、結核通訳の時にも書いたのですが、接触しなくても感染する感染症(この表現が正しいかどうかわかりませんが)の通訳を現在の体制で行うのはとても大変です。
医療従事者と違い、医療通訳者は感染に対しての知識も乏しいですし、予防接種や健康診断なども充分ではありません。個人でやっている通訳ボランティアの場合、通訳業務の中で感染した場合の保険や休業補償などもありません。医療通訳は、現在NGO/NPOスタッフやボランティアに頼る状況で、私も含めて必ずしも経済的にゆとりがあるわけではありません。また、こうした感染リスクが優秀な通訳者の参入を拒んでいる理由のひとつです。通訳者を同席させるのが危険だと判断される場合は、電話通訳に切り替えるなど柔軟な対応が病院にも求められます。
私達の先輩であるみのお英語医療通訳研究会の方々は、現在市立泉佐野病院の国際外来で医療通訳活動をされています。そのスタッフの方から昨年聞いたのですが、病院が通訳者にインフルエンザの予防接種を行っているそうです。やはり病院が医療通訳に取り組むということは、こうしたケアまで気を配るのだなと感心しました。
何度も書いていますが、医療通訳をボランティアに頼る状況はすでに限界にきています。医療通訳ができる人材は限られています。感染症のケースだけでなく、通訳環境を整え、研修の機会を増やし、通訳者が参入しやすい環境を作ることが必要なのです。
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説得

2006-12-06 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
ある病院から「言葉のできない外国人がいるんですが、通訳をお願いできますか」と依頼されました。通常の診察は、日本語と英語で可能なのだけれど、どうしても通じないところがあって母語で通訳をして欲しいとの要望です。なんとなく不思議な感じがしたのですが、通訳をはじめてみると、違和感は的中しました。
異なる言語を母語とする恋人同士によくあるのですが、恋がうまくいっているときは、母語が違っても意思疎通が驚くほどできているのに、恋がギクシャクするようになると急に話が通じなくなる。それをお互いの言葉のせいにして、通訳を入れれば話が通じるようになると勘違いしてしまうケースです。
案の定、病院は患者に転院を促し、本人はそれに同意しないというケースでした。お互いに相手の言い分は充分理解できています。ですので、これは言語の問題ではなく、お互いの主張の問題です。こういうとき、通訳は本当に困ります。お互いが通訳を使えば、自分の主張が通る、解決すると強く信じているからです。しかし、通訳者は調停委員でも仲介者でもありません。通訳をしても話が最初からかみ合っていないので、お互いが強い主張を繰り返すのをただ訳すだけで、最後にはどちらも自分の意見が通らないので、下手な通訳のせいだと思い込んでしまう始末です。
医療者側にユーザートレーニングが必要だという理由のひとつに、これが言語の問題で通訳をいれれば意思疎通ができる問題なのか、それともその人の考え方や文化の問題なのかをしっかり見極めて通訳を使うべきかどうかを判断してほしいというのがあります。
日本における通訳資源は未だ多くありません。医療者側もできるだけ通訳なしでの意思疎通の努力をしていただいて、本当に必要なところでトレーニングされた医療通訳者を使ってもらうというのが理想なのです。そのために医療者側のユーザートレーニングは医療通訳においては欠かせないことなのです。

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