来年の1月で阪神淡路大震災から10年になります。被災地では今でもその過ぎた時間の感覚がつかめず戸惑いを感じることがあります。
私がスペイン語通訳をはじめて2年目の年に震災は起こりました。震災の年は、義捐金の申請からはじまり、避難所から仮設住宅への転居、福祉資金の貸付、様々な手当への申請など、本当にたくさんの手続があり、相談窓口は毎日ごったがえしていました。
医療に関する通訳もかなり多かったことを覚えています。当時、居住環境の悪化により体の不調を訴える方々がたくさんいました。なかには原因のわからない体調不良で、内科医でも耳鼻咽喉科も産婦人科でも、どうすることもできない人たちがいたことを覚えています。
今、考えると、その人達は震災のストレスで心を病んでいたのだと思います。
幻聴に悩まされる人のケースでは、本当に震災時に機械が倒れてきたので、聴覚の機能の問題だと思っていたのです。しかし、耳鼻咽喉科で診察してもらっても原因はわかりませんでした。結局「ずっと、その雑音とつきあっていくしかない」と我慢しました。後で知ったことですが、彼は慣れない仮設住宅での隣人関係に悩んでいました。
また、他の女性のケースでは、どんな検査をしても体の不調の原因がわかりませんでした。本人は「ビタミン剤でもなんでもいい。少しでも楽になる薬が欲しい」と切実に医師に訴えました。しかし、内科が専門の医師には原因がわからないのに薬を出すわけにはいかないと言われました。
もし、その時私が阿部先生(第3回の心療内科・精神科の講師)のお話を聞いていたら、心療内科に行ってみましょうかと声を掛けられたかと思います。「精神科」というと驚く人もいるのですが、眠ること、落ちつくことが必要な人には、楽になれるかも知れないと伝えることが出来たのにと思います。生き残った人も、震災で大きなショックを受けて、それでも他の被災者に比べると何とか自分も家族も生き延びることが出来てとても弱音を吐けるような状況ではないと感じながら暮らしていた時期です。疲れも出たでしょうし、眠れないことや心労もあったと思います。心の感受性は様々なので、人によっては、小さな事でも体に変調をきたしてしまったのでしょう。どんな人にとっても阪神淡路大震災は、大変なショックとストレスでした。ましてや言葉が十分でない、地震を経験したことのない国の外国人には本当に怖かったと思います。
彼らが発していた、身体と心のSOSをキャッチするのは、医療通訳の仕事ではありません。しかし、医療通訳が知っていることが、時には外国人患者のための良い情報になることも事実なのです。
私がスペイン語通訳をはじめて2年目の年に震災は起こりました。震災の年は、義捐金の申請からはじまり、避難所から仮設住宅への転居、福祉資金の貸付、様々な手当への申請など、本当にたくさんの手続があり、相談窓口は毎日ごったがえしていました。
医療に関する通訳もかなり多かったことを覚えています。当時、居住環境の悪化により体の不調を訴える方々がたくさんいました。なかには原因のわからない体調不良で、内科医でも耳鼻咽喉科も産婦人科でも、どうすることもできない人たちがいたことを覚えています。
今、考えると、その人達は震災のストレスで心を病んでいたのだと思います。
幻聴に悩まされる人のケースでは、本当に震災時に機械が倒れてきたので、聴覚の機能の問題だと思っていたのです。しかし、耳鼻咽喉科で診察してもらっても原因はわかりませんでした。結局「ずっと、その雑音とつきあっていくしかない」と我慢しました。後で知ったことですが、彼は慣れない仮設住宅での隣人関係に悩んでいました。
また、他の女性のケースでは、どんな検査をしても体の不調の原因がわかりませんでした。本人は「ビタミン剤でもなんでもいい。少しでも楽になる薬が欲しい」と切実に医師に訴えました。しかし、内科が専門の医師には原因がわからないのに薬を出すわけにはいかないと言われました。
もし、その時私が阿部先生(第3回の心療内科・精神科の講師)のお話を聞いていたら、心療内科に行ってみましょうかと声を掛けられたかと思います。「精神科」というと驚く人もいるのですが、眠ること、落ちつくことが必要な人には、楽になれるかも知れないと伝えることが出来たのにと思います。生き残った人も、震災で大きなショックを受けて、それでも他の被災者に比べると何とか自分も家族も生き延びることが出来てとても弱音を吐けるような状況ではないと感じながら暮らしていた時期です。疲れも出たでしょうし、眠れないことや心労もあったと思います。心の感受性は様々なので、人によっては、小さな事でも体に変調をきたしてしまったのでしょう。どんな人にとっても阪神淡路大震災は、大変なショックとストレスでした。ましてや言葉が十分でない、地震を経験したことのない国の外国人には本当に怖かったと思います。
彼らが発していた、身体と心のSOSをキャッチするのは、医療通訳の仕事ではありません。しかし、医療通訳が知っていることが、時には外国人患者のための良い情報になることも事実なのです。