MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

寒い年越し

2009-12-23 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
外国人相談(私の本職)関連のお話をするときに、
必ず言う言葉があります。

それはこの仕事をはじめて17年、
今年が今までで一番厳しい年だということです。

もちろん、神戸なので阪神淡路大震災もありました。
でも、阪神淡路大震災の時は皆が被災者で、
隣人の困窮や生活の大変さは想像がつきました。
お金持ちも貧乏人も外国人も皆同じ被災者でした。
だから皆がとても優しかったのです。
なので、生活は苦しくても、
心が折れることは余りありませんでした。

でも今回の不況には大きな温度差があります。
ある日本人の方が窓口で今年のボーナスが10万円減ったと愚痴られました。
もちろんこの方にとっては大変なことかもしれません。
でも、この窓口に来る外国人労働者のほとんどはボーナスなど
もらったこともないのです。
この日本人の方には悪いですが、
あるだけいいじゃないですかと言ってしまいました。
(もちろん私もボーナスなどもらったことがありません)
ボーナスをもらえないことが当たり前の状況は正しいとはいえませんが、
目の前の人にはボーナスすらないことに想像が及ばないのも悲しいことです。

お給料が下がったという愚痴には仕事があるだけいい。
貯金ができないという愚痴には生活だできるだけいいと思ってしまいます。

ある日本人の若者が外国人労働者の困窮の状況をみて、
どうして貯金しないのかといいました。
貯金しない人が悪いから今の困窮は仕方ないと。

でも時給700円で毎日夫婦でまじめに働いて、
子どもを二人養って、
高い国民健康保険料や住民税を支払って、
アパート代も支払って
本国の親に月3万円仕送りして、
貯金ができるでしょうか?

本当に貯金をしなかった人がいけないのでしょうか?

不況といっても
普通に暮らすことのできる人が大半です。
これは「自己責任」なんでしょうか?

12月は神戸でも多くの外国人労働者の解雇があり
不況ではなく労働者の構造転換が図られています。
もっと安い外国人労働者に、同じ賃金なら若い外国人労働者に。

窓口で相談を受けるとき、
「どうして貯金しなかった」
「どうして日本語を勉強しておかなかった」
「どうして資格をとっておかなかった」
「どうして公営住宅にうつっておかなかった」
どの言葉も今となっては無意味です。
言いたくなるけれど、
そのことを一番知っているのは外国人本人なのです。

過去のことではなく、
今を見てこの現状をどう打破するか考えなければいけません。

I先生に経済も大変だけど
医療通訳がそれより優先されないとは思わないといわれました。
もちろん理解できます。
でも目の前の生活がどうしても私の中では優先されてしまいます。
医療の質よりもまず病院にたどり着くことが大切だと思うケースが増えています。
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社会福祉士というお仕事

2009-12-09 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
先週末(12月4日~5日)は東京で開催された
日本社会福祉士会の滞日外国人支援委員会が主催する研修会に参加しました。

社会福祉士という国家資格は同会のHPによると
「専門的知識及び技術をもって、身体上もしくは精神上の障害があること、または環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又たは 医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連携及び調整その他の援助を行うことを業とする者」とされています。

様々な福祉サービス提供の中には
もちろん外国人クライアント(利用者)もはいっているので
この「滞日外国人」関連の委員会と研修会があるのです。

参加者の方々は主に医療・介護現場で働く方だったのですが、
生活保護の現場や障害者関係の方々も参加されていました。

とても居心地がよく、
仕事の内容も似ているので私自身も勉強になりました。
クライアント第一という視点が
私たち通訳・相談員と同じだと感じました。

外国人の支援には「在留資格」の理解が必要になります。
「在留資格」をよく理解した上で、
日本の制度や福祉サービスについて活用していく必要があります。
簡単なことではありませんが、
利用者のことを考えると知識は多ければ多いほうがいいので、
皆さん真剣に研修に参加されていました。

今までお会いしたMSW(メディカルソーシャルワーカー)の方々は、
本当にいろんな方がいて、どちらかというと
医療費の支払いや生活環境に問題の多い外国人は敬遠されがちでした。
でも、ここに参加されている方々は、
外国人の問題も何とかしようという思いがあって、
ありがたいなと思いました。

医療通訳に似た人たちがまだまだいると思います。
患者を一番に考えてよりよい医療環境を作ること。
これは社会福祉士の方々も同じということを知り、
これからもSWの方々から学ばせてもらおうと思いました。
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健康診断

2009-12-02 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
先日、自分の健康診断に行ってきました。

健康診断を受けるとき、
いつもどうやって説明するかな、訳せばいいかなと
頭の中で思いながら受けているのですが、
時々通訳が難しいなと思うのが「バリウム(胃透視)検査」です。

日本に来てはじめてバリウム検査を受ける人も少なくないため、
みんな始めての時はびっくりします。

私の前に受けたおじさんは「拷問や・・・」といいながら出てきました。

(美味しくない)白い液体を飲んで、
ゲップを我慢して(ゲップをしたら怒られて)、
指示に従って台のうえを転げ周り、
時には逆さ吊りになって・・・・。
はじめて受けたときには何が起こったのだろうと思いました。

「右回りで2回転」とか
「身体は右ひねりで顔だけ上」くらいなら訳せますが、
「気持ち左、はいっ!そこ」はライムラグがあると困ります。
もちろん「気持ち左」って直訳できません。
「かるーく右向いて」「こころもち下」「うつぶせの後右の腰を浮かす」とか
日本語って豊かだなと思う瞬間です。

皆さんも是非1度検査を受けながら
検査技師さんの言葉を訳してみてください。
拷問(?)も少しは楽にこなせるかもしれません。

あるペルー人がバリウムの後の下剤の意味がわからず、
バリウムを出さなかったために腹痛を起して大変だったと言っていました。
多くの機関では検査技師さんの前で下剤を飲むようにします。
ただこのケースは渡された下剤の意味がわからず飲まなかったか、
便秘気味で最初の下剤が効かなかったが2度目の下剤を飲まなかったか
どちらかだと思うのですが、どちらにしてもお気の毒でした。

私がパラグアイにいる時は、
健康な人が検査を受けるということはあまりなかった気がします。
だから、日本の職場の検診や集団検診ではじめて検査を受けた人も
少なくないのではないかと思います。

健康な人が受ける検査なので、
言葉のトラブルはあまりないと思われがちですが、
検査を受けなれていない場合は、
きちんと言葉で説明しなければトラブルになります。

たかが検査、されど検査です。
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