MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

ファックスの利用法

2005-04-13 12:14:11 | 通訳者のつぶやき
医療通訳はいつでも同行できるわけではありません。遠方であったり、通訳者との時間があわなかったり、通訳費用・交通費の捻出が難しい場合などは医療機関側、患者側ともにいろいろ工夫をしています。意外と思われるかもしれませんが、そうした場合一番私たちがよく使うのはファックスです。

朝一番に病院に行きたいとします。すぐに診察してもらおうと思えば、できるだけ簡潔に詳細に症状を伝える必要があります。そんな時、A4一枚くらいの分量でここ数日間の子供の症状について電話で聞き取り、日本語でまとめて本人にファックスで送ります。ご本人は、その紙をもって病院に駆け込むと受付もスムーズにはこびます。時には、受付で症状を説明し、看護師にまた説明し、医師にもう一度説明するということがでてきます。そんな時、紙にまとめているものを持っていれば便利です。ただし、この紙はご本人が医師に伝えたい情報であり、必ずしも医師が本人に聞きたい情報ではないことに注意しておかなければなりません。この情報は「問診」ではなく、あくまでも「患者の訴え」と考えるべきです。それでも時間短縮にはなります。

また、医師や病院に「これはちゃんと読んで置くように」と紙を渡されることもよくあります。日本語のわかる人でも文字は難しいため、そうした文章もファックスで送ってきて電話口で説明します。これは薬の副作用説明であったり、入院の手引きであったり、時には病院がおこなうアンケートであったりもします。私なら、ろくに読まないと思うような小さい字の文章(本当はきちんと読んでおかなければいけないのですが)でも、もしかしたら大切なことが書いてあるかもしれないと思うと気になって仕方がないというのが人情でしょう。そうした文章を丁寧に翻訳して説明することで病気に対する不安を少しでもやわらげることができます。

「通訳がいない」と嘆く前に、何らかの形でコミュニケーションをとるアイデアを考え出すのも大切だと思います。
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