MEDINT(医療通訳研究会)便り

医療通訳の制度化を目指す医療通訳研究会(MEDINT)のコラム
~みんなで 医療通訳者を増やし、守り、育てよう!~

支えられて9年

2011-10-31 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
MEDINTは今年10月で9歳になりました。

事務所も持たず、専従職員もいなくて、
きめの細かい活動はできませんが、
息長く医療通訳の制度化に向けての活動を
亀の歩みで進めてきました。

医療通訳研究会(MEDINT)を立ち上げるまで(1)
医療通訳研究会(MEDINT)を立ち上げるまで(2)
医療通訳研究会(MEDINT)を立ち上げるまで(3)
その中で多くの方々に支えていただいています。

そもそも医療通訳研究会(MEIDNT)が誕生したのは、
AMDA兵庫(現AMDA兵庫県支部)とのかかわりからでした。
その経緯については以前ブログで書きましたが、
今年、AMDA兵庫県支部が13歳を迎えるに当たり
ひょうご国際プラザで写真展を開催しています。
詳しくは こちら

期間:平成23年11月1日(火)~11月25日(金)
       平日 9時~20時(土曜日は17時まで) 日曜・祝日休館
会場:ひょうご国際プラザ 交流ギャラリー(国際健康開発センタービル2F)
入場:無料

MEDINTも活動写真と資料の展示を
行っていますので、よろしければお立ち寄りください。

それから、
MEDINTでは今年度コープともしびボランティア振興財団
活動助成をいただいています。
この活動助成はまちの小さなボランティア組織を支えることを目的としたもので、
助成を出すだけでなく、情報や広報などのお手伝いもしてくださっています。
今月のコープこうべの機関紙「きょうどう」に
医療通訳研究会(MEIDNT)の活動風景が掲載されています。
掲載記事のPDFは こちら
こうした記事にしていただくことも
私たちにとってはとても大きな力になります。

一人でも多くの方に医療通訳のことを知ってほしいし、考えてほしい。
医療現場にいる人と外国人支援をしている人だけの問題ではなく
身近な隣人の問題としてとらえてほしいと思っています。

私自身も相談員通訳として働いているので、
大きなことはできませんが、
こつこつと皆さんの支えを受けながら続けていこうと思います。
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MEDINTシンポジウム「外国人医療と看護教育」

2011-10-24 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
23日(日)医療通訳研究会(MEDIMT)看護部会主催の
シンポジウムが神戸日赤で開催されました。

看護師による看護師のための看護師の
シンポジウムがコンセプトだったのですが、
患者を思いやる気持ちが溢れるあたたかい
シンポジウムでした。

最初、私たち医療通訳者は、
外国人医療の当事者ではないと言われてきました。
医療者と外国人患者が当事者です。
でも、言葉の問題がある場合には、
医療通訳の存在は不可欠であり、
その医療通訳をどう使うかがとても重要になってきます。

医療現場からは相変わらず
「誰でもいいから通訳連れてきて」
「通訳がいなかったら診療しません」と言われて
せつない思いをします。

そんな時、よく看護師さんに助けられました。

看護師は私たち医療通訳者に一番近い人たちです。
なぜならまず患者を見ようとするから。
患者の側に立って考えようとするからです。
私たちと一緒だなあと思うことが多いのです。

だから、私たちはまず看護師の人たちと
理解しあいたいと思います。

もちろん、そこから様々な医療職の
方々と外国人医療を一緒に考えていきたいです。

今回、外国人医療を議論する看護師さんたちを見て、
皆さんなんとかしたいと思ってくれているのだなと
うれしくなりました。

患者当事者として中国人の方が
「言葉の問題じゃなくて気持ちの問題。
はじめてのお産でお世話になった看護師さんには
今でもお礼を言いたい気持ち。」
とおっしゃっていたのが印象的でした。

通訳者がいうのも変ですが、
実は言葉よりも気持ちのほうがずっと
通じるものだということを
知ってほしいと思いました。







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方言の効能

2011-10-17 11:24:19 | 通訳者のつぶやき
日本語のよくできる外国人から
時々「この日本語はどういう意味?」と聞かれます。

その場合はたいてい、辞書に載っていない関西方言であることが多いです。
「しゃあない」は「仕方ない」で「No hay otro remedio」
「かんにんな」は「ごめんなさい」で「Perdoname」

その地域に住んでいれば、日常的に使う言葉ですが、
辞書などには掲載されていないし、
日本語が上手になると話者のほうも遠慮なく話すので、
そうした地域特有の言葉が入ってきます。

直接話者に聞きにくいので、
メモしておいて後で相談窓口に聞いてくることも少なくありません。

私は18歳から10年間、関西から離れていたので、
使う状況によって、関西弁と標準語が切り替わります。
通訳をするときはできるだけ標準語で話すことを心がけますが、
交渉ごとになると関西弁を活用することもあります。

関西弁を使うと言葉がマイルドになることと、
距離が近づくと同時に関西弁でしか表現できない言葉もあります。

18歳ではじめて東京で暮らし始めて、
困ったことがありました。
「●●しはる」という言葉があるのですが、
これを標準語に直すことができません。
「する」と「される」のちょうど中間、
柔らかい日常使いの丁寧語です。
これがなかなか難しくて口ごもることも多数。
東京ではできるだけ関西出身であることを
かくして暮らしていたので(?)
次第に口数も少なくなっていきました。

事務的な通訳をするときは、できれば標準語でお願いしたいのですが、
時には暖かい方言を話すことで
親近感を醸し出す方もいらっしゃるので、
その空気を通訳するのも悪いものではありません。
コミュニケーションは空気が大切。
方言の効能も大切にしたいと思います。

最近くすっと笑った1冊
かんさい絵ことば辞典

こんどの日曜日はMEDINTシンポジウムです。
詳細は こちら
たくさんの方のご参加をお待ちしています。
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通訳を使う技術

2011-10-10 09:53:21 | 通訳者のつぶやき
自分が通訳するようになって「通訳する技術」のほかに、
「通訳を使う技術」があるなぁと思います。

通訳をしていると明らかに
通訳しやすい言葉を話す人と
通訳しにくい言葉を話す人がいます。

その違いは「言葉に対しての配慮」だと感じます。
言い換えれば、会話相手に対しての配慮です。

私が一番初めに「通訳」に出会ったのは、
20年以上前、協力隊から帰国してすぐの帰国報告会でした。
日英両語で開催するシンポジウムの中のコーナーだったので、
同時通訳がつくので事前に原稿を提出するようにと言われました。
通訳なんで、どんな言葉でも通訳できるだろうから(ああ!勘違い!)、
なぜ事前に原稿が必要なのだろうと思いました。
だから、途中から完全に原稿を離れて好きなことをしゃべりました。
農業の話だから、農薬の名前とか珍しい作物の名前とか、
地名とかばんばん出てきます。

終わってから通訳さんにとても通訳しづらかったと苦情を言われました。
その時はどういう意味だか分かっていなかったのですが、
自分が通訳をするようになって、
ああ、あの時の通訳さんには悪いことをしたなあと思います。
ごめんなさい・・・・。


通訳は万能マシーンではありません。
準備も必要ですし、専門用語などは事前に勉強していきます。
また、フレーズを切らない長い話は訳すとき大変ですし、
休憩を取らずにだらだらと話し続けられるのも堪えます。

国際化する日本では、
これから通訳の使い方を人生のどこかで勉強する機会が必要ではないかと思います。
私は専門教育を受ける大学が最適だと考えます。
医学部だけでなく、経済学部や法学部など
コミュニケーションの要には英語が話せることもいいけど、
アジアや中南米など英語以外の国の人と話すには
やはり通訳を上手に使うことが大切になってきます。

「通訳の使い方」が必須科目になる日が来るといいなと思っています。





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多文化間精神医学会に参加しました

2011-10-03 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
金曜日から東京へ。

震災で延期されていた
多文化間精神医学会の総会に参加しました。

この学会は以前もご紹介したことがありますが、
精神科医療と看護にかかわる人たちを中心とした学会で、
外国だけでなく、さまざまな文化間の精神医学を考えます。
実践的なテーマも多く、医療通訳が聞いてもとても参考になります。

今回の学会では子供の発達障害に関するトピックが多く取り上げられていました。
ラテンアメリカの子供たちに関するシンポジウムも行われ、
外国人の親の障害受容の問題や少年院にいる子供たちの教育問題、
母語と日本語の問題など様々な視点から「こころ」について議論されました。

A先生とお話していた時のこと。
A先生は外国人患者をたくさん受け入れていらして、ご自身も外国語を話されます。
先生曰く、
精神科の医療通訳者には医療通訳だけでは足りない。
その人が治療していくうえで、またリハビリしていくうえで、
生活すべてがかかわってくる。
だから精神科の医療通訳は司法通訳も教育通訳も
行政通訳もできなければならない場面が多い。
医療場面の通訳だけでは足りない。
だから、コミュニティ通訳全般で議論をすることが望ましいと。

さすが現場を持っている先生の話だと思いました。
実際の精神科にかかわる医療現場ではそうだと思います。
診察室の通訳だけでは終わりません。

医療通訳者は患者のすべてを見て通訳をします。
胃や足といった部分だけを見ているわけではありません。
と同時に診察室の時間だけで終わるものでもなく、
会計や薬の処方、時には生活保護や高額医療費まで、
何らかのお手伝いが必要なことが多いのです。
学ぶことは本当にたくさんあります。
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