MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

医療通訳者を「使う」

2018-02-14 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
ある方から「医療通訳者を使う」というのは
とても上から目線でよい表現ではないのではという指摘を受けました。

そうですね。
医療通訳者以外の方が使うと少し違和感があるかもしれません。
チーム医療の中にいるのだから、医療通訳者も医療者と対等という声もあるでしょう。
この「使う」という言葉が嫌いな人もいるとおもいます。

でも、私達医療通訳者は
基本的には医療者と患者・家族の間の言葉を正確に訳し
コミュニケーションを円滑にするという役割を果たしています。
私達が診断したり、施術したりとか、ケアしたりしません。

もちろん、コミュニケーション支援という立場で
外国人医療に貢献していることは確かですが、
私達が治療をしているのではないと思っています。
そうでなければ、通訳者が自分の言葉で勝手にアドバイスしたりとか
家族が担うようなケアを通訳者に頼むというケースが当たり前になってしまいます。


通訳者は発語する人の言葉に従って
言葉を選んでいきます。

機械ではないので、通訳をして
実は自分の意と違う言葉を発する時はつらいです。

ですので、その発せられる言葉が
どれだけ通訳しやすいか、間違えにくいか
正しいものかによって通訳の言葉は左右されると言えます。

日本社会では専門職が育つ課程の中で
「通訳者を上手に使う」トレーニングを受ける機会があまりありません。
医療通訳者を誰でもが上手に使っているわけではないのが現状です。

だから通訳者から発言するときは
あえて「使う」という道具や機材のような言い方をします。
でも、通訳者以外の方が「使う」というと確かにカチンときますね(笑)

いよいよ今週末18日はMEDINTのシンポジウムです。
今年度はHIAの助成金をいただけたので開催できましたが、来年はたぶん無理です。
最後に、どうしても言っておきたいことをテーマにしています。

まだ、定員には達していないので、お時間のある方は是非ご参加ください。
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勉強が楽しくない

2018-02-01 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
つくづく1周忌って理にかなっているなあと思います。
今、妹の最期の日々をなぞりながら暮らしています。
3月には緩和ケア病棟さん主催の遺族会があり、
そこで、なんとか心の区切りをつけたいと思っています。

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研修の後の世間話である学生から「語学の勉強が楽しくない」という話がでてきました。

私も学生時代から語学は超苦手で
できるだけ英語の点数割合の低い大学を探して探して受験したくらいなので
「勉強」としての語学が楽しいと感じられる人はすごくうらやましいです。

ただ、語学は勉強するものでもあるけど、使うものでもあります。
「覚える」→「使う」→「通じる喜び」→「もっと話したい」→「勉強する」という
循環があれば理想だとおもうのですが。

自分で医療通訳研修をやっていて
「~べき」とか「最低限~は身につけて」とか偉そうに言ってます。
でも、私自身が語学が苦手で、語学的には私よりずっとすごい人たちが聞いていらっしゃるので
いつも肩身の狭い思いをしながらやっています。

ただ、医療通訳を続けてもらうためには、
伝わる感動やこの語学を使って役に立つ喜びを感じてもらう必要があるよなあといつも思います。

医療の専門用語は難しいです。
医学の用語は単語がわかっても患者に通じないことがある難解なものもあります。
福祉制度や介護の用語は日本語であってもごちゃごちゃしていますし、そもそも外国語に訳せないものもある。
毎回が困難に満ちていて、新しいことだらけで、反省ばっかりです。

でも、これが伝わったとき、場面がほわっとまとまる感覚や
患者さんや家族さんが安堵の表情を見せるときといった
うれしい体験があるからこそ、続けていられると思うのです。

ワークブックで勉強するばかりでは
そうした医療通訳の醍醐味の部分はなかなか実感できないと思います。
でも、医療現場での実習は受け入れ先のハードルが高いし、
本物の患者さんをOJTで使うことはできません。

そこで、現在看護教育などで使っている外国人模擬患者さんを
活用できないかと考えています。
日本に来てまだ日が浅く、N4くらいのレベルが演じられる外国人模擬患者さんを使えば
リアルに練習ができるかなと思っています。
ずっと今まで考えてきたのですが、来年の目標は模擬患者さんの育成かな。
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