MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

法廷通訳人研修

2014-01-20 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
1月7日に開催された神戸地方裁判所の法廷通訳人研修に参加しました。

私は医療と行政の通訳はやっていますが、
日常業務の中での司法通訳は、弁護士との相談や接見以外はあまりやる機会がありません。
ですので、勉強になるかなあというとてもあやふやな動機で10年くらい前に登録したのですが、
立て続けに何回かやる中で、やっぱり自分に向いていないと気づき、
それから5年くらいはお電話をいただいても法廷通訳を受けることがありませんでした。

もちろん、法廷通訳は被疑者やその関係者と知り合いだったりすると受けることができません。
また、相談などですでに関わった通訳案件であれば、申告しなければなりません。
それと同時に、通訳者の倫理として、自分の通訳レベルは自分が知っているので
力不足であると感じる場合もお断りしなければいけないのです。

今回の研修は、法廷にあまり立っていない、実務経験の少ない私のような通訳者を対象に
もう一度法廷の感覚を取り戻してもらうための研修でした。

もちろん、お断りすることもできたのです。
でも、好奇心の方が強く「行きます!」と言ってしまったのが、昨年11月の末。
1ヶ月前には資料が送られ、前日には地裁から電話までかかってきて、その時はもう逃げられませんでした。
近藤正臣先生が、13日の神戸女学院の講演会で
通訳者の条件に「仮病を使わない」をあげていらっしゃいましたが、その気持ちがとてもわかります。

結果的には、少人数で模擬法廷をやったので、
何度も順番が回ってきて、ずっと集中して通訳をしなければいけなかったので、
久しぶりの緊張感とドキドキ感を体験しました。
そして、やはり何度やっても法廷というところの独特の緊張感は別格だとも思いました。

また、医療通訳との大きな違いは、
司法通訳の場合、時間表現がとても厳格だということです。
もちろん、医療通訳の際にも、症状がいつから出て、どんな薬を飲んでという時間の流れはありますが、
司法の場合は、その順序や経過がとても重要なので、現在・過去・未来だけでなく
そのあいだの時間も訳していかなければならずとても難しかったです。

帰りがけに他の通訳者の人達と、
法廷通訳って、すごい準備と緊張感と責任とあって割にあわない仕事だよねということで一致しましたが、
考えてみれば、それは医療通訳も同じこと。
じゃ、なんでやっているのと言われたら、良い意味で使命感だし、
本音をいえば乗りかかった船としか言い様がないけれど、
世の中、楽でストレスのたまらない仕事なんてないんだよなあと思いつつ、
生きていくために、法廷通訳も勉強しなくちゃと思った一日でした。



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