ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

シャルロット・ゲンスブールの「アンチクライスト」についてのインタビュー(2009年)(1)

2009-06-20 07:48:40 | 映画
あ、昨日は不愉快極まりない男の出ている動画をブログにはったので、不快に感じられた読者の方もいたかもしれません。そうだとしたらまことに申し訳ございません。が、あのような恥の記録を参照できるようにするのもこのブログの目的です。ご容赦願います。



さて気分を変えて、今日はもうすこしましな記事を書きます。フランスの雑誌「パリ・マッチ」にのっていたシャルロット・ゲンスブールのインタビューを翻訳しましたので発表します。彼女は今年のカンヌ映画祭で、このインタビューで言及されている作品で、主演女優賞を獲得しました。ポスターを見ても大体想像ができそうですが、かなりすごい性描写のある作品のようです。たぶん日本でも公開されるでしょうが、R-18指定は確実でしょう。そうとう修正も入ると思われます。というわけで、内容は見てからのお楽しみということで、彼女のこの作品にかける意気込みと熱い思いを感じ取っていただければ幸いです。


シャルロット・ゲンスブール「『アンチクライスト』は、すぐには再体験しそうにないし、したいとも思わないすごい冒険だったわ」

(ジスレーン・ルースタロ)

UGCのヴィラのテラスの上で、シャルロット・ゲンスブールはポーズをとって微笑みささやく。彼女はほんの3時間前にカンヌについて、「アンチクライスト」について出されたさまざまな質問にためらわず答える。ラース・フォン・トリアー監督のこの作品は、映画祭を通じてもっとも話題を得た作品だ。あからさまで、強烈で、ポルノのようで胸がしめつけられるようで、時には奇妙な作品であり、男と女の間でも無関心にはさせず面と向かわせる極端なものである。彼女がシャンパンの入ったグラスをゆっくり飲んでいくのをながめながら、かよわくも見える若い女性がすさまじい演技をなぜできたのかと頭の中で思考をめぐらす。

パリ・マッチ:ラース・フォン・トリアーは、女優にはとても厳しく接し、彼女らを責めたてるという評判があります。あなたには、彼はどのように接しましたか?

シャルロット・ゲンスブール:ビョーク二コール・キッドマンが「ダンサー・イン・ザ・ダーク」と「ドッグヴィル」に出演したあと彼について語っていたのを覚えていたわ。とうぜんいろいろ不安はあったけど、同時に彼ってとても穏やかで落ち込んでいるような雰囲気もあったし、私が彼の力になってあげられることは何でもしてあげたいって気になっていたの。その問題については、なんら解決の糸口があったわけではないけど。私自身もまた当然あんまり調子のいい時期ではなかったし。頭の中では、あんまり長く仕事はできないなって懸念があったわけ。すごい不安定だったしまた傷つきやすかったのよ。


  トリアー監督は、あなたはとても熱心に演じていたと語っています。彼の映画にとてもよく順応していたということでしょうか?

いいえ。問題は、彼は演出の方向を示してくれないってことね。繰り返し説明もしないし撮影前に台本の読みもしないし、質問したって答えてくれないし、映画についての話もしてくれないわ。だから自分自身で少し入れこんだの。それから準備の時間がわずかしかなかったのよ。撮影に入るまでせいぜい15日くらいしかなかったわ。撮影前の一週間は気持ちが落ち着かなかったわね。撮影はどのようになるのかなって自問自答したの。監督についてたくさんの疑問が浮かんだわ。実際は、監督は俳優たちを追いつめていってその演出全体の中で役者を駆り立てていくのよ。


  つまり?

たとえば、同じシーンを怒鳴りながら演じて次に泣きながら演じて、今度は笑いながら演じたの。そのショットの中で映画の中ではたった一つしか彼は選ばないってことを知りながらね。私はもう何の目標もなかったし、何をすることが大切なのかわからないっていう気にもなったわ。でも演じたいっていう心づもりは本当にできていたし、自分が尊敬する監督によって指示されるあらゆる方向へ自分を追いやるつもりでもいたわ。侮辱されたっていう気持ちにはならなかったわよ。しばしば危険な状態にはなったけど、あたしがそれを望んでいたようなものだし。


  一番心配だったことは何ですか?

ヌードのシーン、すなわち一番の問題として心に決めていたとても大胆なシーンの演技ではなかったわ。でも、どのようなものかわからなかったから、不安でいっぱいのシーンではあったわね。それでいて、気がつくことが必要だったし、監督が認めてくれることをしばしば待ち望んでいたわ。実際には彼を演じていたような気がするの。というのは、私が演じた役柄ってラルス・フォン・トリアーか誰かだったから。


  たくさんの女優たちが断ったにもかかわらず、この映画に出演したいという気持ちにさせたものは何でしょうか?

シナリオを読んでいて入れこんじゃったの。胸がしめつけられるような小説を読むように、あたしをおじけづかせたわ。半分理解した何かものすごく奇妙なものを読んだ、依然として完全に理解したわけではないけど、すべてが明らかではないっていうよりはずっといいわよね。

(続く)

2010年10月28日追記:この映画の日本での上映が決定し、題名が「アンチクライスト」になったので、「アンチキリスト」からすべて「アンチクライスト」に訂正しました。



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