(皆で「投扇」遊びに興じました)
「遊び道具って? トランプかしら?」と皆で待っていると、投扇の道具一式が運ばれ、ご亭主は姿を消しました。
投扇は初めてでしたが面白かったです。力を入れたり、「当てるぞ」という意識があると扇が失速してしまい、無心の境地が求められている気がしました。
Yさまと暁庵は何回やっても全く当たらず、Iさま夫妻の応援にまわりました。
Iさま夫妻が十回目くらいに相次いで当たり流石です。
一汗かいたのでこれにて終了し階下の居間へ向かいました。
(まだ雨が降り続いています・・・)
居間のガラスのテーブル席で懐石を頂きました。
折敷に四つ碗がでてきましたが、一文字はリゾット、汁はコーンクリームスープ、
向付は帆立のカルパッチョ風、イタリアンの懐石は美味しく全てサプライズでした。
(一文字は熱々のリゾット、汁はコーンクリームスープ)
短時間ですべてお一人でなさった手際にもびっくりしました。
次々と出て来る懐石料理にドキドキし、使われている食材も珍しく舌鼓を打ちながら完食です。(食べるのが忙しく写真がありません・・・)
ご馳走様でございました。
懐石が終わり、後座の薄茶席へ席入りしました。
襖を開けて思わず「あっ!」と小さな叫びが・・・先ほど「装飾扇面経」が掛けられていた床に小さな竹花入が吊るされ、ピンクの薔薇(そうび)が生けられていました。
とても小さな花と花入が、四畳半の空間全てを支配しているような迫力と魅力を発しています。
(小さな、小さな花と花入とI氏)
涼しさを感じる煙草盆と干菓子(八つ橋)が運ばれ、薄茶が始まりました。
小堀遠州流独特(?)の重ね茶碗で茶碗が運ばれ 薄器と置き合わされました。
心を込めて点ててくださった薄茶、少しぬるめなのが好ましく喉を優しく潤していきます。
撫子画の平茶碗(半七作)で頂きましたが、撫子は巻26「常夏」でしょうか。
他にも茶道具にご亭主Sさまの源氏物語への思いや物語りが散りばめられていて、Sさまが作り出す源氏物語の世界がなんて!すてきなのだろう・・・うっとりでした。
I氏がご亭主様の薄茶を点ててくださり、ご亭主もゆっくりお話が出来て嬉しそう・・・。
さて、席中の源氏物語ですが、その一つ、繊細な細中次には桐の蒔絵があり巻1「桐壷」。
極めつけは茶杓でしょうか。ずっ~と気になっていた個性的な茶杓の作者は海田曲巷氏で、銘は源氏物語に因むもの・・・とだけ記しておきます。茶杓の優美な仕覆は十七世紀のフランス製の古裂(更紗だと思う?)で作られ、嬉しく拝見させて頂きました。
小さな竹花入のお話が心に残っています。
裏千家十一代玄々斎お好みの竹花入の写しを三田富子さんが作らせたとのことでした。最近、三田富子さんの著書「取り合わせのくふう 茶道具」を読み直しているので不思議なご縁を感じました。
皆さまと「この花入にどんな花を生けたいですか?」と話し合ったのも好い思い出です。
思い出すたびに心がほっこりと温かくなるおもてなしが忘れられません・・・
本当にありがとうございました。
撫子咲く舘の茶事に招かれて・・・(1)へ戻る