「ヨコハマトリエンナーレ2020 AFTERGLOW 光の破片をつかまえる」
(2020 7.17ー10.11 横浜美術館、プロット48)
家に居て何もしなくても汗が吹き出します。倒れるような暑さ、横浜でも連日猛暑日です。
そんなある日、横浜美術館で開催中の「ヨコハマトリエンナーレ2020」へ行きました。
ヨコハマトリエンナーレは3年に1度開催される現代アートの国際展です。
今回のアーティスティック・ディレクターは、ラスク・メディア・コレクティヴ(以下ラスク)と称する、インド出身の3人組のアーティスト(ジーベシュ・バクチ、モニカ・ナルラ、ジュッダブラ・セングプダ)です。
ラスクが発信するたくさんのメッセージの中から次のメッセージを紹介します。
「わからないを楽しむ」 (ガイドのパンフより)
壁には作品解説(注:ラスクの解説、作者のメッセージ、美術館からの鑑賞ヒント?の三部構成)があります。しかし詩のような謎めいた文章で、作品の見方を簡単には教えてくれません。
ラスクはこの「わからない」状態を楽しんでほしいと願っています。この作品はこういうことを言いたいのかな・・・と想像し、連想を広げる--このわくわくをぜひ味わってください。
一昨年直島のベネッセ・ミュージアムや家プロジェクトで現代アートに遭遇して以来、わからないなりに面白さを楽しむ、自分の中に眠っている感性や五感を刺激したい・・・と関心を持つようになりました。
それに、社中のIさんがこの展示に関わっていることもあって、どのような現代アート国際展が繰り広げられるのか・・・興味津々でした。
コロナ禍なので電車ではなく車でツレと出かけました。
「先生、駐車場から入り口直行ではなく、美術館の正面に廻って大きな作品を先ず見てくださいね」
言われた通り正面の広場へ廻ると、美術館全体が工事中のようにグレイ(黒?)の幕に覆われていました。どうやらこれが作品らしいです。
(気が付かなかったけれど・・・写真を見ると、羽を広げた妖(あやかし)みたい!)
正面から入口へ近づいていくと、それはしっかりとした金属の網のようなもので作られていました。丁度風が強い日だったので、金網のような強く聳え立つカーテンがしなり、風に揺れてかすかな音をたてました。なぜか巨大なハーブを小人のような私が弾いているような錯覚を覚えました。
ヨコハマ名物の浜風にしなって、様々な縞や波模様が浮き出てきて、音をかき鳴らし、妖のように千変万化の不思議なアート作品です。見上げると網状の構造物が幾重にも重なり、光の破片をつかまえて、天へ導くような荘厳な空間を生み出しています。
この壮大なアートの作者はイヴァナ・フランケ、作品名はわかりませんが、勝手に「浜風と妖(あやかし)のエチュード」と名付けました。
この作品は同行のツレにはまったく駄目だったみたいです。遠近感がなくなって気持ちが悪くなってパスしたとか・・・。このように人によって感想が異なるのも面白いところです。
美術館へ入ると、思わず「綺麗!」と心の中で叫びました。中央の大広場にステキな作品がきらめいていて、どうやら異次元空間に迷い込んだみたい・・・。
作品はニック・ケイヴの「回転する森」。
天井から無数の「ガーデン・ウインド・スピナー」(アメリカの家庭で好まれる庭用の飾り物)が吊るされ、回転したり、留まったり、互いに光を反射したり共鳴し合ったり・・・。初めて体験する夢のような煌めきの世界に圧倒され魅せられました。鏡のような床に光やスピナーが映り込んで、点滅する光には何かを伝えたいという意志を感じます。
「ウ~ン? 涙?」 作者の思いを伝えるオーナメントがあるそうですが・・・
「ガーデン・ウインド・スピナー」の中には作者の思いを伝えるオーナメントがあるそうですが、多すぎてすぐに探すのを諦めました。現世の意識を超えたこの空間にしばし身をゆだね、「ガーデン・ウインド・スピナー」の1展示物のように溶け込んでいたい・・・。
作者・ニック・ケイヴのメッセージから
「・・・前略・・・こころ奪われ、目を見張りながら何百というオーナメントの間を歩いていくと、私たちの意識の端に、他にもなにかうつろいやすいものが立ち現れてくる。銃、涙、弾丸、標的。
私たちは、人種隔離、公民権運動、国家による暴力など、数百年に及ぶ衝突の歴史の空間にいる。
現実とは何かを生み出しながら、同時に何かを覆い隠すものなのだ。」
(2Fからみた「回転する森」)
エントランスの強烈なシャワーを浴びてから、やっとチケットを渡して入場し、2Fへ向かいました。そこには紹介したい、見てもらいたい作品が次々と展示されています。その時の印象や感想を反芻しながら書いておきたいと思っています。 (つづく)
ヨコハマトリエンナーレ2020・・・(2)へ続く