暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

口切の稽古・・・台天目

2019年11月09日 | 暁庵の裏千家茶道教室

   近くの公園のケヤキが色づいてきました
(新しいカメラを使いこなせず、写真アップに苦戦しています 


11月10日の炉開き&口切の会では台天目で濃茶を点てます。
これは恩師N先生の口切の仕方を順守しています。
なぜ口切に台天目の点前をするのか、暁庵は今一つ分かっていないのですが、
お家元の口切の式に従っているのではないかと思っています。


今年の会ではN氏に台天目で濃茶を点ててもらうので、先だって炉でお稽古をしました。
実はN氏は素晴らしい天目台と天目茶碗をお持ちです。
出来たら口切の会へお持ち出しいただいて、それらの鑑賞をお願いしました。すると
「先生、よく覚えていてくださいましたね。
 仕舞ったままで忘れていましたが、皆さんに見ていただけるのは光栄です」



以前の印象では、古い時代(鎌倉?)のもので、天目台に散りばめられた細密な螺鈿模様が素晴らしく、それを使うなど考えられないほど繊細な台だった・・・と思い出しながら
「本当はそれで台天目のお点前が出来たら最高でしょうね・・・」
「・・・考えてもみませんでしたが、一度使ってみるのも良いですね」

・・・そんなわけで、思いがけず台天目はお持ち出しということになりました。
天目台に添った天目茶碗は、小ぶりの灰かつぎ天目でした。
「濃茶3人分の予定ですが、茶碗を変えますか?}と私。
「いえ、これで点ててみたいと思います」と頼もしいN氏。 




台天目のお稽古が始まりました。
客は3人、暁庵、Kさん、Uさんです。
いつも通り、きれいなお点前のN氏ですが、足運びを含め、全てゆっくり丁寧に・・・とご指導しました。
特に繊細な天目台の上に小さな天目茶碗をのせたまま3人分の濃茶を練るのは大変だったと思います。客も内心ドキドキしながら見つめました。

濃茶が点ち、天目台が鐶付に出されました。
緊張しながら左右と天目台を取ると、羽の薄さ、繊細な肌触り、思いがけないほどの軽やかさを感じます。そっと持ち、低い位置で丁寧に運びました。
小ぶりの天目茶碗にたっぷりと練られた濃茶・・・濃さも丁度飲みやすく、3人で美味しく頂戴しました。

「先生、お道具を丁寧に扱うように・・・と言われていたことが実感できました」
茶道点前の三要素の一つの所作、時代のある天目台と天目茶碗とのお出会いは自ずと丁寧な扱いの所作となり、何よりの経験となったみたいです。




「素晴らしい天目茶碗と天目台で濃茶を美味しく頂戴し、ありがとうございました。
 小ぶりなので心配でしたが、あの台にはあの茶碗がぴったりお似合いですね」
「まさか実際に使う日が来ようとは思いもかけないことでした・・・」

・・・なんか、N氏も天目台と天目茶碗も、とても晴れやかで嬉しそうでした。
きっと炉開き&口切の会でもステキな時間になることでしょう・・・。 



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口切の稽古とルースさん

2019年11月01日 | 暁庵の裏千家茶道教室



11月10日に社中で炉開き&口切の会を予定しています。

昨年の炉開きの会には、スウェーデンからオーネルさんと山本由香さんが特別参加してくださり、しかもオーネルさん腕まくりのスウェーデン料理をご馳走になりました。

今年は口切を生徒さんにして頂くことにし、昨年9月「重九の茶事」の亭主を頑張ってくださったKさんにお願いしました。
「えっ! 先生、私にできるでしょうか?」
「大丈夫です。炉開き&口切の会の前に何度かお稽古しますから、この機会に口切に挑戦してみてください」
「わかりました。がんばります・・・」



第1回目の口切の稽古は10月23日でした。
その日はN氏とUさんが行之行台子のお稽古だったので、客として口切の稽古にお付き合い願いました。

16時過ぎに、茶友のルースさんが口切の稽古を見学にやってきました。
11月初めに口切の茶事をするそうで、丁度Kさんも初めて口切を稽古するので来ていただいたのです。

ルースさんはアメリカ人、来日してから20年ほど経つそうで、日本語がお上手です。
茶道に対する思いがもの凄く熱い方で、暁庵はその真摯な姿勢にいつも刺激を受け、学ぶところが大きいです。
自己紹介し合った途端、社中の方々にもルースさんの人柄や熱い思いがすぐに伝わったようで嬉しいです。
(自己紹介はもちろん日本語でしたが、これを英語で出来るようになりたい・・・夢です)




暁庵の口切は、恩師N先生にお習いした仕方で、多少教科書と違います。

最初に壷莊と同じようにお客さまに壷を拝見していただきます。
拝見した茶壷が詰から正客へ返される頃に水屋へ立ち、入り日記を正客へ持ち出し、壷を持ち帰り、踏み込み畳に置きます。
茶壷の正面を確かめます。
(ここで茶壷や口覆いのお尋ねがあっても良いのですが、暁庵の口切の茶事では茶壷をお客様が拝見しているときにお話しするようにしています)
水屋から葉茶上戸を持ち出し、口切をします。
正客へ「いずれのお茶を差し上げましょうか?」と尋ねます。
茶壷から所望の抹茶を取り出し、曳家へ入れます。
和紙に糊をつけ封印します。
後片付けをしてから茶壷に仕覆をかぶせ、葉茶上戸を水屋へ下げます。
茶壷を網に入れて水屋へ引きます。
入り日記を下げて、茶道口で総礼し、口切終了です。
(詳しくはこちらをご覧ください


実際にKさんには上記のような順序で口切をして頂きました。
壷莊は何度も稽古しているので、口切の手順や所作のポイントをお教えしました。
あと1~2回お稽古すれば、本番ですらすらと出来るようになることでしょう。




ルースさんにも、口糊が乾いていないので切りにくかったと思いますが、まったく同じように口切をやっていただきました。

「本だけでなくって実際にやらせてもらったので、細かいところがよくわかりました・・・」
「ヨカッタ!」
ルースさんの茶道教室にはいろいろな国の方がいるので、先ずは茶事の流れや口切の茶事を体験してもらいたいそうです。

ルースさんの熱心さがKさん、N氏、Uさん、暁庵に心地好く伝わってきて、とても良い刺激を受けました。
ルースさん、こちらこそ来てくださってありがとう! 
Kさん、ルースさん、口切を頑張ってね! 心から応援しています。 




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