暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

五葉会の第2回五事式・・・(1)

2018年04月28日 | 暁庵の裏千家茶道教室

  満天星つつじがかわいらしい花をいっぱい着けていました


4月20日、五葉会(七事式の勉強会)で五事式の茶事をしました。

毎年5月から4月まで1年間、七事式を研鑽して来た仕上げとして五事式の茶事をしています。
昨年(第1回)は暁庵宅でお弁当でしたが、今年(第2回)は茶席・翠晶庵(横浜市南区新川町)をお借りして懐石付きです。

お役は持ち回りで、第2回の亭主は宗真さん、半東は宗厚さんです。
正客宗悦さん、次客宗里さん、三客暁庵、詰は宗智さんにお願いしました。

五事式の当日の朝、正客宗悦さんからメールがあり
「昨日、急にぎっくり腰になり様子を見ています。
大丈夫・・・と思いますが、万が一のこともあり、お知らせしておきます」
茶事にはハプニングは付きものです。
万が一のことあれば正客を次客に代わってもらうことにして、その判断は宗悦さんにお任せしました。



横浜市営地下鉄・吉野町駅改札口で思い思いの着物姿で待ち合わせ(写真がないのが残念!)、翠晶庵の待合へ。
暁庵は藤の花の塩瀬帯を締めたくって(いつもより早く藤が満開なのであせりもあり・・・)、紫色系の着物にし同系色で合わせてみました。
待合には大原女の画の掛物があり、格子織の表装が味わい深く素敵です。
詰・宗智さんが板木を4つ高らかに打つと、白湯が運ばれてきました。

腰掛待合で待っていると、亭主宗真さんが迎え付けにいらして、茶事の心地好い緊張を感じながら無言の挨拶を交わしました。
蹲踞をつかい席入りすると、床には
「惺々着」(せいせいじゃく)と書かれた横物の御軸、少林寺明堂和尚の御筆です。
「惺々着」は難しい禅語ですが、無門関の中に「瑞巌主人公」という有名な公案があり、次のように書かれています。

 瑞巌の彦和尚、毎日自ら主人公と喚び、復た自ら応諾す。乃ち云く、
 「惺惺著、喏(だく)。他時異日、人の瞞を受くること莫かれ、喏喏」


「惺」とは悟るとか、心が落ちついて静かな様子をいいます。
「著」とは意を強くする助辞、「惺惺著」とは「目をさませ! ぼんやりするな!」と解します。
「主人公」とは本当の自分自身の事、「喏」とは「ハイ」と返事をする事、「瞞」とは他人にだまされるという意味だそうです。

解ったような解らないような・・・はて? さて? 
どのように解釈したらよいのでしょうか・・・今回は宿題とさせていただきます。




ご挨拶を和やかに交わし、五事式のハイライト廻り炭之式から始まりました。
透木釜は桜川(敬典造)、透木は宗旦好みの桐、遠山蒔絵の炉縁がぴったり寄り添っています。
3月の五葉会で修練しているので、皆様、すらすらと進み、
「炭にてお釜を」の声がかかり、埋火を掘出すところとなりました。

今回はどうかしら?・・・皆で、息を止めるように埋火を見つめます。
割ってみると黒かったのですが、何やら赤い箇所もあるようでした。
「少し吹いて埋火を育ててみますか? どうぞご亭主がお決めください」
ご亭主の判断も早く、巴半田が持ち出され、残っていた下火を入れました。
湿し灰が撒かれ、炭が置かれ、ぱちぱちとはぜる音がしてきました。

「このまま見ていたい・・・」一同、名残惜しく思いながら、炉辺から席へ戻ります。
二度目の香が焚かれ、香合が拝見に出されました。
香合は萩焼開扇、香は「彩雲」です。

懐石が出され、美味しく賞味していると、
「汁と御飯、どちらから食べるのでしょうか? 皆さまを見ていると御飯から食べているようですが・・・」と宗智さんからお尋ねがありました。
「特に決まりはないと伺っています。ただ、懐石を作る時、炊き立てを先ずは一口、一文字にして出すのにとても気を遣って(時間を計って)出しますので、私は一文字から味わうようにしています」

翠晶庵の横山さんが作ってくださった懐石に舌鼓を打ち、縁高で出された手づくりの主菓子も別腹でしっかり頂き、腰掛待合へ中立しました。 (つづく)


     五葉会の第2回五事式・・・(2)へつづく

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