暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

紅葉舞秋風

2010年11月05日 | 茶道具
「紅葉舞秋風」(こうよう しゅうふうにまふ)の画賛のお軸を
或る方から頂戴しました。
秋深まるある日、床に掛け、閑座してお軸と対面しました。

               


かさこそ かさこそ
赤 黄 褐色の落葉を踏みしめて山道を行く時
ささやくようなサウンドが聞こえてくる
聞きとれないけれど 何か言っているような・・・

見上げると真っ青な空に
緑の葉 真っ赤な葉 黄色い葉が重なって
キラキラ光っている
まるで人の一生を見ているような複雑な彩りだ

やがて おだやかな秋の風が吹くと
全てをやりつくしたように
紅葉がひらひら舞い落ちる
誰でも見ることができ、誰にも訪れる自然の摂理

目のまえにあることを
はっきりと見ることの出来る日が
いつか来るのだろうか

                    

紅葉の色素、アントシアニンについて興味を持ち、調べてみました。

植物の緑葉にはクロロフィル(葉緑素・・・緑の色素)や
カロチノノイド(黄色の色素)という色素が含まれています。
植物は、日光の光エネルギーを利用して光合成によって
グルコース、クロロフィルなど生命活動に必要な化合物を作り出します。
特に、クロロフィルは光エネルギーを受け取るアンテナとして、
光合成に重要な役割を果たしているのです。

冬近く日光が弱くなると、光合成の効率はがっくり落ちてきます。
すると、生命維持コストを削減するため、葉そのものを落として
冬支度をし、春の芽吹きに備えます。

この頃になると、クロロフィルを作るのを停止し、
葉の中に多量に含まれていたクロロフィルは分解されます。
すると、葉の中にあった少量のカロチノイドが頭角を現し、
イチョウのような黄葉になるのです。

カエデやツタなどの植物は、光合成の効率が落ちてくる時期になると
アントシアニンという色素を作り出し、葉は紅葉します。

1日の最低気温が8℃以下になると紅葉が始りまりますが、
昼夜の気温の差が10℃以上と大きいこと、
それから十分な光と適度な湿度もきれいな紅葉には必要です。

なぜ、この時期にカエデやツタがアントシアニンを作り出すのか?
いろいろな説がありますが、
本当のところはわかっていません・・・。
                          

緑葉、黄葉、紅葉、そして落葉、朽葉・・・
最初は紅葉の画賛を眺めて愛でていただけでしたが、
なかなか奥の深い禅語の世界です。
お軸をありがとうございます! 大切に使わせていただきます。

                                 

   写真は上から、「湯河原巻山の紅葉」
             「横浜三渓園・春草廬の紅葉」 (三渓園提供)
             「ツタ紅葉」

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