暁庵の裏千家茶道教室へ入門されたKさんとM氏、無事に割り稽古の難関を突破し、
柄杓の扱いを学びながら、薄茶平点前の稽古へ入りました。
風炉の柄杓の扱いを教えていた時のこと、
「柄杓の扱いは持ち方などいろいろあるけれど・・・
①鏡柄杓・・・自分の顔(心)を映しだす気持ちで静かに向き合う
②取り柄杓には二つあって、湯を汲むときの取り柄杓と
③もう一つは水を汲むときの取り柄杓
④柄杓を釜に置くときは置き柄杓
ここで・・・・動作をしながら、扱いの名称がとっさに出てきません(ウ~~ン)
「ねえ!Mさん、この柄杓なんて言ったかしら?(SOSすると、すぐに)」
「切り柄杓です」
「そうそう切り柄杓!」(1回しか教えていないのに・・・Mさんがなんと頼もしく思えたことか!)
⑤切り柄杓(置き柄杓の一つ)・・・茶を入れてから湯を入れるとき、切り柄杓で釜へ置きます
⑥引き柄杓(置き柄杓の一つ)・・・水を汲み、柄杓を釜に置くときは引き柄杓。
柄杓の扱いで一番難しいけれど、美しい所作の見せ処でもあります。
咄嗟に切り柄杓が出てこないずっこけ先生ですが、お二人の点前が確実に上達し、
お茶への理解が増しているのが手に取るようにわかり、喜んでいます。
大覚寺大沢池に映る明月 (2014年9月)
この日の床の軸は、「雲月去来閑」(正法山主(妙心寺)瑞枩和尚筆)、
雲が大きく、月は池に映る風情で書かれ・・・字や余白も何かを物語っていますね。
禅語は人によって解釈が違うこと、私は時と場合によっても解釈が違い、その日の解釈は、
「人生、暗雲もあれば明月が爽やかな時もある。
良いこと、悪いことが雲月のように去来し過ぎていくのを閑かに受け止める心」かと。
葛(クズ)の花と尾花(ススキ)を加茂川籠に入れ、床柱に掛けました。
「この花はどちらで?」とM氏。
「すぐ近くのバイパス沿いに何か所か、葛の花を見つけておいたの」
「先生はいろいろな花の場所をご存じなんですね」
「頭の中に花マップがあって、葛の花だったらあそこかここ・・・。
葛はいっぱい生い茂っているけれど、採取できる花を見つけるのが難しいの。
散歩の時に採取時期を見ておくのだけれど、少し遅かったみたい・・・KさんもMさんもそのうち自分の花マップを作ってね」
残花を野趣豊かに生けてみました・・・
菓子は「月見うさぎ」(薯蕷饅頭)と季節外れの「道明寺」、小ぶりなので2種にしました。
薄茶は、薄茶「又玄」と濃茶「金輪」(いずれも小山園詰)のブレンドです。
KさんとM氏で薄茶を平点前で点てあい、味わう・・・亭主となり客となる、二人稽古の良さを味わってもらえたかしら。
もう一つ、二人稽古の良さは点前だけでなく、学ぶ姿勢にもお互いに好い刺激を授受すること。
「この調子で、ゆっくり確実に稽古を重ねていきましょうね!」
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