暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

睦月の茶事へ招かれて-2

2014年02月11日 | 思い出の茶事  京都編
              「村下(むらげ)」 奥出雲で発見された侘助

(つづき)
一人ずつ和やかに挨拶を交わし、初炭が始まりました。
「みんなお仲間だから安心して・・・」の掛け声もいらないほど、
堂々と美しいお点前でした。
炭斗に香合が乗っていないので「あとでお香かしら?」
・・・盆香合でした。
根来塗の盆に乗った香合が鐶付へだされました。

香合は大振りの羽子板、梅や松の吉祥蒔絵があります。
ご亭主の母上が茶道の先輩から譲られたものだとか、
とても素晴らしい御品で、睦月の茶事にぴったりでした。
(・・・書き忘れましたが、蓋置が羽根でこれで羽根つきができますね)

懐石は母上の手づくり、我が家と違い、手の込んだ料理が次々と運ばれ、
はしたなくも歓声をあげて一同賞味しました。
手際よく、美しく盛られた懐石にうらやましさを感じたのは
私だけでしょうか?

             

中立で雨が上がり、やっと自称・晴れ女の面目をほどこしました。
銅鑼を聴き、後座は蹲をつかい、躙口から席入です。
床には信楽の蹲に可憐な椿が・・・まるでご亭主が居るようです。
「村下(むらげ)」、はじめて伺う侘助椿の名前でした。

釜から湯気が上がり、濃茶が楽しみでした。
初めて拝見した優雅な棚に心惹かれ、
「遠州流のお好みかしら?」と思いましたが
豊祥棚といい、淡々斎お好みでした。
楕円形の天板と地板を三本柱が支え、腰板に透かしのある棚に
染付の水指がお似合いです。

熱いアツイ濃茶をゆっくり頂くと、甘みのあるマイルドな味わいでした。
私も毎回熱い濃茶を差し上げたいと思いながら、
簡単なようでなかなか難しく、特に冬季には一番のごちそうです。
茶碗は信楽焼の杉本貞光造(寺垣外窯)、
顔がわかる数少ない作家さんの一人で、嬉しく頂戴しました。
茶銘は「成光の昔」、宇治の中村藤吉詰です。

             
                   (淡路島の水仙です)

薄茶になると、賑やかに茶談義がはずみ、楽しゅうございました。
ステキな茶碗で次々と薄茶が点てられ、途中で詰のHさまが交代してくださり、
ご亭主にも薄茶を喫んで頂き、ヨカッタ!です。

○○周年の結婚記念に買って頂いたという茶碗に魅せられました。
落ち着いた水色に銀彩の模様があり、エキゾチックな雰囲気です。
手に取ると、青海波模様や寿字があり、三浦竹泉造、
ご主人の応援歌まで聞こえるような宝物でした。

もう一つ、途中で学校から帰られた娘さんが挨拶してくださいました。
一家総出のおもてなしの心と、ご亭主の素直な人柄がにじみ出るお席で、
相客の皆さまも私も楽しく過ごさせて頂き、感謝いたします。

「清流無間断」の如く
お茶の心が三世代を経て繋がっていくことを祈りながら
帰途につきました。
                                 

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