暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

ひねもすのたり正午の茶事・・・(2)

2024年04月26日 | 「立礼の茶事」(2023年~自会記録)

  

      (点茶盤の点前座・・・終了後の撮影です)

つづき)

ご挨拶の後に香盆を用意しました。

七事式を修練したお仲間なので、花月札を回し香元を決めました。

「花」を引いたMWさまが香を焚いてくださり、私も末席でご一緒しました。

火味が心配でしたが、まもなく良い薫りが茶室に満ちて来て安堵しました・・・。

香銘は「春風」、西行法師の和歌から社中Iさんが名付けた香(伽羅)です。

    春風に花を散らすと見る夢は

       覚めても胸の騒ぐなりけり    西行

香の十徳の内「静中成友」(せいちゅうにともとなる)を思いながら、上品で優しく薫る「春風」を皆さまと回して聞くひと時・・・シアワセでした。

 

 

12時になり懐石を差し上げましたが、懐石の給仕は半東Y氏にお願いしました。

懐石担当は小梶由香さんです。今回のお客さまはご自分で懐石を作ったり、茶事の百戦錬磨の方たちなのでどのような献立を考えてくださるのか、実は私も心配だったり、興味津々だったり・・・でした。

いつも季節のシュンの物を上手に使って作ってくださいますが、それに加えて「シンプル」を心がけたようです。事前にいただいた献立とメモ、そして当日水屋で撮影した写真を掲載します。

ひねもすのたり正午の茶事の献立 (小梶由香作成)

飯   一文字
汁   蕗 辛子
汁替  新玉葱すり流し 菜花
向付  帆立 黄身酢
椀物  蛤真蒸 こしあぶらまたはうるい 
    白胡椒
焼物  豆腐田楽 木の芽味噌
預鉢  若竹煮
箸洗  花穂
八寸  海老甘酢漬け グリーンアスパラ
湯斗 
香の物 沢庵 日野菜漬

酒   新潟県村上市の銘酒「〆張鶴」 (お酒に弱い亭主に代わり半東Y氏が、淡麗の銘酒「〆張鶴」がお食事に合わせ易いと選んでくれました)

(メモと写真)

向付は、帆立に黄味酢をおとして春らしい色合いに。

汁ですが、汁替を春野菜が美味しい季節ですので、新玉葱のすり流しに。菜花の穂先を浮かべます。


椀物は蛤の形に作った蛤真蒸。こしあぶらかうるいをあしらいに。

吸い口に白胡椒を振ってシンプルですが、春の海を表現してみました。

焼物は、木の芽味噌の豆腐田楽を、田楽箱か銘々皿で供しようと思います。

預鉢は、若竹煮です。

 

八寸は茹で海老を甘酢に漬けてさっぱりと。
グリーンアスパラは細い物に出会えれば焼きで、通常サイズでしたらさっと煮で、と思っています。
香の物は2種ですが、日野菜漬けのはを細かく刻みますので、見た目には3種となります。以上となります。 

メモを拝見して小梶さんの気合を感じました。懐石でも「春の海」を表現してくださって、私も半東Y氏も当日相伴するのが楽しみでした。美味しかった!

ベテラン揃いのお客様でしたが、強力な助っ人のお陰で懐石も給仕もとても好評で、亭主として嬉しかった!です。

 

   (初炭と後炭は玄々斎好み松唐草炭斗を使いました)

初炭後に中立をお願いし、待合で主菓子をお出ししました。主菓子の銘は「春の海」、ご近所の石井菓子舗(横浜市旭区都岡)に特注しました。

「試作品が出来たので見に来てくださいませんか?」と言われ、注文数も少ないのに・・・と恐縮です。一目で気に入りましたが、海の色が心配だったようです。海の注文は初めてだそうで、貝の型を探すのが大変だったと伺いましたが、若い菓子職人さんも若奥さんも特注が嬉しそうでヨカッタ・・・です   (つづく)

       「春の海」(金団、石井菓子舗製)

        

   ひねもすのたり正午の茶事・・・(3)へ  (4)へ  (1)へ戻る