(後座の床の花・・・菊の献上飾り)
口切が終わり、台天目(客4人ずつで2回)で濃茶を全員が頂きます。
裏千家・今日庵の口切(初釜は間違いです)では台天目の点前で濃茶が練られると伺っており、恩師N先生の口切の会ではいつも濃茶は台天目でした。暁庵も出来るだけ濃茶は台天目で・・・と心がけています。
台天目の亭主KTさんが餅入り汁粉(暁庵製)を運び出し、茶道口で「どうぞすぐにお召し上がりください」
しばらくしてKTさんの台天目の点前が始まりました。
台天目は四ヶ伝という伝物のひとつで、天目茶碗と天目台の扱いが眼目のお点前です。
水指は曲げ、茶入は和物、茶杓は象牙を使います。
下の写真は袱紗を真に捌いて、天目台を清めるところです。
天目台は和物なので、濃茶は天目台の上で練られます。心を込めて練ってくださった濃茶(各服)を正客が頂きました。お服加減のお尋ねの後、次客の濃茶を練ってお出しし中仕舞をします。三客と四客(詰)は水屋からお出ししました。
暁庵は三客でした。甘味を控えめにしたつもりですが、汁粉の後の濃茶は格別な美味しさです。熱く練り加減もよく、緑の濃茶が喉を潤していきました。
濃茶は「松花の昔」、丸久小山園詰です。
ここで昼食・休憩となりました。
テーブル席へ移り、なだ万の弁当とAYさんが腕まくりの煮物椀を全員で賞味しました。
(南天の実が赤くなりました)
後座の亭主T氏が銅鑼を7つ打ち、後座の席入です。
大・・小・・大・・小・・中・中・・大
あらっ! 我が家の銅鑼かしら?と一瞬思うような響き、好い間合いでございました。
後座はAYさんの後炭から始まります。
初炭で皆が炉辺へ寄るところも好きですが、後炭で炉辺へ寄るといつも息を呑んで炉中の残り火の美しさに見惚れます。匙香が焚かれ、湿し灰が撒かれました。
細めの胴炭を選んだせいか、胴炭が簡単に割れて輪胴、丸ギッチョ、割ギッチョを継いでいきます。稽古で苦戦していた丸管・割り管・枝炭1本を一緒に逆手で持てるかどうか、私も内心ドキドキしながら見守ります・・・わぁ~凄い! 持てましたし、落とさずに上手に思うところへ置くことが出来、感動しました。
薬缶を持ち出し、釜へ水を次ぎ、濡れ茶巾でポンポンポン・・と釜を浄めると、釜が湯気を上げて嬉しそうです。
次は2回目の台天目の濃茶、お点前はKRさんです。
KRさんは十数年のブランクがあったとは思えない、端正な美しいお点前で油滴天目茶碗と萩茶碗で2碗の濃茶を練ってくれました。
仕舞付けが終わり、釜と曲水指に蓋がされると、正客から「茶入、茶杓、仕覆の拝見をお願いします」と声が掛かりました。
「台天目はかかあ天下の点前」と言われていますが、茶入を拝見に出す前に天目台が曲げの水指前に置かれます。実に堂々とした置き形なので「かかあ天下」の所以なのでしょう。茶入が清められ、茶入、茶杓、仕覆が拝見に出されました。
茶入は織部の肩衝(美濃焼、佐々木八十二作)、仕覆は十二段花兎です。
茶杓は利休形の象牙です。
薄茶になり、客は4名ずつ2回に分かれて薄茶を頂きました。
1回目はY氏、2回目はF氏が点前をしました。
炉に入って初めての稽古がこの「炉開きと口切の会」なので、暁庵は少々心配でもありました・・・が、内心はわかりませんが、実に堂々とよどみなく薄茶点前をしてくださいました。
これもY氏とF氏が普段の稽古をしっかり励んでいる賜物ですし、姿勢よく基本の所作がきちんとできていることが嬉しいです。
きっとお二人も先輩方に見守られて、緊張しながらも点前を楽しんでいたのではないかしら?
Y氏とF氏の点前に見惚れているうちに薄茶が水屋から出されました。
箕に盛られた紅葉やイチョウの和三盆(京都永楽屋)を頂戴し、熱い薄茶をゆっくり味わいます。薄茶は金輪(丸久小山園)です。
棗と茶杓が拝見に出されました。
棗は雪月花蒔絵の大棗、山中塗の中村孝也作です。茶杓は同じものですが、銘や茶杓に因むお話がそれぞれ違っていて興味深く伺いました。これはこれで良きかな・・・と思います。
・・・こうして「炉開きと口切の会」が愉しく進行し、後座の亭主T氏の挨拶で幕となりました。
皆様、ありがとうございました! 楽しく充実した会でした・・(ため息)
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