暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

令和5年5月・・・風炉の灰形と炉の湿し灰

2023年05月09日 | 暁庵の裏千家茶道教室

       床の御軸は「杜若」(栖鳳図)

 

5月2日と3日に炉を塞ぎ、風炉の準備をしました。

この日を選んだのは風が比較的少なかったからですが、それでも風が凪ぐ夕方16時~18時、午前8時~10時頃までを選び、灰を篩いました。

風炉は3つ、眉風炉、唐銅道安風炉、切掛け風炉です。腰と相談しながら2日掛けて眉風炉と道安風炉の灰を篩い、釜据えと灰入れが終わりましたが、切掛け風炉は先になりそう・・・。

5月5日から稽古が始まるので、4日にこちらも2回に分けて、腰痛のため途中で1回休憩を取りながら灰形を整えました。灰形は二文字押切です。

灰を篩ったばかりだと灰がふわふわして落ち着かないので、一日待ちました。

そのせいか、半年ぶりに持つ灰匙が思った以上に動いてくれて、スムースに二文字押切の灰形が出来たような・・・。

 

     (ベランダが灰を篩う作業場になります)

 

風炉の灰形といえば、昔、東京支部の研究会で伺ったN先生のお話が思い出されます。

一人の男性が手を上げて質問をしました。

「風炉の灰形が上手に出来ません。どうしたら上手に出来るようになるのか、どうぞお教えください」・・・すると、N先生はしばし沈黙していましたが、

「ところで、あなたは今まで何回灰形をつくりましたか? 200回以上つくりましたか?

 200回灰形をつくってみてください。200回つくると、きっと今のような質問はしないと思います」

これがN先生の回答でした。私は素晴らしい示唆に富む回答だと思い、「私も200回を目指して灰形を頑張ろう!」と思いました。

特に灰形はもう「やるっきゃない!」のです。回数を重ねながら、何処が悪いのか、どうしたら納得いくように出来るのか・・・と自問自答し、失敗しながらそのコツを探り、修練していくしかないのです。

素晴らしい示唆を頂いてから灰形を続けていますが、何回になったか回数はわかりませんが、15年近い歳月が流れました。が、未だ我が目指す美しい灰形(下の写真のような・・・)とは程遠いところにいます(トホホ・・・)。

 

 (某氏作の灰形です。こんな灰形がつくれたら・・・いいな!)

     (鉢植えですが、大好きな「定家葛」が満開です)

風炉灰を篩うのと同時進行で湿し灰を作っています。

夏の暑い日は避けて5月の連休あたりにやるように心がけています。でも、5月の紫外線はとても強いので麦藁帽子、長袖シャツ、軍手などで日よけ対策が必要です。

先ず取っておいた炉灰をザルで篩って炭やゴミなどを取り除き、2~3日くらいかけて炉灰を水洗いします。水を3回以上変えて炉灰を洗っては沈殿させ、上澄み液を洗い流し、小さなゴミを除きます。

上澄み液がきれいになったら液を捨てて、番茶を煮出した液を入れて撹拌し、2、3日放置します。その上澄液を捨てて、数日間乾燥させるためにそのまま放置し、天気の良い日に灰を古畳にあけて、さらに乾燥させます。

乾燥具合を見ながら、手もみして団粒を小さくし最後に、ザルで篩って湿し灰が完成です。

私のやり方ですと日数がかかりますが、天気や時間や身体と相談しながらのんびりやっています。

1年分を作って、大小2個のクーラーボックスに炭を数個入れて(炭は消臭のため)保存します。クーラーボックスがいっぱいになった時はとても心豊かな気持ちになります。

3月末頃に残り少なくなって、廻り炭の筋半田に使う湿し灰をあわてて購入することもありましたが、あまりの高額にびっくり! それで湿し灰づくりにせっせと励んでいます。

 

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