暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

2021年「口切の茶事」を終えて・・・(4)終章

2021年12月04日 | 社中の茶事(2018年~)

          (葉茶じょうごの一式)

つづき)

2021年「口切の茶事」を終えて・・・の終章は、お客さまから暁庵へ寄せられたメールを掲載させて頂きます。

毎回、お客さまからのおたよりが茶席やご亭主の様子を半東&水屋の視点とは別な角度からお教えくださって、楽しみでもあり、いつも勇気と元気を頂戴しています。ありがとうございます!

 TIHOさまより

暁庵 様

すっかり朝晩冷え込むようになりました。その後お元気にお過ごしでしょうか。

この度は 誠に格式の高い 裏千家 口切りの御茶事にお招きいただき、ありがとうございました。

M様の壷の口切りを粛々と拝見し「この上無し」という御茶を喫する、無上の体験でございました。

 私のように日ごろより執心深き身には、お軸の「応無所住而生其心」・・・住する所無き心の境地は難しくて・・・。 御本の主茶碗、妙全や乾漆のお茶碗の残像がいまだに消えません。

お心入れの御道具を手取りで拝見することは、やはり大きな楽しみです。

千家さんの開炉のお道具には、三部が登場するとうかがっておりましたが、

まず大きな瓢炭斗、伊部の灰器、では織部は・・・

待つほどに、後座の点前座で仕服の間から織部釉が覗いておりました。

 

形在るものと形無きもの。

良く熾った胴炭を割れば菊形に煌めく火の美しさ。まったりと練られた御濃茶。

香り立つ椀物や彩りの八寸、楽しい善哉も。

やがては皆かたち無きものとなり、一期一会の記憶だけが残ります。

皆みな有難く存分に堪能させていただきました。

心より御礼を申し上げます。        TIHOより

 

  (乾漆茶碗  染付山水九谷呼継 吉田華正造)

 

 社中Aさまより

お茶事の感想ですが、とてもとても感動しました!

昨年は口切りの会への参加でしたが今回は口切の茶事ということもあり、ピリッとした緊張感もあってとても楽しかったです。

炭手前はすらすらと流れるようで、炭の置き方もとてもキレイで大変勉強になりました。

後炭も炭がキレイに割れて流石だなぁと感心しました。あんなに美しい炭手前ができるのはいつのことやらと、お稽古に励まなければ・・と思いました。

茶事の中で一番感動したのは口切りでした。

去年は初参加の口切りの会で、緊張してあんまり覚えていませんでしたが、今回はやや余裕を持って参加でき、茶壺の口を切ったり、詰茶が茶葉漏斗から挽家や茶壺に入る音を聞き、口切りの風情を感じられ、とても楽しかったです。

あんな難しい手技をサラサラとこなす、Mさまは凄いなと思いました。茶壺も吉野山の桜が咲き乱れ、見応えがありました。また、これから炉の季節が始まるのだと、ワクワクしました。

懐石もいつもながらの安定した美味しさで、素晴らしかったです。先生がお作りになったお善哉も美味しく頂戴しました。

濃茶席では三部の織部が初炭でなかったのでドキドキしていたら、とてもオシャレな織部の茶入が出てきて、「やっと会えた」と感激しました。薄茶席ではMさまのコレクションのお道具たちが勢ぞろい、センスの良さを感じました! 

お干菓子は特注して作って頂いたとのことで、大変鮮やかでとても美味しかったです! お土産の雪華糖も大変美味しく頂戴しました。

前回6月の「転勤族 水無月の茶事」同様、Mさまの茶道へのメラメラとした熱意を感じ、私も頑張らねばと思うばかりです。

また、Mさまには6月と今回の茶事でお客様、10月の私の「野月の飯後の茶事」では半東をなさってくださり、色々とご縁があり、沢山勉強をさせて頂いてますし、お世話になりっぱなしです。私もいつか、誰かに世話をやけるようになりたいものです。いろいろありがとうございました。  Aより

 

   (M氏の後炭・・・稽古中の写真ですが。。)

 社中NYさまより

暁庵先生、こんばんは。

口切りの茶事から1週間が経ちましたが、葉茶じょうごから挽家に入れる茶葉の流れる軽やかな音とトントンと葉茶じょうごをたたく音が心地よく残っております。

新鮮な抹茶がいつ如何なる時にも容易に手に入る今日ですが、時代をこえてずっと続けられてきている口切の茶事に招かれ、喜びと期待を膨らませて伺わせて頂きました。

茶壺を床の間から下ろし、網袋の結びを解いて徐々にあらわれてくる茶壺の美しい姿に目がくぎ付けになりました。

吉野山の桜の景色が朝陽から山の向こうに沈んでいく一日の様子が描かれていて、何度か行った吉野山を思い出しながら拝見をさせていただきました。

茶事の原点であろう口切の茶事にふさわしい道具選びと今までのお茶と向き合ってこられた、Mさまの思いの詰まった道具の数々に引き込まれていました。

菊炭の美しさ、半年ぶりに会えた炉の姿、ふくべ炭斗(難を除き福を招くでふくべ?)

美味しい懐石料理、美味しいぜんざい、美味しい濃茶、薄茶・・・茶人の正月を存分に味あわせて頂きました。

ご亭主様のめりはりの効いたお点前と楽しいお話、ゆったりとした空気感で時を忘れていました。

このような喜びの機会をいただけたこと心より感謝申し上げます。

Mさまとご一緒に学んでいる者として次への意欲をいただきました。これからもご指導よろしくお願い申し上げます。     NYより

 

最後に、口切の茶事後に頂戴したM氏からのお手紙の一部を掲載します。

 亭主M氏より

謹啓 朝夕の冷えにも季節の移ろいを感じるこの頃 いかがお過ごしでしょうか

先日は口切茶事にて亭主の役を担当させて頂き 誠にありがとうございました

口切、初炭、後炭と反省することばかりで まだまだと感じた一日でした

そんな中でも皆様が少しでも楽しんでいただけたなら 少しでも記憶に残る茶事になったら幸いに思います

炉の季節となり 改めてご指導頂きますよう 宜しくお願い申し上げます  謹白   Mより

「口切の茶事」の心地良い疲れと共に素敵な余韻が続きますが、これにて終了いたします。

皆さま、ありがとうございました。 

 

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