暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

同期生からの志野の汲み出し

2016年08月27日 | 茶道具

    思い思いの表情が個性的で愉しい・・・


夜毎のBGMが蝉しぐれから虫の音に変わってまいりました。
少し長めの夏休みをとっていましたが、8月24日から自宅稽古が再開です。
ブログも夏休み状態でしたが、お蔭様で、第3回お茶サロンも満席となり、御礼申し上げます。
お茶サロンでは、秋野を駆けめぐる風のささやきに皆で耳を傾けたい・・・と思いを巡らせています。

        


 24日の夜、電話が鳴りました。
思いがけず大学の同期生のA君からでした。
「遅くなっちゃったけれど、去年の同期会で頼まれた志野の汲み出しが出来上がったので送ります」
「えっ! 覚えていてくれたのね。 ありがとう!」 
嬉しくって飛び上ってしまいました。

昨年11月15日に静岡県掛川市で開催された同期会のことを思い出しました。
何十年ぶりかで参加したA君は二十数名の参加者全員に自作の志野ぐい飲みを配ってくれたのでした。
その時、たまたま宴席が近かったので
「今、お茶を頑張っているのだけれど、茶事に使う汲み出しを作ってくれないかしら?」
と気軽に頼んでしまったのです。
それを忘れずに・・・それだけでも感激でしたが・・・。

26日に汲み出しが到着。
開けてみると、5個ずつ2セットの汲み出しが大切に梱包されて入っていました。
そして、手紙が・・・忘れたくないので記しておきます。

 A君からの手紙
昨年の同期会で依頼のあった志野の汲み出し湯呑、やっと焼きあがりましたので、お送りします。
通常の焼き物(酸化或いは還元)はほぼ一日の焼成で済みます。
志野焼の場合はその三倍の三日ほどかけて焼成します。

私の属しているクラブでは、10年位前までは年に7回位は志野焼をクラブ員が主体となって焼いておりました。
ところがクラブ員の老齢化と体力の衰えにより、数年前からはプロの陶芸家に焼成を委託するようになりました。
他人任せのためもあり、各人の思い描いた焼き上がりが期待できなくなったためか、
だんだんと作陶する会員も減り、作品もなかなか数が揃わなくなり、
年に1回焼成できるかどうかといった状態になりました。





  白釉薬の向こうにある文様や指あとに温かさを感じて・・・

今回3種の志野の釉薬を使って60個ほど窯に入れてもらいましたが、出来上がりはいまいちといった状態でしたが、何とか2種2セット確保できました。
形、大きさ、色合い、それぞれ若干の不揃いがあるかもしれませんが、手作りであることを考慮いただき、ご容赦ください。
アサガオ型の湯呑の胴には、「○○○」(暁庵の姓)と下手な字ではありますが隠し柄として入れさせていただきました。
ご愛用くだされば幸いです。       Aより



  くずし字の隠し柄・・・読み難いのがまた好し


手紙で作陶の御苦労の一端を知ることができ、おもわず涙が出て来ました

A君のご厚意がありがたく、一回でも多く茶事に使いたいもの・・・とウズウズしています。