1月13日(水)は暁庵の裏千家茶道教室はじめての初釜でした。
前日から寒波が押し寄せて東京や横浜でも初雪がちらほら、
当日は自称雨女・Fさんの心配をよそに晴れ、ベランダの睡蓮鉢に初氷が観測された寒い日でした。
それで、毛氈を敷き、大火鉢を置くなど寒さ対策におおわらわの初釜となりました。
その日は11時集合、9時過ぎに炉中と待合の火鉢へ火を入れ、釜と鉄瓶を掛け、灰や部屋を暖めます。
10時半ころから生徒さんが来られたので、火入の灰形の作り方を見てもらいました。
詰のYさんが打つ板木を合図に生姜汁がたっぷり入った甘酒をお持ちし、私も相伴しました。
茶事形式で行うので、私(亭主)はいったん水屋へ退き、生徒さんは腰掛待合へ。
亭主向い付け、蹲を使い、席入りと進み、お一人お一人と新年の挨拶を交わしました。
床には「利休居士四規七則」、黄梅院・太玄老師の書です。
この書を拝見すると、或る時は身が引き締まり、或る時は迷いから解き放たれるような・・・そんな四規七則ですが、
最後にかかれている「茶は服の良きように」について少しお話しさせて頂きました。
お軸を引き立てるように青々とした「結び柳」が正月らしい華やぎ、
まさに芽吹かんとする躍動感、そしてたおやかな風情をみなぎらせています。
この「結び柳」の由来について利休居士が
「人の門出の茶の湯ニ、鶴の一声ニ柳を結で入シハ綰柳条(わんりゅうじょう)の故事カ」
と述べた茶会記録が「茶道四祖伝書」にあるそうです。
綰柳条の故事とは、中国の漢の時代、西へ旅立つ友を長安郊外の覇橋まで送り、柳の下枝を折って輪にして手渡したことを言い、
綰柳と呼ぶ環に結んで、旅に疲れた心が体から放逸しないように繋ぎ止め、一日も早い帰還を柳の環に託しました。
正月の飾りだけでなく、送別の茶事に「結び柳」をいつか使ってみたいものです。
初釜は初稽古を兼ねているので、全員でお点前を分担して頂きました。
真台子に七宝文様皆具、天板に玄々斎好の曙棗を飾りました。
台子初炭手前から始まり、炭が熾り湯が沸く間に別室にて一献と昼食、銅鑼で後入りし、
濃茶、後炭、薄茶と続きます。
後炭のことを書いておきます。
後炭担当のFさんが釜を上げると火がきれいに回っていて胴炭も好い塩梅です。
黒い方を上にして真ん中に火箸を入れると、綺麗に2つに割れ、感嘆の声が・・・。
「後炭で胴炭を割ることはやさしいようで難しいのです。
一つは細めの胴炭を選ぶこと、半分以上燃えるように初炭の炭の置き方などいろいろあって、
茶事のごちそうの一つだと思います」
「後炭ではじめて胴炭を割りました。それにしても後炭は(手が)熱いですね」
「輪胴を入れてみましょう。2つに割った炭を生かして・・・」
炭手前、特に後炭は炉中の火の残り方、これからの茶事の流れを考えて炭を選ばなくてはいけません。
炉中の様子がそのたびに違うので下火や崩れ方によってどのように継いでいくのか、
炭の面白さであり後炭の醍醐味でしょうか。
・・・丸ぎっちょ、丸管と割り管と枝炭、最後に点炭が継がれ、元の席へ戻りました。
ヤカンに乗せた濡れ茶巾で釜が浄められると湯気が立ち上がり、またまた嘆声が・・・。
社中みんなで炉を囲み、濃茶を点て、薄茶を点て合って、楽しく和やかに初釜が過ぎていきます。
「なんて平和で幸せな初釜なんだろう!」
と何度も思いました。
・・・それに、みなさま、初釜をお祝いしてステキな着物でいらしてくださり、心華やぎ感謝です。
今年1年、前をしっかり向いて楽しみながら茶道に精進することを心に誓い合った初釜でした。
こちらこそ今年もどうぞ宜しくお願い致します。
追伸)
暁庵の裏千家茶道教室では生徒さんを募集しております。
詳しくはホームページをご覧いただき、ご検討くださいませ。ご縁があると嬉しいです・・・。
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