暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

新・釜師長野家の初釜 in 2016・・・(1)

2016年01月20日 | 茶事・茶会(2015年~他会記録)
                          
                                  :: 雪 :::

1月17日、新進気鋭の釜師・長野新氏&珠己さんご夫妻の初釜へ出かけました。

横浜から東京、上野を経由して桶川駅まで乗り換えなし、1時間15分位でしょうか。
その間、お客様の紹介文を読んだり、4年ぶりに伺う初釜のご挨拶をぼんやり考えていました(正客を頼まれていた・・・)。
時間があったので下手な短歌をひねりだし、懐紙に書き留めました。

桶川に到着。カフェで御連客のT氏とIさんに偶然お会いし、幸先の良いスタートです。
11時半に全員が揃い、自己紹介を兼ねてご挨拶を交わします。
三客と詰の方が急病、急用で来られなくなり、ご亭主の同門社中・S氏に詰をお願いしました。
席入し、各流儀の仕方で床の拝見をして頂きましたが、裏千家流は私だけで、宗編流2人、表千家流4人でした。
足の運びや動座が流儀によって異なり、初座から興味津々でした。

                           

「どうぞお入りを・・・」「失礼します」
最初のご挨拶をご亭主の長野新氏と懐かしく交わしました。
「おめでとうございます・・・・」
床の掛物は「元日・・・」のめでたい書と見事な晩白柚の正月飾り、
脇床に干支の猿の嵯峨面、伏見人形、土鈴が置かれ、
近くの寺の竹林から竹を刈って作ったという青竹花入に紅白の椿が入っています。

長野夫妻の年初に懸ける心意気を快く感じながら、道中でひねり出した短歌を披露しました。

    横浜と3℃違うと文にあり 着ぶくれの身の気を引き締めて

    新進の釜師夫妻の初釜は いかなる釜か・・と夢見る車中

    出迎えの空っ風に足踏みし カカア天下の庵へ急ぎぬ


「カカア天下」とは、陰になり日向になり夫を支える、しっかり者の女房のことです・・・と付け加えました。

                           

車中であれこれ思い描いていた釜は達磨釜(だつまがま)、
達磨とは数珠の達磨(数珠の親玉で算盤玉に似ている)を言うそうです。
新氏造の釜なので、釜肌の味わいが抜群で、古天命を髣髴させます。
鬼面鐶付がやさしく見えたのは私だけかしら?
使えば使うほど釜肌が好くなるのが和づく釜の魅力だそうで、釜好きの血が騒ぎます
かわいらしい分銅形の灰器は宮島焼(広島県)、珠己さんの作でした。

表千家流の炉の初炭手前が新鮮でした。
炭斗の炭の置き方、炭の数からして裏千家とは違います。
炭手前は一番流派の違いが鮮明な上、めったに見れないこともあり、楽しみの一つです。
香合の拝見の仕方も流派ごとに違うので面白かったです。
深みとモダンが同居する飴色の香合を丁寧に扱いたくて、古帛紗に乗せて拝見してみました。
練香が一つ残っていたので、懐紙に出して裏を拝見すると、大樋とあり、
九代大樋長左衛門作の糸巻香合、香は芝舟です。

・・・それからが大変!  


      新・釜師長野家の初釜 in 2016・・・(2)へつづく