暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

灑雪庵 水無月の正午の茶事ー2

2014年06月13日 | 茶事  京都編
              満開の雪ノ下・・・池川ギャラリーにて
(つづき)
お香を楽しんだ後、懐石です。
京都へ来たときは、自分で作るなんて全く考えていなかったのですが、
回を重ねると、味はともかく、何とか一人でできるようになりました。
これも茶事友のお招きと多大な刺激のおかげです。
一献目は梅酒をワイングラスでお出ししました。

 懐石献立
   向付   鯛と帆立のカルパッチョ
        (鯛、帆立、赤黄橙のピーマン、赤玉葱、カイワレ)
   飯    コシヒカリ(富山県産)
   汁    じゅんさい  青楓麩  赤味噌  粉山椒
   煮物椀  真蒸(海老、枝豆) 三つ葉 てまり麩 しいたけ 青柚子
   焼物   スズキ幽庵焼 (粉山椒)
   炊合せ  茄子水晶煮  鳥の丸  オクラ   
   箸洗   オレンジピール  
   八寸   アスパラ牛肉巻  しし唐の天ぷら 
   香の物  タクワン 赤カブ甘酢漬  壬生菜漬
   梅酒   加賀梅酒
   酒    松竹梅・白壁蔵 (囲碁大会の優勝賞品)

直前に箸洗の椀を出し忘れているのに気が付き、省略しようかしら?
「あらっ! さっきの汲出しでよろしいのでは?」とお正客さま。
「(合点 )・・・そのようにさせていただきます」
宇和島土産のオレンジピールをハサミで切って白湯を注ぎました。

              
                ニッコウキスゲの群落(六甲高山植物園)   

さて、懐石も終わり、風炉の茶事で一番難しい初炭です。
後座に湯相、火相よく濃茶を差し上げるために、工夫のしどころです。
何度も失敗を繰り返しながら、席入の2時間前には風炉に火を入れて、
風炉を十分にあたためておくようにしています。

席入り前(待合に客が集まるころ)に炭を引き上げ、取り換えますが、
一人亭主で懐石時間が長くなることを考慮して多目に入れます。
今回は、丸ぎっちょ3本と、後へ(前から見えない所)輪胴を入れてみました。
この時、釜の水を改め、用意した水(必要なら湯を足す)に変えました。
最初にお香を予定していたので、敷香は無しとしました。

              
         マムシ草(六甲高山植物園)    鯉(姫路・好古園)

灰型は二文字押切、
風炉釜は真形、高橋敬典造、風炉は唐銅・面取道安、一之瀬宗和造です。
香合は水に因んで舟、
大徳寺別院・浮見堂古材で作られ、京都の指物師・誠中斉作、
香は白檀です。

舟香合は、N先生から3月の利休忌に京都へいらした時に贈られたお品で、
早速茶事に使わせて頂きました。
正客のKさまもN先生に嬉しい土産話ができます・・・と喜んでくださって、
舟香合が一入、尊く味わい深く見えてきました。

縁高で主菓子の「金魚」(松彌製)をお出しし、中立をお願いしました。
寺町通の和菓子店「松彌」:中京区新烏丸二条上る )               

             
               赤と黄の「金魚」が涼しげに泳いでいます


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