暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

京都の春を惜しむ茶会ー2

2014年05月06日 | 茶事  京都編
               著莪 (しゃが)  西賀茂・正伝寺にて
(つづき)
濃茶の頃には雨が上がり、陽が射してきました。 
京都は盆地のせいか、くるくる天気が変わり、予報が当たりにくいのです。

重茶碗、次いで建水を運び出し、柄杓を引いて総礼です。
親友から贈られた水色の帛紗で四方捌きをし、茶入を浄めました。
帛紗を捌き直して茶杓を閑かに浄めます。
いつもと変わらぬ所作ですが、気持ちが充実しているのを感じました。

すると、何処からか、声が聴こえてきます。
「上手に出来たと思った時は点前に我がでている」・・・と。

              

一碗目を練り上げ、「お二人様で・・・」とお出ししました。
服加減をお尋ねすると、「おいしゅうございます・・」
安堵しながら、二服目の茶碗に湯を入れました。
赤楽茶碗ですが、大きな平茶碗なのでゆっくり廻して
茶碗を温めてから茶巾で拭きました。
熱々の湯でたっぷり濃茶を練り上げ、後の三人さまへお出ししました。        

濃茶は「錦上の昔」、柳桜園詰です。
主菓子は「あやめ」、百万遍のかぎ屋政秋製です。
白餡を薄紫のグラーデーションの外郎生地が包み、頂点に仄かな黄色、
見た目も中身も上品で、私の手づくりとは一味違います。

              

さて、これからが問題・・・重茶碗で続き薄です。
次のようにしてみましたが、如何かしら?

主茶碗の湯を捨ててから「勝手ながら続いてお薄を・・・」
茶巾、茶筅を入れ、茶碗を持って棚正面を向き、
建水の少し上方に主茶碗を置き、居前に戻りました。

もう一碗が返り、総礼後、湯を入れてすすぎ、捨ててから
棚正面に持ってまわり、左手で次茶碗を建水上に置き、
主茶碗を両手で重ねます。
建水を水屋へ下げ、次いで重茶碗を下げました。

 (影の声・・・ここでのんびりしていていいの?
         これからが大変だったのに・・・)

              
                     尾戸焼  銘「松竹梅」
・・そうなんです。
干菓子を運び、薄茶を2服点ててから、
半東をお願いしていたKさまとお点前を交代して、お客さまとお話をしました。
奥の深い(?)お話がはずんで、つい時間を忘れていました。

「関東では薄茶は一服ですが、こちらは二服が多いです」
・・・と二服目に入ってからのこと、電話が鳴りました。
予約していたタクシーの運転手さんからで、迎えを知らせる電話でした。

拝見もこれからでしたが、茶会を閉めることになり、
タクシーへ乗り込んで、予約していたレストランへ向かいました。
レストランの2階サロンを借り切って、第2部、第3部・・・が続きますが、
ご想像におまかせしますね。

心残りは多々ありますけれど、またのご縁があれば・・・嬉しいです。
懲りずにお付き合いくださいまし。

     
罪滅ぼし(?)に拝見を追加しました・・。

             

茶入は肩衝、丹波焼の石田陶春さんという女性作家です。
仕覆は笹蔓緞子、茶入に添っていたものです。

茶杓は福本積応和尚作で、銘「庵の友」です。
「古材の煤竹を以て之を作る」と箱の裏に書かれています。
灑雪庵へ初めていらっしゃるお客さまがあると
「いつまでも庵の友でいてほしい・・・」と願いを込めて使っています。

            

薄器は、加賀市の中村宗恭氏作の几帳平棗です。
几帳の中に2羽の鳳凰、牡丹、萩、菊が描かれていて、華やかな棗ですが、
茶会に使うのは初めてかもしれません。

床いっぱいの茶花を眺めながら、愉しかった茶会のあれこれを
思い出していましたら、後礼のお便りやメールが届きました。
優しいお心遣いに感謝申し上げます。  
                                  

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