暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

灑雪庵・秋の茶会-2

2013年11月06日 | 茶事  京都編
(つづき)
第二席目は五名様、都合で正客なしとさせて頂きました。
席入順で、枚方市のKさま、神戸市の同じ社中のHさま、
西宮市のTさま、札幌市のHTさま、詰は狭山市のNさま、
初めての御目文字は胸が高鳴り、再会も嬉しさで胸いっぱいでした。

申し合わせで香はKさま、花はHさまにお願いしました。

                
                 名残りの花
                 オミナエシ、桔梗、ホトトギス

濃茶を重茶碗で二服お点てしました。
紅の帛紗を捌いて茶入を清め、捌き直して茶杓を清めていきます。
茶筅通しで三度打ち、心の中で「ラン パン ウン」
浄めの呪文(?)を唱え、茶筅と茶碗を清めます。

薄暗く静寂の中、濃茶を点てる所作に主客ともに集中していく、
まさに茶の醍醐味ここにあり・・・。
茶の香りが拡がる中、濃茶を一心に練り上げました。
茶銘は雲門の昔、一保堂詰です。

一碗目は黒楽茶碗、愛用の長次郎「喝食(かつじき)」写、
二椀目は赤楽茶碗、銘「玉三郎」です。

一席目の黒色の歪んだ形状の茶入は揖保川焼・池川みどり造です。
茶会前に茶友Kさんから偶然送られてきたものです。
「濃茶はしないので暁庵さんに永久貸与(?)します。
 使ってくださると茶入も喜ぶと思いますので・・・」
Kさんのお気持ちが嬉しく、後述の茶会テーマにぴったりで、
早速使わせていただきました。

二席目の茶入は朝鮮唐津の茶入、唐津・鏡山窯の井上東也造です。
私にとって思い出深い茶入ですが、今回はモノトーンということで・・・。

             

薄茶になると、お客さまも緊張が解けたようで和やかになりました。
煙草盆と干菓子(鶴屋吉信製)をお出しし、
薄茶を二服点ててから、半東Yさんにお願いしました。

薄茶席で「秋の茶会」のテーマ「道具の存在を消す」
についてお話したかったのです。
利休さまがこのテーマを追及され、黒楽と赤楽の茶碗が生み出された
・・・と伺ったことがきっかけです。
名残りの時季でこのテーマがやり易かったこともありますが、
「道具の存在を消す」道具組で実際に試みてみました。
奥深いテーマなので、機会を見つけて、また取り組んでみたいです。

薄茶席に登場した侘びた茶碗ですが、
志戸呂焼茶碗と虫明焼二椀で、虫明焼は骨董市で購入したものと、
「虫明焼の栞」10周年記念で頂戴した茶碗でした。
これらもテーマにぴったり、不思議なご縁を感じて使いました。
細水指は紅葉がひそやかに散る丹波焼、
茶杓は銘「秋しぐれ」です。

             
                   Hさま手づくりのランプ

「秋の茶会」の主役はお客さまと亭主で盛会(正解?)でした。
香の効能もあってか、楽しく一座建立できましたこと、深謝いたします。
お茶を通じてお人との交流が素晴らしい体験で、特に退出の時の
お客様の顔がきらきらと輝いていらしたのが印象に残っています。
またの御目文字を楽しみにしております。

お客さま、半東Yさま、たくさんの友人、主人に支えられた茶会でした・・・。
ありがとうございます!

                                
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