暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

蓮華院・名残の茶会 (3)花と薄茶

2011年10月26日 | 三溪園&茶会
煙草盆、干菓子が運ばれ、Kさんの薄茶点前が始まりました。
しばらくして替え茶碗を持って席へ入りました。
濃茶では静かに拙い点前を見守ってくださったので、
お正客さまよりいろいろお尋ねがありました。

数珠玉と野紺菊をひさごの花入にいれました。
花のテーマは、「祈りと再生」でしょうか?
可憐な野紺菊に野生のエネルギーを託して・・・。

花は最後まで迷っていましたが、Sさんの茶花の話にヒントを頂き、
蓮華院には数珠玉がふさわしいと捜しました。
近所の畑で見つけたときの嬉しさ・・・。
数珠玉をよく採りに行った幼き日の思い出をお客さまとお話ししました。

                  

風炉は唐銅の道安(一之瀬宗和造)、
釜は桐文車軸釜、桃山から江戸初期の伊予芦屋釜の写しで、
和づく釜の釜師・長野新氏に特注したお気に入りです。
繊細な総糸目になっていて、胴を団扇形に抜いて桐文が格調高く描かれています。
優雅さと粋を感じる風炉釜です。

水無月の茶事に続いてお披露目するのは二回目ですが、
和づく釜は使い込むほど味わい深い釜肌になるそうで、
使い育てるのが楽しみです。

                  

棚は円相棚、水指は高取焼です。
円相棚はどこの流派の棚かわからなかったのですが、
煤竹が使われていて詫びた雰囲気が気に入っています。
お客さまから煎茶の棚のようだと教えられ、調べてみようと思っています

蓮華院の歴史、お道具や京都行きのことなどを楽しくお話ししている間に
薄茶が点てられ、続き薄茶なので次客さまからのんで戴きました。

薄茶の茶碗に、今の心境を託してみました。
主茶碗は利陶造の志戸呂焼、形が州浜のように少し変形しています。

長年の念願かなって京都(京焼)へ向けて準備中ですが、
横浜(神奈川焼)にも未練があって、
ちょうど真ん中の静岡(志戸呂焼)あたりでうろうろ
・・・といったところです。
替茶碗は神奈川焼・井上良斎造の「うずまき茶碗」、
四客さまの茶碗は、京焼の三代三浦竹泉造の祥瑞にしました。

                  
                  

この日(10月16日)は前線の通過後で、くもりのち晴れ。
30℃近くまで気温が上がり、蒸し暑い日でした。
横浜三溪園の紅葉はまだまだ先のようですが、
もう一服、紅葉の数茶碗で薄茶を愉しんで頂きました。

                            のち 

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