暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

観月茶会(2) 月に逢う  

2011年10月07日 | 茶会・香席
お茶の郷・友賢庵の観月茶会(三席目)は18時30分からはじまりました。
遠州お好みの友賢庵は長四畳台目で、一席七名でした。

寄付の縦目楼(しゅうもくろう)は、遠州が住んでいた伏見奉行屋敷と、
松花堂相乗が住んでいた石清水八幡宮滝本坊を合わせたもので、
寛永時代の建築物を図面から起し、復元しています。

俳画が掛けられていて、月との最初の出逢いでした。

               
             「花なくて 明けてもみなん けふの月」(たぶん・・・)

縦目楼の奥の臨水亭(伏見奉行屋敷の鎖の間ゆらい)が点心席でした。
床には「掬水月在手」、紫野寛道和尚の筆です。
こちらで水に映る月に出逢いました。

書院の窓にはススキ、月見だんご、衣かつぎ(里芋)が飾られています。
ライトアップされた観月台や池庭が幻想的に浮かび上がる様は、
夜の茶会ならではの醍醐味でしょうか。
松花堂弁当、吸い物、一献を頂戴しました。

点心のあと、提灯を持って庭をぐるっと巡り、小間席へ。
広い庭は小堀遠州作の仙洞御所東庭を五分の一に縮尺した回遊式庭園で、
直線と曲線を巧みに組み合わせた作庭がお好みだとか。

縦目楼の反対側の庭へ出ると、やっと月が見えました。
三日月が澄んだ夜空に神々しく輝いています。
「満月も好いけれど三日月もまた佳きかな・・・」
と、三人で妙に納得して見入りました。

               
               

   野に山にうかれうかれて帰るさを
       寝屋まで送る秋の夜の月   蓮月

友賢庵の床に大好きな蓮月の歌が掛けられ、四つ目の月に出逢いました。
長四畳台目席にゆったり七人が座り、点前が始まりましたが、
私の席から点前は見えず、水指の後姿だけが見え気になっていました。
あとで席主から耳付水指は利陶造の志戸呂焼と伺い、嬉しい出会いでした。
菓子「野辺の秋風」と薄茶(地元のオリジナル)を美味しく頂戴しました。

最後にもう一つ、月を見ました。
一瓢造、秋草蒔絵の棗にうっすらと蓋表に月が・・・。
とても暗かったので席主に言われて気が付きました。
たくさんの月との出逢いを楽しんだ観月茶会でした。

               

帰りにはいくら捜しても雲に隠れ
「さっきの美しい三日月は幻だったのかしら?」

                     
     (観月茶会(1)焼津へ)      (観月茶会(3) 蔦の細道へ)