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暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

七夕と乞巧奠

2011年07月07日 | 茶道具
                      ( 赤芽柏  季節の花300提供 )
今日は7月7日(木)、新暦の七夕です。

昨年紹介した紀貫之の七夕の歌も素敵ですが、
紀貫之と深い友情で結ばれていた凡河内躬恒( おうしこうちのみつね)が詠んだ
七夕の歌があります。

  七日の日の夜よめる

   たなばたにかしつる糸のうちはへて
        年の緒ながく恋ひやわたらむ    凡河内躬恒

   歌の意は、七月七日には機織(はたおり)の上達を願って
   織女星に糸をお供えするけれども、
   その糸のように長く、何年も何年も私はあの人を恋し続けるのだろうか。

仕覆づくりで針を持ち、長い絹糸を組んだり撚ったりすることが多いので
躬恒の歌が現実的にせまってきます。

七夕にちなむ「乞巧奠(きっこうでん)」は中国で始まりました。
牽牛と織女の二つの星が、年に一度この日に会えるという伝説から発展して、
女性たちが手芸や裁縫の上達を祈る祭りです。

奈良時代に日本へ伝わり、宮中の年中行事となりました。
平安時代の乞巧奠は、宮中の庭に蓮を敷き、その上に山海の産物とともに
赤芽柏の葉に五色の糸を通した七本の針を刺して供え、琴や香炉を飾ります。

さらに時代によって祈りの対象や風習が違ってきます。
室町時代は歌でした。
江戸時代になると、手習いの普及により習字の上達を願うようになりました。
七夕の朝、子供たちは里芋の葉の露を集めて墨をすり、
習字をして上達を祈るという、素朴で美しい風習が生まれました。

                
                       「 里芋の葉の露 」

                
                   「 仕覆づくりの道具類 」

我が家でも「乞巧奠」にあやかって
仕覆づくりの道具がほぼ揃ったので絹糸、糸巻、組紐器を飾ってみました。

                
                     「 かせくり器 」

絹糸は、K先生に紹介して頂いた糸屋から送ってもらいました。
その糸を糸巻に巻く時に活躍するのが、「かせくり器」です。
これがあれば一人でも巻くことができる優れものです。

                
                     「 糸巻とミツクリ 」

編み袋の紐や仕覆のつがりをつくるときに使う「ミツクリ」。
他にも製図道具や裁縫箱もがありますが、またの機会に・・・。

さて、気持ちを引き締めて
「二礼二拍手一礼」
 (どうぞ仕覆づくりが何とかものになりますように・・・
  あとでお茶とお菓子を献じますので、何卒おたのもうします)
  
                               

追記) 2年前の2009年7月7日に書いた記事(四国遍路・一期一会とそのシリーズ
     七夕のご縁でお読み頂けると嬉しいです(実は私も久しぶりに読み返しました・・・)。