暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

はつ風の香席 (1)

2010年08月03日 | 茶会・香席
8月1日(日)BSジャパンで放映された
「奥深き香道を継ぐ~500年の時を越えて~」を観て
門外漢ながら香道や香木への興味をつのらせています・・・。

盛夏の候、茶友のIさんから再び香席へお招きいただきました。
「何卒、また香席へ伺いたく・・」という要望に応えてくださったのです。

お客さまは五名、始めての方が多かったので、
前回同様、資料とメモ用の筆記用具が配られました。
香席へ入る前に別室で六国五味や組香についてレクチャーを受けました。

香席では、組香といって先ず3種の香(試み香、伽羅、羅国などの香木で、
和歌より香銘が付けられている)を聞きます。
次いで本香2種(試み香から1種と、今まで聞いていない香1種)を聞き、
この2種の組合わせを当てるのだそうです。
なんせ、2回目ですので間違っていたら、ごめんなさい。

その日の組香は「はつかぜ香」でした。
はつ風とは、八月終りか九月初め頃にふと「秋が来たなぁ~」と
一瞬感じる、爽やかな風を呼ぶそうです。

香銘「心、扇、露」は、秋のはつ風に因む和歌三種から付けられています。
優雅な香銘「心」と「扇」は、大好きな西行法師と式子内親王の和歌からと知り、
香席への期待で胸が膨らみました・・・。

                

頂いた資料には次のように書かれていました。

    「はつかぜ香」

 一.心   二、扇   三、露
 上の三種を各二炷(ちゅう)づつ用意し、内一炷づつ試む。
 残り三炷を内交ぜて一炷を選び、ウ一炷(今まで聞いていない香)を
 加えて本香二炷となす。 ウは初風の心なり。

     心         新古今   西行法師
  おしなべて ものを思はぬ人にさへ 
          心をつくる 秋のはつ風

     扇         新古今   式子内親王
  うたた寝の 朝けの袖にかはるなり 
          ならす扇の 秋のはつ風

     露         新古今   源 具親
  しき妙の 枕の上に過ぎぬなり 
          露をたづぬる 秋のはつ風

                        
いよいよ香席へ入りました。
香炭団が入っている香炉が二つ並べられ、灰手前が始まりました。
灰をかき上げ、灰押さえで灰を押さえながら円錐をつくり、
羽箒で際を整え、火箸で五面に十本づつ小筋を入れていきます。
正面に聞き筋を1本入れ、火窓があけられました。

Iさんの凛とした姿勢、確かな手の動き、茶道とは違う所作を
一同、真剣に息を詰めるように見つめました。

          (2)へつづく              

   写真は、「カラスウリの花」と「風にゆれるガマの穂」です。