鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

弁護士なしで、自ら法廷に臨んだ被告が堂々と原告側と渡り合ったのは立派といえる

2024-03-13 | Weblog

 12日は東京・霞が関の東京地裁へ裁判の傍聴に行った。午後1時半から607号法廷で女性が男性に対して損害賠償を求めている裁判を途中から傍聴することにした。法廷に入ると、原告の若い女性が弁護士の尋問に答えている場面で、交際相手の男性に対して妊娠した事実を告げて、堕胎するとか、産むとかでもめているなどと話していた。被告席をみると、ネクタイもないシャツを着ているだけの若い男性が1人座っているだけで、弁護士らしい人は見当たらなかった。

 裁判が進む中で、どうやらその男性は被告のようで、原告への主尋問が終わると、裁判長が被告に向かって原告に対し、反対尋問をするように言った。弁護士もなく裁判に臨む例は原告の場合はごくたまに見てきたことがあったが、被告が自ら裁判に臨むのを見たのは初めてのことで、できるかのかなと思って見ていると、かねて用意してきたのであろうメモ用紙を見ながら、被告に対し、「子供を産むと言ったすぐ後に堕胎すると言ったり、職場で嫌がらせを受けたりして数々のトラブルを起こしたりし、とにかく異常な行動が多すぎる」と原告を問い詰めたり、「原告に呼び出されて、住まいに行ったら、ベランダに閉じ込められ、4階から飛び降りて帰ってきたら、メールで『危ないことはしないで』と送ってきたのは理解に苦しむ」と原告へ訴えた。

 その後、裁判長から被告への尋問に対し、「子供を産む、産まないは基本的には本人の意思が最優先だと思っていた」と答えたほか、原告からハラスメントを受けていたと訴えたほか、原告には被告以外に数々の男性関係があったことを伝え、「原告との関係はベランダに閉じ込められた事件が起きた時に終わったと思った。原告は危険な人物と思うようになった」とも語った。

 原告の代理人による被告への反対尋問で、被告は「結婚も、出産も前向きに考えていた」と語り、中絶費用についても「30万円を渡している」と責任を取ったし、「常に相手の意思を尊重して対応してきた」と悪びれることなく、話した。

 証人尋問を終えて、裁判長は一応、最終弁論となる次回の日程を4月下旬に決めたが、同時にこの後和解について双方の考えを聞くために上の会議室に順次、呼び込むことにした。今回の証人尋問を聞いている限り、最終的な軍配はどう見ても被告側にあるようで、賠償請求金額が大幅に削られてケリとなるような気がした。

 これまで数々の民事裁判を傍聴してきたが、今回のように被告自らが弁護士役も引き受けて裁判の場に臨んだのを見たのは例がなく、それで堂々と裁判長、原告側と渡り合ったのは見事といわざるを得ず、むじろ立派だった、と思う。もともと裁判はなにかの争点を当事者同士で解決がつかないから訴え出て、法廷で決着をつけるものだと思っていたが、このようにお互いで話し合えば解決できるものだったのではないか、という気もしてきた。

  

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