WALKER’S 

歩く男の日日

10日目 5月3日

2009-06-16 | 09年四国の旅

 5:43
昨日まで4日続きの快晴、今日は久々の曇りの予報、でも雨の心配はないようだ。今日の行程は39.7km。小さな山が3つあるけれど、比較的楽な行程、もちろん3時に宿に入るつもりだ。10時10分のフェリーに乗らねばならないので、余裕を持って5時26分に宿を発つ、同宿同部屋の3人はまだ床の中だ。


 5:44
っと川沿いの道を歩いてきて、そのまま右の方へいってしまう人がいる、ぼくも最初の時そうだった。でも遍路道は左、遍路標識も貼ってあるけれど、右の道を歩いていると目に入らない。


 5:55 サンピア高知
29番から32番までの遍路道沿いにある宿はレインボー北星とこの宿だけ、でも値段が高いので敬遠せざるを得ない、遍路道をはずれて高知の中心部のホテルに泊まる人が圧倒的に多いようだ。2食付き9000円、素泊まり5000円、素泊まりの相部屋は2500円。


 6:07
県道374号からこの高須橋までの遍路道が本物の遍路道で最高。田んぼの中を真っ直ぐ突っ切っている。残念なのはその手前、国分川から374号までの古い道が消えてしまっていること。


 6:09
橋を渡って国道195号に出てくると、脇を後免線が走っている。土佐電鉄後免線は、あのごめん・なはり線(土佐くろしお鉄道阿佐線)とは全く別の鉄道。ごめん・なはり線は土讃線の後免が起点になっていて、二つ目の駅、後免町の近くに後免線の終点、後免町が寄り添うようにある。写真の駅は文珠通。


 6:15
いよいよ五台山が近い。竹林寺はこちらから見ると反対側にあるので五重塔の姿は見えない。


 6:19
北側からは昨年登ったので、今年は自信を持って登ることができる。本当は高知駅の近くの旅館に泊まるつもりだったから、この道は去年で最後だと思っていたけれど。来年は国分寺の手前の宿に泊まる計画なので、またこの道を登ることになる。


 6:23
4分登ると、見晴らしのいいところに出てきた。サンピア高知もかすかにではあるけど捉えることができる。


 6:31
そんなに高い山ではないけれど、2日ぶりの山登りということもあって、少し息が上がりかける。でも昨年登った記憶が残っているので、余裕はある。牧野植物園まで上がってくると、間もなく五重塔が目に入ってくる。


 6:34
の時間だと植物園は営業していないけれど、お遍路が通るので入り口は開けてくれている。知らずの内に植物園の中に紛れ込んでいるので、お遍路にとっては出口になるけれど。6年前、最初来たときはこういう感じではなくて、脱出するのにちょっと苦労した覚えがある。ここを出るとすぐ目の前に山門に続く石段が待っている。


 6:46 竹林寺
山門の前に着いたのは6時34分、宿から67分、昨年より1分早かった。とくに意識したわけではないけれど、昨日よりは出足の軽さは感じた。1時間早かったので気温が低かったのが影響したのかもしれない。
 お詣りを終えて納経所に着いたのは6時50分、迷彩柄の服を着た男の人が待っていた、大きな荷物をカートに乗せている。野宿だからこの時間に来られる訳だ。


 7:03
納経は7時3分前から始めてくれたので、山門を出たのは7時2分。南側へ下りるこの坂が曲者。石段というより岩段といった方がいいだろう。元はきれいに並べtられていたのかもしれないけど、相当風化して荒れ果てた状態になっている。安定した足の踏み場を見つけるのに苦労する。しかも相当急な傾斜で、油断をしたら大変なことになりそうなので、慎重にならざるを得ない。スピードは普通の下りや階段の半分も出ていないような気がする。


 7:09
下りてきたところが五台山小学校、躍動感が全くなく、相当時間を食ったという感じ。


 7:10
下田川を渡る。右岸を行く道にも赤線はついているけれど、左岸の方が歩きやすい。


 7:11
川を渡って振り返ると、五重塔が見えている。


 7:25
江戸時代や明治時代のお遍路が歩いていた道かどうかは不明だけれど、右手が山、左手は田んぼのいい感じの遍路道。


 7:27
と思っていたら、いきなり右の山肌が大きく削られている、この先県道247号に当たるところでは4年くらい前まで歩いていた道が完全になくなってしまった。


 7:37
7回も来ていて、なかなか立ち寄るだけの余裕が持てないまま。


 7:43
車の通るトンネルは東洋町の相間トンネル以来、4日ぶりということになる。歩道はある。


 7:49
トンネルを抜け、新興住宅地を抜けると、これから登る禅師峰寺の山が見える。わずか80mだけど、楽な山道はない。


 7:53
突き当たりの壁に大きな文字で禅師峰寺は右の矢印があるけれど、これは車のための標識、歩きの人は左に折れなければならない。歩きのための遍路シールもあるけれど、この大きな標識に目を奪われて右折する人もいる、昨年も見かけた。


 7:59
歩き道は本堂まで340m、5分で登れば同タイムだけれど、なかなかそうもいきそうにない。足取りはしっかりしているけれど、ここまででちょっと時間がかかったかもしれない。


 8:05
1分遅れで山門に到着、やはり竹林寺の下りに時間をかけすぎたのかもしれない。フェリーの時間に合わせると40分くらい休むことができる。


 8:24
お詣りを終えて納経所にいくと、その横の本坊の玄関前にワンコがゆったり寝そべっている。ぼくの後から来た車遍路のカップルがその体中をなで回しても気持ちよさそうにおとなしくしていた。
 また階段を上って境内の見晴らしのいいところで休憩する。8時45分に発つ。山を下る途中でカート遍路さんとすれ違う、3.4kmくらいの速さということになる。カートだからあの山道を下ったかどうかは判らないけれど。


 9:11
トンネルへ入る道の下をくぐって直進するのが遍路道だけど、最初の時どういうわけかこのトンネルへ入ってしまった。次のトンネルの手前でようやくおかしいことに気がついて引き返したけれど、どうしてそんな間違いが起こったのか、いまだによく分からない。その日の朝起きたときに足がひどく痛んでいてまともに歩けなかった。身体が痛むと思考力も正常に働かなくなることがある。


 9:11
遍路シールをちゃんと見ていれば、なんなくこちらのトンネルに進むことができる。


 9:27
県道35号の交差点、あと1.8kmくらいでフェリー乗り場、でもこの最後の直線が長い。車もあまり通らない歩きやすい道だけど、なかなかあの標識が見えてこない。直線だけに先の先を見て、期待だけが先行してしまうのかもしれない。


 9:41
これがその標識。待ち遠しい分だけスピードは乗るような気はするけれど。


 9:43
例年と同タイムで待合所に到着、朝から調子がよかったので、意識しながら歩いた。すでに体格のいい男の人が休んでいる、野宿かもというくらいの大きな荷物。31番と32番の間に宿はないから、どこから来たのだろう。野宿でないとしたら、海老荘に泊まってあの道を往復したとしか考えられない。


 10:13
フェリーから浦戸大橋を撮影、一度はあの橋を渡って龍馬さんに会いに行かねばとは思っているけれど。


 10:22
龍馬さんに会うとここに出てくる。


 10:29 雪蹊寺
雪蹊寺には山門がないので、水屋のかわいいお大師さんを撮影。
フェリーを降りてから13分、同タイム。距離が短いからよっぽどでないと遅くも早くもならない。


 10:37
納経所の前に甘茶の用意がしてあった。昨年、60番横峰寺と別格10番西山興隆寺で用意されていたけれど、お接待はできる限り遠慮するようにしていたので頂かなかった。今年は納経帳も持っているし、白衣も着ているので、素直に頂ける。名前は知っていても一度も味わったことがないので、試してみるのも悪くない。でも、おかしな味だったら怖いので、ほんの一口だけにする。一口にしてよかった、とてもごくごく飲めるようなものではなかった。甘みもごくほんのり感じることはできるけれど、その何倍も薬草の味が勝っている。ま、でも貴重な体験でした。


 11:11
雪蹊寺ではお詣り、納経を含めて28分の休憩。10時57分に発つ。次の種間寺までは3年前にいい記録を出し過ぎたので、なかなか同じ記録が出せなかった。今回は朝からずっといい調子なので、同じ記録が出せそうな気がしている、その意欲があるだけで何とかなりそうだ。雪蹊寺を出て1.5km、春野町に入ったところが問題の分岐点。数年前までこの大きな標識がなかったから、迷うことなくこの自動車道(県道278号)を歩いてしまっていた。歩き道は直進する農道を行く、でも写真ではよく見えないけれど、支柱には歩きのための赤矢印も左を指しているのがややこしい。これは直進じゃないと意味がないでしょう。


 11:11
そばのミラーには歩きのための標識が付けてあるけど、注意していないと気がつかないかもしれない。


 11:15
初めて見る民宿の看板があった。遍路道からだいぶ離れた春野町の海岸線にあるので、へんろみち保存協力会の地図にも載っていなかった。33番雪蹊寺から土佐市の中心部まで13kmの間には全く宿がない。その真ん中の種間寺の周りに宿があれば重宝するお遍路がいっぱいいるのにと常々思っていた。この宿は送迎してくれるから、種間寺のそばにあるのに等しい。高知の中心部のホテルに泊まると種間寺まで24kmくらい、そして次の青龍寺のそばの宿まで25kmになる。丁度いい距離になる。


 11:26
これだけ真っ直ぐだと旧い遍路道という感じはしないけれど、とても気持ちよく歩ける道。


 11:29
こういう標識だと絶対迷うことはない。


 11:35
ちょっと珍しい名の川を渡る。橋は新川川橋。


 11:55 種間寺
3年前と同じ最高のタイムで到着、でも撮影のロスタイムは正確には計っていないので本当に同じタイムかどうかは判らない。もしそうだとしたら時速は6.7km、無理ではないけれど相当頑張らないと出ない数字。
 ここに着く100mくらい手前で、次の札所へ向かう男女の歩きの人が見えた。雪蹊寺の近くの宿を出て、この時間に未だここまでしか来ていないというのは首を傾げるしかないけれど、桂浜に寄り道していたのかもしれない。


 12:33
種間寺ではお詣り、納経を含めて27分の休憩。12時22分に発つ。今日はあと13kmで札所は一つ、3時には宿には入れそうだ。
 喫茶店の前に接待所があった。1杯頂きたい気持ちは満々だったけれど、これ以上休むと3時には着けそうにないので、我慢してスルーする。10分ほど歩いたところで先に出たカップルに追いついた、時速3kmも出ていないけれど、たぶん接待所で一服していたのかもしれない。


 13:04
国道56号の下をくぐってこの仁淀川大橋に上がってくるけれど、その600mくらい手前で先に川の土手に上がろうとしている夫婦遍路がいた。大声を出して引き戻してあげる。先に土手に上がっても行くことはできるけれど、橋の歩道は右側にしかないので、土手を行くと、56号に当たると横断歩道のないところを横切ることになる、交通量が多いので、ちょっと危険なことになる。


 13:05
川を渡ると土佐市、35番までの中間地点は未だ400m先。


 13:09
橋を渡ると気持ちの良い土手の道を行く。車が通らないのが何より気持ちいい。正面にこれから登る清滝寺の山が迫ってくる。画面の右の端、山の中腹に小さな白い点が見えますが、それが清滝寺の本坊の屋根。標高は130m、竹林寺とほぼ同じだけれど、竹林寺の倍くらいきついという印象がある。


 13:19
土手からは赤線が二つに分かれている。喜久屋旅館の前を通る南の道が本当の遍路道のようです。古い白黒の地図には北側の道に赤線はなかった。でもぼくは2年前から北側の道を行くようにしている、大して近道にもなっていないけれど、2年前のタイムが基準になっているので、別の道を行くと比較できないので、他の道は歩けなくなってしまった。写真は新しくできたバイパスの下を抜けるトンネル。


 13:35
ここまで近づくと、はっきり清滝寺の屋根が捉えられる。中腹でよかったと思うけれど、最後の石段はなまなかなものではないんだから。


 13:47
ここまでで82分かかっている、あと8分で上まで行けるわけない、と思う。


 13:56 清滝寺
例年より1分遅れで山門に到着、時間に追われながらきつい坂を登るのは本当にこたえる。山門に近づくほどきつくなるというのもまいる。しかも斜めの舗装道になっているから、一番スピードが出ない坂道になっている。そして、山門に着いても安心できない、さらに急な石段が待っている。境内まで上がると、もうへとへと、よたよたになっている。かけるだけの汗はかいたので、水屋ではまず何杯も水分補給をする。


 14:14
納経所の方へ行くと素晴らしい眺めが広がっていた、今まで納経したことがなかったのでこの眺めは初めて見る。宿までは30分だけど買い物もしなければならないのでゆっくり休んでいる暇はない。山門を出たのは2時22分。


 14:45
山の上でもかなり水は飲んだけれど、未だ相当渇いている感じがしたので、10日目にして初めて飲料を買う。グレープフルーツジュース500cc105円、ペットボトルは高いので紙パック入りの物しか買わない。


 15:03
昨年よりは1分遅いけれど、2年前、3年前とは同じタイムなので納得できる、時速も6.6kmだから、むしろ昨年が異常だったという感じもする。この写真を撮っているときから、中から女将さんの大きな声が聞こえている。電話でなにやら説明、案内をしているようだ。中に入って、腰をかけて電話が終わるのを待つ。終わると、電話の内容を説明してくれる。高知駅から、この宿へバスで向かう人がいて、この宿の近くのバス停を教えたところ、同じような名前のバス停が偶然真反対の香南市にもあって、そちらの方に行ってしまった、香南市から電話をしているという。それで、再度高知から土佐、須崎方面のバスに乗るように教えていたという。ちょっと信じられない間違い、普通行き先が大きく表示されているからそちらを見るはずでしょう。しかも、高知からいきなり土佐へ来るというのも、おかしな話。よく分からないまま、奥の別棟に案内される。奥の建物に泊まるのは、最初の時以来2度目、2回目から5回目まではずっと本館。すぐにお風呂を用意してくれる。風呂からあがってゆっくり、4時半頃、手洗いに1階に下りていくと、ちょうどお客さんが到着したところ、のぞいてみると、やはり昨日善楽寺の水屋でお話しした人だった、何とか辿り着けたようだ、笑顔で片手をあげて挨拶。そのあとも3組のお客さんが来て、いずれも本館の方の部屋へ通される、別棟はぼく一人。本館の方の部屋でも、隣の音は全く気にならないくらいだったけれど、より安心して静かに休める。布団もちょうどいい厚さでとても気持ちいい。冬用の布団を用意している旅館・民宿が多くて、この時季ちょっと眠りにくいということがある。
 喜久屋旅館は今年から素泊まり宿になった。料理の評判があまりよくなくて、全体の評価も低くなることがあったけれど、よくなかったのは料理だけなので、それがなくなった今、素泊まりのみではあるけれど、本当にいい宿になった。何しろ料金は3000円、徳島の大鶴旅館に匹敵する、最高の遍路宿だとぼくは思っている。

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