WALKER’S 

歩く男の日日

21日目 (1) 真弓峠

2008-07-26 | 08年四国の旅
 民宿来楽苦は豆腐料理のフルコース、ご主人の話によると、最初の頃は肉や魚を仕入れていたのだそうです、でもお遍路は当日のキャンセルや連絡なしのキャンセルが当たり前のようにあるから、食材を無駄にしてしまうことが多くて、それに懲りて、客の顔を見てから用意できる食材で料理をするようになったという。ご主人の本業は豆腐屋さんなのです。豆腐だけでは、安っぽいとか、単調だとか、量が不十分ではないかという印象があったのですが、全然そんなことはなかったですね。量は十分すぎるくらいだったし、美味しかったし、バリエーションもそれなりにあった。魚と天ぷらという旅館料理に飽きてきたお遍路にとってはかなり新鮮で好ましいものになるかもしれません。朝食に出たざる豆腐は初めて味わう本物の豆腐の味がしました。グルメ番組でよく聞く、大豆の味とはこういう味のことだったのかと素直に感動できました。
 内子町から久万高原町へは大きく分けると5通りくらいの道がある。この民宿来楽苦から1.7km先に突合という大きな分岐点があって歩き遍路の多くは左へ折れる近道を行く。ぼくも過去5回いずれもこの下坂場峠、鴇田峠へ続く道を歩きました。今回は別格に行ったので初めて突合から右へ折れて旧小田町経由の道を歩きます。真弓トンネルから先は農祖峠経由の道にしか赤線が引かれていませんが、昔の地図では農祖峠に赤線はなくその先の落合の交差点を左に折れる道と、その先の河口の三叉路を左に折れて先に45番に行く道に赤線が引いてあります。ぼくは八丁坂の茶屋跡に逆の方から登ってくる河口からの道に興味があったので、今回はその道を行くことにした。と言ったら、民宿のご主人は、農祖峠を含めて昔はそんな道を行くお遍路はいなかったというのです。それらは総て真弓トンネルができてから生まれた新しい遍路道だったのです。トンネルができる前の真弓峠はすごく険しくて誰も通らなかったという、小田町に泊まったお遍路は総てトンネルの手前の畑峠を越えて下坂場峠へ続く道に下りていったそうです。
 でもぼくはやはり予定通り河口を目指す。6時40分に民宿を発つ。今日歩く距離は昨日より14kmも少ない。昨日の疲れが出るかとも思ったけど、足の痛みも身体の疲労感も全くない。タイムも気にする必要はないから、ただただ初めての道を楽しみたい。旧小田町の市街に入っていくと通学する小学生や中学生がやってくる。中学生はほとんど自転車通学、すれ違う総ての子供たちが元気におはようございます、と挨拶してくれる。もちろん一人一人に返すのだけれど、その数の多いこと、市街を抜けるまでにゆうに100人以上の子供たちに挨拶した。
 市街を抜けたところに遍路小屋がある、ここまで6.5kmで62分。朝一番にしてはスピードが乗っていない。疲労はないけれど、昨日の暑さがじんわり身体全体にダメージを与えているような感じもする。10分ほどの休憩で6km先の真弓トンネルに向かう。三島神社からの短絡路は判りやすい遍路標識があって見落とすことはない。自動車道に上がってしばらく行くと畑峠へ向かう山道に遍路標識があった。そばに地元の人がいたので、道を尋ねると、その山道は本当の遍路道だといわれた。真弓トンネルへは自動車道をそのまま行けばよい。でも、何も知らない人がここへ来ると、トンネルの方へ行きたいのに畑峠へ行ってしまうということがままあるかもしれない。ちょっと悩ましい遍路標識です。トンネル手前の休憩所へはそこからすぐでした。370mの標高差があったので時速は5.7km。この道は車遍路、バイク遍路が必ず通る道だけれど、この時間全く車は通らない。20分の休憩で静かなトンネルを気持ちよく抜けていく。トンネルを抜けると緩やかな下りが続く。農祖峠へ向かう道を左に見ながらそのまま直進、1.5kmほどで写真の露峰休憩所に到着、10時16分、すでに半分以上の18kmを歩いてしまった。
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