WALKER’S 

歩く男の日日

18日目 5月11日

2009-07-08 | 09年四国の旅

 4:59
18日目の始まり、今日の行程は大洲市の別格8番十夜ヶ橋の少し先まで45.1kmの道のり。45kmを越えるのは、6日目の牟岐から佐喜浜まで以来だ。そのときは札所がない日だったけれど、今日は札所が3つあるので負担が大きい。3時までに宿に着くことはかり難しい。
 朝も熱い紅茶を2杯頂く。予定通りスポーツドリンク500cc、麦茶500ccをペットボトルに詰める。いつもは水道の水なのでとてもリッチな気分。5時45分に発つ。これ以上早く出ても納経が始まるまでに着いてしまうので意味はない。


 6:25
この少し手前の所で、小さな車がぼくの横に止まって、遍路装束の男の人が声をかける、「歩くの速いなあ、荷物になるかもしれんけど、よかったら持っていって」と大きな夏みかんを差し出す。ちょっとためらったけど、せっかくなので頂くことにした。何とかザックに詰めこむこともできた。夏みかんはお接待の定番だけれど、ぼくは夏みかんを頂くのは初めてだ。


 6:31
三間町は合併して現在は宇和島市になっている。ぼくのカメラは型が古くて逆光補正ができない。


 6:39
新しくできた民宿みまを確認、雰囲気はかなりよさそう。


 6:40
2回目から4回目まで、この務田駅まで歩いて、電車で宇和島まで戻って宇和島の宿に泊まるというややこしいことをしていた。ここまで歩くと次の日の行程がだいぶ楽になるし、宇和島には3500円の宿があった。まだもやいはできていなかった。


 6:41
田んぼの中の一本道、ここを歩くときはいつもえもいえぬ感動を覚える。


 6:54 龍光寺
例年より1分遅れ、誤差の範囲、朝からいい感じで歩けている。さっきみかんをくれたおじさんがまだ来ていない、どうしたことか。


 7:09
ぼくが納経を終える頃、ようやく車のおじさんが到着、「いやぁ、道に迷ってしまって・・・」、どうしたら迷えるんだろう。最初はちょっとかっこいいと思ったけれど、後々ずいぶんイメージと違うことが判明する。


 7:12
龍光寺の裏山を超える道、旧いへんろ道は中山池のほとりを行く道らしいけどちょっと遠回りになる。ぼくは1回目の時歩いたけれど、まあ1回で充分という感じ。


 7:17
県道に下りてくるところ、山越えといっても大した登りはなく僅か6分の山道。


 7:36
これも数年前まで影も形もなかった、西予市宇和町まで来ている松山道とつなげて宇和島、津島、やがては愛南、宿毛までつなげるつもりだろうけど、本当に必要なのかなと思ったりする。歩いている者からすれば、国道56号は高速道路のような感じがすることもある。
 この少し前の所で、民宿稲荷を出た男の人二人を追い抜く、龍光寺のお参りは昨日の内に済ませていたようだ。


 7:39 佛木寺
同タイムで仏木寺に到着、まだ全然調子は落ちていない。むしろ例年以上と言ってもいいくらい。


 8:06
仏木寺といえばこの茅葺きの鐘楼、この前のベンチで一休み。コペンおじさんに頂いた夏みかんを頂く。おじさんの言ってたとおり、果汁たっぷりでぼとぼとしたたり落ちる。


 8:15
10km近く歩いたので、仏木寺ではたっぷり30分の休憩、8時9分に出発する。仏木寺の前は真っ直ぐな県道、でも500m行くと山道が待っている。歯長峠はここからの標高差は290m、でもぼくはトンネルを行くので標高差は210m。


 8:21
最初の部分が石畳の急坂でひどく登りにくい。そんなに長くはないけれど、ちょっと意気がくじかれてしまう。


 8:32
県道とはいえ、ちょっとした勾配があって楽には歩けない。トンネルまで標高差は100m以上ある。


 8:36
標識に書いてあるとおり、きついのは最初だけ、だけれど、いっても鎖につかまりながら登るから楽ではない。ぼくは4回目からずっと県道を歩いている。


 8:42
歯長トンネルの中を歩く人が見える、この道を行く人は少ないので意外だった。歩道はない。


 8:46
トンネルを出たところに遍路小屋がある、仏木寺から37分なので、まだまだ休めない。


 8:46
トンネルの中が西予市と宇和島市の市境、5年前までは宇和町と吉田町の町境だった。


 8:47
遍路小屋のすぐ先に県道を離れる下りの道がある。とっても急な下りの道なので油断はできないし、スピードも出せない。


 8:55
県道が見えてきた、8分で150mを一気に下ったので、かなり膝に負担がかかった。


 8:56
この距離表示が正しいとしたら、仏木寺から3.6kmを47分で来たことになる。時速4.6kmだからトンネルといえどかなり厳しい山道だったことがわかる。鎖場、峠道を行くと10分余計にかかる。


 9:04
2年前までずっと、この遍路小屋で休んでいたけれど、3kmくらい先の休憩所に水道があることが分かったので、昨年から休まなくなった。


 9:05
肱川というと、大洲市内を流れている大きな川。番外霊場永照寺の方から歩いてくる女の人がいる。前にも番外の方へ歩いていく人を見たことがあるから、このお寺は有名なお寺なのかもしれない。


 9:12
年は探しながら歩いたのに確認できなかった民宿兵頭。今年は、なんなく見つけることができた。来年お世話になる予定。


 9:32
水道のある休憩所で一休み、この手前でもう一人女の人を追い抜いたけれど、二人とも全然やって来ない。ここまでに休めるような所はなかったはずだけど。
まだまだ先は長いので、13分の休憩で発つ。


 9:56
ここが松山道の終点になる。このトンネルが宇和の町の入り口になっている。


 10:02
この商店街に入る手前で右折する、へんろ道はこの300mくらい手前から斜めに入っていく。一度歩いたことがあるけれど、ちょっと首を傾げるような道だったので、以後は歩かないようになった。


 10:04
右折するとすぐ宇和高校の前を通る、すぐ県道を離れて旧くて細い道に入る。


 10:10
もう明石寺は目の前、でもこの急坂(写真では全然分からないけれど)があるのでなかなか辿り着けない。この坂はさっき歩いてきたトンネルの前の坂より遙かに急峻な感じさえする。


 10:15
たっぷり一汗かいて明石寺に到着、仏木寺からのトータルでベストタイムより5分遅れ。距離は10km以上あるし、撮影のロスタイムもあるけれど、ちょっと遅かったという感じはする。登りでは暑さの影響が加わった感じもするし、下りは慎重になりすぎたかもしれない。
 明石寺の納経所は、2年前連休中に来たときには大変なことになっていた。住職が一人一人に話しかけながら墨書をするので、あっという間に長蛇の列ができていった。今回は、連休も終わって、参拝者も少なく、住職でもないようだったので、至ってあっさり終了した。お参り、納経に17分、休憩なしで出発する。まだ25kmも残っている。


 10:31
宇和の町へ下りていくへんろ道ははっきり標識があるけれど、もう一つの山周りの近道にはどこから入っていいのかいまだに分からないでいる。一度くらいは歩いておきたいけれど。


 10:35
明石寺から最初は登りがあるけれどそれはごく短くて、あとは気持ちのいい下り坂が文化の里まで続く。


 10:44
ごらんのとおり、文化の里には電柱などないのだ。


 10:45
テレビにも登場する有名な松屋旅館、「旅の香り」と「遠くへ行きたい」で名物女将の顔を拝見した、ぼくは1回目の時にお世話になったのでとても懐かしい思いがした。


 10:45
松屋旅館の名物はお漬物、ぼくは素泊まりだったので味わっていない。ただし普通の2食付きで泊まっても味わえない、名物漬物は別料金になっている。


 10:49
歴史的町並みは最後まで行かず、途中で左折して卯之町駅の前に出てきた。


 11:27
宇和加茂郵便局の前で国道に合流する。大洲に入るまで国道に入ったり離れたりを繰り返す。


 11:36
昨年はへばって、飲料を買ってこのコンビニの前で休んだけれど、今年はまだその必要はない。


 11:38
サンクスから200m先に脇道がある。へんろみち保存協力会の地図にはこの道がなく国道に赤線が引かれているけれど、古い白黒の地図にはちゃんとこの脇道の方に赤線が引かれている。


 11:41
わずか300mで国道に合流、ぼくはトンネルを歩くので、この距離表示は関係ない。


 11:46
今度は相当長い脇道。天気は快晴、気温もずいぶん上がって、1時間以上歩き続けている。とても動きがいいとは言えない。明石寺を出てから歩きの人には会わない、目標がないと力が入りにくい。


 11:59
脇道は静かで歩きやすいけれど、味わう余裕はほとんどない。楽しめていない、太陽に打ち負かされている感じ。


 12:03
これが最後の脇道、ごく短いし、国道に合流すればすぐ休憩地点が待っている。


 12:10
国道に合流して200mの所にお遍路さん休憩所ができていた。昨年はなかったと思う。でも、ぼくの休憩所はもう300m先にある。十夜ヶ橋まで13km、と書いてあるけれど本当は14kmはある。あと2時間半、休憩時間を入れると3時までに宿に入ることはできないだろう。


 12:13
昨年より3分遅れでぼくの休憩所に到着した。撮影のロスタイムもあり、この暑さで、動きも良くなかった割にはいいタイムだといえるだろう。時速はちょうど6km。
18分の休憩、きりよく12時30分に発つ。


 12:40 鳥坂トンネル 1117m
鳥坂峠は登り口からの標高差は170m、今日登ってきた歯長峠のトンネルの方より低いけれど、4年前に登ったとき、すごく苦労した覚えがある。時間は5分くらいしか余分にかからないけれど、1回で充分という感じになった。でも、トンネルには歩道はないし、相当長いし、交通量も多いし、トンネルの手前の部分にも歩道がなくて(現在工事中、来年にはできているかも)危険なので、峠道を登る方が賢明であろうとは思う。


 12:51
11分でトンネルを通過、こういう日には涼しくて歩きやすいという利点はある。


 12:52
トンネルを抜けると、そこは大洲市。大洲の名物は大洲城、鵜飼、冨士山のツツジ。


 12:52
トンネルを出たところに電話ボックスがあったので、今日の宿、ふるさと旅館に連絡する。予約は3日前にしたけれど、その時に携帯を持っていないと言ったら、心配なので当日にもう一度連絡するよういわれていた。それくらい、当日キャンセルや連絡なしのキャンセルが多いということなのだと思う、キャンセルしなくても宿に着くのが6時を過ぎるような人も珍しくないようだ。多くのそういう人のおかげで、携帯を持っていないぼくたちが迷惑する。携帯を持っていないと言ったら、危うく断られそうになったこともあった。それくらいお遍路は信用されていないし、信用されないような行動をするお遍路が多い。
ついでに3日後の宿、コスタブランカと、4日後の敷島旅館に予約を入れる。


 13:27
トンネルの出口から3.1kmのポケットパーク札掛、標高差180mを一気に下ってきた、時速にすると7.1km、いくら下りとはいえあり得ない速さ。山道の下りとは違って余裕さえあれば安心してスピードを乗せることができる。


 13:56
国道が平地に落ち着く所で、へんろ道は国道を離れ右折、川を渡ってすぐの所に北只郵便局がある。ここがタイムチェックポイント、何とか例年と同じ、この暑さの中でも下りを生かすことができたようだ。


 13:58
 行く手正面に大洲のシンボル冨士山が見えてくる。10日ぐらい早ければ山頂のピンクはもっと鮮やかだったかもしれない。でも、つつじ祭りはまだ開催中のようだ。


 14:12
歯長峠から下りてきたときに見た肱川に、5時間ぶりに再会。橋を渡れば大洲の町並みだ。


 14:19
初めておはなはん通りに入る。というのも、へんろ道はこの通りの1本東の筋になる。この通りがあることは知っていたけれど、ただへんろ道から外れないようにシールだけを目指して歩いていたので気がつかなかった。今回は撮影のために意識的にこの通りを目指して大洲の街に入ったので、なんなく見つけることができた。


 14:19
大洲では今なお、おはなはんは生きている。でも、このテレビ小説を知っている人というのは50代以上の人に限られるし、もう43年も前のことだから記憶も相当薄れてしまった人がほとんどだろう。この解説板には、はっきりはなは大洲に生まれ育ったと書いているし、確かにテレビではそうだったのだけれど、帰ってから調べてみると、驚いたことに、原作でははなの故郷は徳島だった。テレビでも当初は徳島で撮る予定だったのが、徳島市が撮影に協力的でなかったので、大洲になったという。徳島で撮影が行われていたら、おはなはん通りは存在しなかったに違いない。


 14:23
郵便局から2.8kmを27分で到着、すごく速いというわけではないけれど例年と同タイム。平地になっても調子は落ちていない。おはなはん通りを行くと少し遠回りになるし撮影のロスタイムもあるから、今までのベストといってもいい。橋のたもとにちょっとした休憩所があるので一休みしようとしたら、夫婦遍路さんが休んでいた。詰めて貰って並んで休む。ご夫妻は大洲駅の近くの宿に泊まるけれど、時間が早いのでここで時間調整しているという、今日は宇和町の宿から来たようだ。19kmくらいだからこの時間に着いてしまう。そういえば、明石寺から歩きの人に会うのは初めてだった。明石寺までに追い抜いた6人の人たちはここまで来られるのだろうか。
9分の休憩で発つ。


 14:33
肱川橋から見た大洲城、こちらから見るとあの裏側に昨年お世話になった大洲郷土館ユースホステルがある。もう一度泊まりたい宿、故に来年は泊まる予定。


 14:50
例によって菓子パン3つと、袋菓子(いもけんぴとかりんとう)2つを購入。これで明日の15時まで動く、これだけ暑いのに飲料は買わない。18日で5回しか買っていない、我慢するのにも慣れてしまったのだろうか。


 15:11
大洲で一番新しく立派な大洲プラザホテル、でも、お遍路割引もしてくれる。それでも普通の遍路宿より幾分高い。


 15:15 十夜ヶ橋
肱川橋から4.1kmを37分、時速6.6km。自分でも、この暑さの中40km以上歩いてきてこのスピードが出るのはちょっと信じられない感じもする。


 15:28 ふるさと旅館
45km歩いて、札所が3つ、それで3時半はできすぎという感じ。しかも、今日の大洲の気温は31.3℃、久万高原に次いで県内2番目の高さを記録した。これで例年並み、それ以上の歩きができたというのは、ちょっと信じられない。水、塩分、栄養の摂り方が偶然うまくいったのかもしれない。あくまで偶然、意識しても理想的な補給ができることはあまりないと思う。
 ふるさと旅館は2年ぶり5度目の投宿、昨年は別格7番金山出石寺に行ったので泊まれなかった。この時間なのにお風呂の用意ができている、こういう日にすぐお風呂に入れるというのは何よりありがたいこと。2年前まで洗濯は有料だったけど、無料になっていた。乾燥は有料のまま。素泊まり4000円、この宿の良いところは部屋が広くて隣の音が全く気にならないこと、5回とも本当に静かに休むことができた。風呂にすぐ入れて静かに休めれば言うことない。

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