WALKER’S 

歩く男の日日

早稲田摂陵高等学校ウィンドバンド 第57回定期演奏会

2016-02-21 | 演奏会

第1部 若草山のファンファーレ    酒井格
    中国の不思議な役人      バルトーク
    クラリネット小協奏曲     ウェーバー
    カレリア組曲より行進曲風に  シベリウス
    ダッタン人の踊り       ボロディン
第2部 ゲストステージ Brass Band H.B.B.
     雷鳴が轟くとき       クーパー
     ファイアーインザブラッド  クーパー
第3部 ブリリアントルビー2003  杉本幸一
    フローレンティナー行進曲   フチーク
    サンブルエミューズ連隊    ラウスキー
    アンパリトロカ        テキシドール
    ダンス・ダンス・ダンス
アンコール
 合唱 
        サッカーによせて
        おんがく
      ステージマーチングショー   
 
            東京キッド
            お祭りマンボ
            真っ赤な太陽
            愛燦々
            河の流れのように
         グッドフェローシップマーチ

 パンフレットをもらって受け付けを抜けると、正面の階段を上がったところに阪急少年音楽隊の色あせた歴史の重みを感じさせるマーチングの先頭を飾る横断幕が飾られていました。階段の下、左手には阪急ウィンドバンドと向陽台ハイスクールの横断幕。名前は早稲田ではあるけれど、阪急の演奏会であることには違いありません。回数にもその歴史が受け継がれていることがはっきりとみてとれます。阪急ウィンドバンドから向陽台高校に変わる年が1期生が定年退職された年、つまり第43回、14年前のことでした。2部のゲスト,H.B.B.は阪急少年音楽隊のOBを中心に98年に結成されたブリティッシュスタイルの金管バンドです。阪急ボーイズバンドの頭文字であることはいうまでもありません。
 ぼくの座席は最前列の31番、目の前3mのところにチューバがいます。チューバは6人で前列と後列のちょうど中間です。昨年チューバのことをすごくほめたからこの座席が当たったのかというくらいこれ以上ないBASSの指定席です。チューバも昨年に劣らずきれいにまとまっていて良かったのですが、今回はその後ろにいたコントラバスの2人に終始釘付けになってしまいました。なにせ、吹奏楽の演奏会でコントラバスの音を直に聞くことなど滅多にない。ほとんどチュ-バやバスパートとユニゾンで遠くでは埋もれがちになってしまう。
 ダッタン人の出だしではまるでずっとソロのようでした。チュ-バは休みで、コントラバスももう一人は休みなのですがユニゾンで吹いているほかのパートがあるにもかかわらず、ぼくの耳にはコントラバスだけ。
 プログラムの最後のメドレーの中で出てくるボレロでもずっとソロのようでした。メロディーのソロより目立っている。ボレロといえばスネアドラムのソロが最初から最後まで同じことを繰り返していて、その表情だけをとらえ続けた映画なども作られたくらいですが、その映画を見るようにコントラバスの音を楽しむことができました。その他の曲でチューバが全員同じ音を奏しているときにアルコの音もきっちり聞こえることがあってそれは感動的でした。
 もっと感動的だったのは、アンコールの最後で笑みを浮かべながら演奏していたことです。コントラバスは口を使わないから笑いながら奏することも不可能ではないのですが、チューバの方を見るとチューバも笑いながら吹いていました、隣と顔を見合わせながら身体を揺すりながら笑っています。こんなに楽しいことはないというように身体全体で表現しています。この曲は友情という曲であり阪急のテーマソングの一つであり、曲の途中で歓声が上がるところもありそういう風にしようという決まりがあるのかもしれないけれど、本当にすごいと呆気にとられる思いで見ていました。年間50回近い本番ステージをこなし、そのための厳しい練習を3年間続けてきた彼女たちだからこそできる本物の笑顔なのだと、こちらは涙がこぼれそうになりました。

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