WALKER’S 

歩く男の日日

坊っちゃん

2016-02-12 | 日記

 録画した映画は、それだけで安心してしまってあまり見返すということはないのですが、少し前に録画した「坊っちゃん」(1953年)はそんなに間を空けずきっちり鑑賞しました。というのも二宮君が演じたドラマがたいそう痛快でおもしろかったので比べてみたくなったのです。ぼくが原作を読んだのは40年以上前のことで後半の展開はあやふやになっているのですが、ドラマでは原作と違ってマドンナとうらなりの関係がやや脚色されていたようです。でもむしろすっきりして後口の良い仕上がりで納得できます。
 63年前の坊っちゃんは池部良、赤シャツは森繁久弥、山嵐は小沢栄(太郎)、マドンナは岡田茉莉子。映画は古いし原作はさらに古い時代ではあるけれど、やっぱり胸のすく痛快さがあります。一つ気になったのは赤シャツが家でベートーベンの田園やドボルザークのユモレスクを蓄音機で聞いてうんちくをたれるところ。この時代に蓄音機があったろうかと首を傾げました。見終わってから調べてみると、漱石が松山で先生をしていたときには円盤形のレコードは発明されていたものの、日本に輸入され始めたのは10年以上先のことだったようです。少なくとも松山では聴けなかったようです。とはいっても小説であり映画なので時代設定は自由だから全く不自然なことはありませんが。
 坊っちゃんは5回映画化されていて、35年、53年、58年=坊っちゃん(南原伸二)、マドンナ(有馬稲子)、赤シャツ(トニー谷)。66年=坊っちゃん(坂本九)、マドンナ(加賀まりこ)、赤シャツ(牟田悌三)、山嵐(三波伸介)。77年=坊っちゃん(中村雅俊)、マドンナ(松坂慶子)、赤シャツ(米倉斎加年)、山嵐(地井武夫)。
 それぞれなかなかのキャスティングです。