万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

扶養義務は生活保護に優先する―甘い給付審査

2012年05月19日 16時07分41秒 | 日本政治
河本母、報道に驚き生活保護辞退していた(日刊スポーツ) - goo ニュース
 経済の6重苦に加えて、東日本大震災の影響もあり、日本国の生活保護受給者の数は、毎月のように最高記録を更新しています。政府も、ようやく重い腰をあげてこの問題に取り組み始めましたが、生活保護の審査方法にも、増加の原因がありそうです。

 生活保護制度の審査の甘さが露呈する切っ掛けとなったのは、高額の所得を得ている芸能関係者の母親が、生活保護を受給していた事件でした。日本国の民法では、親子や兄弟間における扶養義務を定めており、扶養能力のある親族が存在する場合、本来、受給対象となるはずはありません。この事件のように、親と子の一親等の間柄でありながら、受給資格が認められたとしますと、不正受給であるか、または、審査の抜け道があったとしか考えられないのです。厚生労働省のHP上の説明では、親族の扶養義務が生活保護に優先される、とのことであり、申請に際しての調査にも「扶養義務者による扶養(仕送り等の援助)の可否の調査」という項目を設けています。

 外国人の受給者が急増する背景にも、本国における扶養義務者の調査確認が困難という事情があり、不正受給問題と同じく政治問題化しています。日本国は財政危機にあり、国民負担も増加する一方なのですから、政府は、国民から集めた税金が適正に使われるよう、給付認定に際しての審査は厳格化すべきではないかと思うのです。

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2 コメント

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Unknown (ねむ太)
2012-05-20 06:54:04
おはようございます。生活保護受給者の増加の問題は、デフレ対策を怠って経済成長を諦め、成長戦略が無いままに株主が優先された結果、雇用が不安定になって低所得者が増えたことと物事の表面だけしか見ない馬鹿な連中が可哀相だからと集団で生活保護を支給しろと迫り、その中心にいた頭の軽い無能な馬鹿を内閣参与に据えた民主党と労組が問題を拡大させたのでしょう。
この問題は根本的な所から考え直し正常な状態に戻す必要があります。
野田とか云うアホな奴が税と社会保障の一体改革などと寝言を言って笑わせてくれますが、一方では高齢者と若者、社会的弱者と健常な人々の間に深刻な対立を作り出しています。
年金より生活保護が給付額が多いから老人は生活保護に乗り換えるなどと煽っていますが、そもそも、議論の最初からおかしいのです。
年金は定年まで30年~40年勤め退職金や貯蓄があることを前提に設計されています。
生活保護は基本的に病気で働けない者や一部の高齢者で蓄えがなく身寄りもない人々を救済するために制度化されたのですから金額が違ってて当然です。
今、与党が言っている事の異常さは、国民全部が大学を出てサラリーマンになるという前提のもと経済成長もしない、出生率も増えない・・・最初から全てを諦めた上での議論で結論は消費税増税ありき・・・こんな頭を使うことも知らず教科書に書いてあることしか理解できない馬鹿を生み出すために多額の税金を大学に投入しているのでしょうか。
(これこそ無駄の極みだと思います)
昔は、手に職をつける、と言う言葉がありました。
職人が一定の割合でいて定年もなく死ぬまで現役で働き若者に仕事を教え育成する役割を担っていたのです。
国を維持するためには農林水産業から土木建築、学術・研究者、政治家など国民全てが大切な役割を担っています。
政治の役割は国民が安心して自分の仕事に邁進出来るように経済対策をすることです。
また、過疎化が進む地方都市や限界集落にも適切な処置を施し人々が暮らしやすい環境を整備し都市部に人口が集中しないようにする事が少子化対策に有効ではないでしょうか。
生活保護を始め社会保障費の増大を抑える為に、政治家は、もっと真面目に仕事しなさい、頭を使いなさいが結論になりそうです。
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ねむ太さま (kuranishi masako)
2012-05-20 08:22:09
 コメントをいただきまして、ありがとうございました。
 生活保護の問題のみならず、民主党政権の基本的な解決方法は、”お金を配る”ではないかと思うのです。知恵を絞って、低予算で同程度の政策効果を上げるとか、新たな手法を導入することで合理化と効率化を図る、といった頭脳を使った仕事ができず、ひたすらに”お金”で解決しようとするから、財政規模が拡大の一途を辿り、国民負担も増加するのではないでしょうか。政治家が目指すべきは、”国民の負担軽減”であり、この目的を第一に考えて政策を立案すべきと思うのです。
返信する

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