万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

EU財政危機―国債発行額に新基準を

2012年05月26日 15時45分16秒 | その他
EU首脳会議 ギリシャ残留を要求 域内の投資促進(産経新聞) - goo ニュース
 EU財政危機の発端は、ギリシャ政府による放漫な財政運営にありますが、ユーロ導入が、国債発行額の増加を促したことは否めません。ドラクマよりも、ユーロの方が遥かに国債発行には有利なのですから。

 そもそも、この問題は、ギリシャ政府が、自国の経済規模では返済不能なほど、国債を発行したことに起因しています。他の南欧諸国も同様の問題を抱えていますが、今後、このような問題が再発しないためにも、国債発行額に、新たな基準を設けてはどうかと思うのです。現行の財政規律では、(1)赤字国債がGDPの3%を超えないこと(2)累積政府債務の対GDP比が、参考値(60%)を超えないことが定められています。しかしながら、これらの対GDP基準では、財政規律としては間接的で効果は限られていますし、政府支出の削減はGDPの低下を招き、財政規律の維持がさらに困難となる状況に追い込まれます。そこで、新たに、税収に対する基準を設けるとしますと、より直接的な国債発行抑制効果が期待できます。税収額の方が、政府の返済能力をより正確に示すからです。

 ユーロ導入国では、中央銀行による加盟国国債の直接引き受けは禁じられていますので、導入国は、財政の健全性を保つ必要があります。制裁強化という方法もありますが、基準の見直しも一案なのではないかと思うのです。

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コメント (2)
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