万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

財政緊縮というより財政スリム化を

2012年05月21日 15時33分14秒 | 国際政治
G8閉幕 緊縮疲れ、どう成長(産経新聞) - goo ニュース
 ギリシャをはじめ、EU加盟諸国では、政府の財政緊縮策に対する国民世論の反発は、相当に根強いと報じられています。フランスの大統領選挙におけるオランド氏の当選の背景にも、国民の”緊縮疲れ”がありました。

 ”緊縮”という言葉には、経済活動を縮小させてしまうといった、負のイメージがあります。政府支出が減り、公務員数も減少すれば、GDPの低下と失業の増加が予測されるからです。しかしながら、国債の増発という手段で財政規模を拡大させたところで、財政危機が解決するはずもなく、デフォルトやユーロからの離脱の可能性が高まるに過ぎません。破滅的な展開を回避するためには、国債発行高を極力減らし、財政を均衡させる以外に道はないのですが、国民の多くは、財政緊縮に伴う痛みには耐えられないと、実施する前から、弱音を吐いているのです。それでは、本当に、財政緊縮策は、国民に耐えがたい痛みを与えるのでしょうか。これは、そうとばかりは、言えないのではないかと思うのです。何故ならば、民間企業にあっても、コスト削減や効率化を徹底すれば、事業パフォーマンスも財務状況も向上するように、政府もまた、メタボ状態からスリム化を図ることで、行政サービスを低下させることなく、財政状況を改善することができるからです。ギリシャのように公務員数が多い国の場合には、業種によっては民営化の余地があるかもしれず、民間企業の育成と雇用の創出に務めれば、GDPの低下と失業問題の緩和策にもなります。

 経済の活力を引き出す形で、財政スリム化政策を実施すれば、国民の痛みは、軽度に抑えることができるかもしれません。”緊縮”という消極的なイメージではなく、”持続可能”な新たな財政システムの構築過程であると積極的に捉えれば、政府も国民も、知恵が湧いてくるのではないかと思うのです。

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