万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

生活保護は家族同居で受けるべきでは

2012年05月29日 17時27分41秒 | 社会
 高額所得者である芸能人の河本準一氏の母親が生活保護を受けていた事件は、生活保護に関するもう一つの問題を明かすことになりました。それは、家族が、別居して世帯を形成して、それぞれが生活保護の支給を受けるのは、おかしいのではないか、ということです。

 ネット情報によりますと、河本氏の家族で生活保護を受けていたのは、河本氏の母親と姉、並びに、伯母なそうです。母と娘、並びに、姉と妹となりますので、本来、民法第877条に定められた相互に扶養義務を持つ関係となります。しかしながら、河本氏の家族は、世帯を分けていることで、別々に生活保護を受け取っていたそうなのです(生活保護を受けるために、故意に別居するケースもあるらしい…)。民法の730条にも、親族間の扶け合いが記されていますので、本来、これらの人々は、同居して一世帯を形成してもよいはずです。世帯を分けることで、家族の人数分だけ、生活保護費が個別に支給されるとなりますと、財政負担は数倍にも膨れ上がります。しかも、一般家庭であっても、被扶養者がいる家庭も多く、こうした人々までもが、それぞれが独立した世帯となって生活保護を申請するとなりますと、生活保護費は急増します。近年では、不況の影響もあり、引きこもり状態であったり、卒業後に就職活動を続けている成人を扶養している家庭も増えております。

 民法の規定に照らせば、生活保護を受ける場合には、少なくとも、扶養義務がある家族同士は同居し、家族を単位に支給すべきなのではないでしょうか。現状では、一般の家庭では、当然のこととして、親が、成人後であっても子を扶養していますが、この問題を見過ごしますと、将来的には、財政破綻に繋がるほどの受給者の増加が予測されると思うのです(既に、若者の間で、生活保護受給者が増加しているとも報じられている…)。

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