万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

民主党の電力会社弱体化政策は中国のため?

2012年05月07日 14時57分09秒 | 日本政治
中国マネー、欧州へ攻勢…温首相は脅威論に反論(読売新聞) - goo ニュース
 ギリシャ発の財政危機は、他のユーロ導入国への波及し、各国とも、財政健全化のためにインフラ事業の民営化に努めているそうです。これをチャンスと見たのが中国であり、公共性の高い事業に、中国マネーが流れ込んでいます。

 ポルトガルでは、政府が保有していた電力事業の最大大手EDP株の21.35%分が、中国の水力系電力会社「中国長江三峡集団」に売却されることが決定されました。イギリスでも、水道事業を手掛けるテムズ・ウォーター株の8.68%を、中国の政府系ファンドが購入しています。日本国では、政府が、国有化に伴い東電株を大量に保有する予定なそうですが、財政状況を考えますと、将来的には売却される公算が高いと予測されます。東電が、自らの収益から自社株買いで政府保有分を回収するとの案もあるものの、政府は、電力会社の弱体化政策政策に邁進していますので、このシナリオ通りに進むとは限りません。財政再建を理由に、中国の政府系ファンドに売却する可能性も否定できないのです。あるいは、政府保有分ではなくとも、市中での電力会社の株価を意図的に下げることで、中国の電力事業者や中国系ファンド…が購入しやすい環境を整えているのかもしれません。

 電力供給事業ともなりますと、その国の産業と国民生活の両者の”生命線”ともなりますので、極めてセンシティヴな領域でもあります。株主権の行使により、エネルギー政策そのものが左右される可能性もあるのですから。”国民の生活が一番”を看板に掲げている民主党政権は、一体、誰のために国家権力を行使しているのでしょうか。

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コメント (2)
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