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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

TPPより破壊的な日中韓FTA

2012年05月13日 15時04分14秒 | 国際経済
日中韓、FTA年内交渉入りで合意…首脳会談(読売新聞) - goo ニュース
 TPPの交渉入りについては、農家のみならず、あらゆる方面から反対の声が上がり、今でも、その先行きは不透明です。一方、日中韓FTAについては、政府は、すんなりと交渉入りで合意したそうですが、大丈夫なのでしょうか。

 日中韓のFTAについては、日本国内にあって、TPP以上に価格破壊が進むことは確かなことです。物価水準の開きが大きいのですから、当然に、日本製品の競争力は、致命的に劣位します。しかも、中国や韓国は”為替操作”を行っておりますので、日本国は、輸出に不利な円高に誘導される可能性もあるのです。これまで、技術力の差によって、日本製品は競争力を維持していきましたが、新聞などの報道によりますと、技術格差は急激に収斂してきているそうですので、価格競争に持ち込まれますと、日本の国内市場は、中韓の製品で溢れかえるかもしれません。農産物のみならず、工業製品においても、日本企業は、守勢に立たされるのです。加えて、野田首相は、FTAに先行して日中韓の投資協定を締結したいそうですが、両国からの投資が増えるとしますと、僅かに残された日本の技術力も、企業の買収や合併によって失われるかもしれません。TPPへの反対者は、何故か、よりリスクの高い日中韓FTAについては、沈黙を続けています。日中韓FTAに、紛争解決の仕組みさえ設けられるのか否かも不明であるにもかかわらず・・・。

 自由貿易協定を締結するに際しては、参加国間の関税状況について正確な情報収集と分析が必要ですが、この点についても、政府は、国民に対する情報提供や説明を怠っています。国内の利害関係者の意見を集約することもなく、野田首相は、北京への旅立ってゆきましたが、準備不足のままに”バスに乗り遅れるな”式に日中韓FTAに飛びつきますと、失敗の上塗りになるのではないかと心配になるのです。

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コメント (3)
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