河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

線維筋痛症の講演会

2010-09-25 | 医学・医療
お彼岸でもありお墓参りに行ってきた。

夜は岡山プラザホテルで第269回岡山県医師会整形外科部会研修会が行われた。

現在、外来で診ている患者さんの一人が線維筋痛症ではないかと疑われるので、この講演を聴きに行ってきた。
それだけでなく、整形外科外来を受診する人のほとんどが「痛み」を訴えて受診するので興味があった。


線維筋痛症、慢性痛症の病態、治療
~診断、薬物治療からリハビリテーションまで~
三木 健司 
尼崎中央病院 整形外科 部長

線維筋痛症に限らず、慢性疼痛疾患の診断には鑑別診断が最も重要である。
中でもリウマチ性脊椎関節炎の鑑別は重要である。

薬物としてはノイロトロピン、抗うつ薬としてルボックス、デプロメール、パキシルなど。
抗てんかん薬のガバペン(ガバペンチン)、リリカ(プレガバリン)などが有効。
しかしどれも有効性はBランクでAランクの薬剤は今のところ存在しない。
イメージ的には抗うつ薬は鈍い痛みに効き、抗てんかん薬はブスッと刺さるような痛みに効く。

デパスは長期に漫然と処方されると疼痛の閾値を下げて返って有害である。

また最近では非癌性疼痛に対するオピオイド治療が有効に使用されるようになってきている。
しかし、依存症のリスクがあり気軽に処方してはいけない。
トラマドールがよい。

慢性痛症の治療にとって必要不可欠なセルフコーピングの手段としてのリハビリテーションを紹介する。
歩行などの軽い運動が有効。水中歩行などがよい。
脳へのアプローチも必要。

認知行動療法
患者の病気に対する「認知」が否定的であることを修正して、いわゆる疼痛行動を減少させるように患者自身が努力するもの。
疼痛行動とは、痛みの存在を周囲に伝える全ての行動。

「痛み」がなくなったら何をしたいか問いかけてみるのもよい。
何もしたいことがないという患者さんの中には痛みとの共存を必要としている人もいる。

うつ病のスクリーニングも必要。

慢性疼痛に悩む患者さんは医療従事者に対して攻撃的になることが多い。
人間観察のつもりで忍耐強く接することが必要。
2年くらいはつきあう覚悟が必要。
しかし、治療に協力が得られない場合は効果が期待できないので毅然とした態度を示すことも必要。


関連学会
国際疼痛学会
日本運動器疼痛研究会
コメント
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