河村顕治研究室

健康寿命を延伸するリハビリテーション先端科学研究に取り組む研究室

アメリカで経験した阪神大震災

2010-01-17 | 旅行記
15年前の今日、私はアメリカ東海岸メリーランド、ボルチモア郊外にあるボニーリッジというアパートに住んでいた。
治安に関しては殺人事件など毎日のように起こる全米ワーストワンのボルチモアだが、ボニーリッジは閑静で治安の良いアパートで、日本人留学生が多く住んでいた。

その前年の年末にホームパーティーに招待されたアメリカ在住の日本人ドクターから突然電話がかかってきた。
その方はアメリカ人の奥さんと結婚してもう何年も日本には帰っていないという方だった。
少しイントネーションが怪しくなった日本語で、

「ドクターカワムラ、神戸でビッグアースクエイクが起きたらしいですよ。確かあなたの出身の岡山は神戸に近いでしょう。CNNでニュースをしていますから見てください。」

いったい何事かとすぐにケーブルテレビを見ると、地震後の火災の煙が上がる神戸が映ったのである。
にわかには信じられない光景であった。
これが私の阪神大震災だった。

両親の住む愛媛は神戸からだいぶ離れているから大丈夫だろうとは思ったが、念のため電話で無事を確認した。

その後、春に帰国して出会ったほとんどの方から阪神大震災の時の混乱ぶりを聞かされた。

震災そのものは何とか生き抜いた人でも、その後怪我がもとで命を失った方もたくさんいたのだが、それまではあまり知られていなかった、「クラッシュシンドローム(挫滅症候群)」が原因だと聞いた。
挫滅した細胞から血中に流れ出たカリウムやミオグロビンが腎臓を傷害して死に至るものである。
当時はあまりに患者が多すぎて透析などできなかったらしい。

自分が勤めている病院の日常診療と、医療ボランティアの参加とで、どちらを選択するか板挟み状態になって苦しんだ友人もいた。

しばらくして、震災後の神戸に行くことがあって、そのすさまじさを実際に見てきた。

人の営みなど自然の猛威の前では全く取るに足らないものだということを実感した。

あれから15年が経つ。
改めて被害に遭われた方のご冥福を祈ります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする