結婚式 3 写真の撮影

カンボジアから   金森正臣(2006.01.7.)

結婚式 3 写真の撮影

写真:結婚の記念撮影。幾組ものカップルが、カメラマンに連れられて公園や川岸の風景の良いところに繰り出す。そこでそれぞれのカップルが、幾枚もの記念撮影をしている。美容師さんも同行して、花嫁さんの髪を直したりしている。

 カンボジアの結婚式では、写真記録を残すことが大きな目的の様だ。カメラマンを数人も雇い、記録ビデオも撮影する。それだけでは足りずに、当日以外にも結婚衣装を付けて野外に出て記念撮影をする。

 撮影場所までは、車で数組が乗ってくる。この車にも飾りがしてあり、車の周辺でも撮影が行われる。

 数年前には、まれにしか見られない光景であったが、現在では結構頻繁に見られる。それだけ生活が安定して、余裕が出てきたのであろう。戦争に明け暮れ、自由に結婚も出来なかった親の世代からすれば、子どもの幸福そうな姿を残しておきたいのであろう。

 地方で行われる結婚式は、プノンペンの様に1日では終わらない。昔は数日間も宴会が続いたと言うが、現在でも3日間ぐらいはするらしい。この間写真も同じように撮りまくるので、膨大な数になる。
 新婚さんは、奥さんの家で暮らす例が多い。やがて資金が貯まると、独立した家を持てる様になる。農家などでは、それまで婿さんが奥さんの家で仕事を手伝う。独立せずに、家を娘さんが引き継いでいる例も少なくない。

 平和になったのを楽しむ気持ちは理解できるが、もう少し有効な使い方はないものかとも思う。路上生活者でも、子どもにアイスキャンデーを買っていたり、葬式がむやみに派手だったりすると、もう少し合理的思考が必要かと思ったりする。でも平均寿命も短く(50歳前後)、今の一時を楽しむのは彼らの文化かも知れない。老後の心配などをするのは、妙に寿命が延びた国の、全く別の思考過程であろうか。
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結婚式 2 贈り物を届ける行列

カンボジアから   金森正臣(2006.01.7.)

結婚式 2 贈り物を届ける行列

写真:結婚式が行われる家に、贈り物を持って繰り込む行列。早朝6時頃に行われ、200―300人規模の行列になることもある。友人・知人親戚などが並ぶ。行列の前方は何が並ぶか良く分からないが、最後尾の方には野菜や果物、生の子ブタの半身をお盆に載せた物が続く。結婚生活の食料が困らない様に願いが込められているらしい。

 カンボジアの結婚式には、朝早くのセレモニーがある。4時半頃から音楽が大音響のスピーカーで流されて事が始まる。隣近所迷惑はこの上もないが、一向に気にかけない。隣近所は、特に親しくでもない限り招待していない様だ。それでも誰も文句は言わない。新しい家族が増えることを、周囲に知らせる意味もある様に思われる。
 道路は封鎖されて前夜からテントが設営されている。入り口には果実の付いたバナナの木(本当はバナナは草である)が、金色と銀色に塗られて左右に立てられる。そのゲートの上には、新郎新婦の写真が掲げられていることが多い。
 まだ薄暗い5時半頃から贈り物の行列ができはじめて、道路沿いにどんどん長くなって行く。6時前後から行列が少しずつ動きだし、家の中に入り始める。入り口で挨拶して、中に入って贈り物を渡すらしい。延々と1時間以上も続くことも希ではない。贈り物を届けた人は、一旦家に帰るらしく、宴会は夕方から行われることが多い。この贈り物の行列もカメラマン氏によって、丹念に撮影されている。参加した全ての人の写真を撮るのが、カメラマン氏の役割らしい。ビデオと合わせて、数人のカメラマンが雇われていることもある。

 結婚式の規模は、この行列の長さやカメラマンの数で理解できる。お金持ちの家では大規模になり、貧しい家ではこの様な儀式は行われないこともある。
でも結婚式にお金をかけて盛大にやると、幸福になれるわけでもないのは日本と同じ。神様や仏様は正しく、貧しき者にも富める者にも等しく機会をお与え下さる。世の中は巧くできている。

 宴会は夕方から行われ、およその時間が決まっているだけで、特に皆が集まってセレモニーがあるわけではない。入り口には新郎新婦が待っていて、来たゲストに対して挨拶をする。ここでもカメラマン氏は、全てのゲストを漏らさず撮影しなくてはならない。1つのテーブルに10個程度のイスが準備されており、来た順にテーブルに着く。テーブルが満席になると料理が運ばれてきて、テーブル毎に宴会が始まる。新郎新婦が時々回ってきて皆に挨拶する。勿論親しい友人同士が集まって一つのテーブルに着くことも多い。飲み食いが十分に達せられると、そのテーブルから順次帰って行く。

 料理は、テントの脇の歩道上に特設の調理場がセットされ、そこで作られる。だいたい専門の業者がいて、大きな鍋やかまど、イス、テーブルなど一揃いをトラックに積んでくる。昔日本の農村でも見かけた直径1メートルは超す浅いすり鉢状の大鍋、ドラム缶を切ったかまどが一般的である。
 前菜として数種類の摘み類が出され、その後に現場で調理されてものが提供される。摘み類は、ピーナツやカシュウナッツ、ソーセージ、ビーフジャーキーなどが一般的である。その後に、魚などの焼いたもの、野菜と肉の炒め物、煮物、スープなどが組み合わされて出される。一定の方式がある様で、だいたい何処でも同じ様な感じになる。終わり近くなってスープの出る頃には、ご飯も出る。

 音楽が流されて、踊りの輪ができることもある。カンボジアの人達は、男も女も踊るのが大好きで、踊り始めるとなかなか止まらない。正月のお寺参りの折にも、お寺の中で音楽が準備されていて、踊りの輪ができることも多い。日本の盆踊りの様に、一つのパターンがあり、これが繰り返し踊られる。地方によって多少相違はある様だが、基本的には共通の3-4のパターンが踊られることが多い。男女の踊りはやや異なっており、向かい合いになったり、交互になったりして踊る。
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