はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

なぜ「寡黙」に?

2016-10-29 10:22:11 | はがき随筆
 毎日欠かさず見てきた「とと姉ちゃん」もついに終了した。戦後の生活の変遷は当時が思い出され懐かしかった。焦土と化した廃墟暮らしの中から、消費者目線で、安くて良い物を追及し続けた情念は、ついには世界一のものづくり大国への一助をなすまでに至った。この気概や戦争への反省は、現在でも決して忘れてはならないことだ。
 疑問を投げかけて締めくくりだと思う。広島に取材に行ったとき「寡黙」な人たちに直面したくだりだ。「なぜ寡黙に?」。実は鹿屋の特攻基地取材でも住民の「寡黙」に出会ったとの本(知覧の誕生)もあるのだ。
  鹿屋市 小竹幸雄 2016/10/29 毎日新聞鹿児島版掲載

古い畳と古女房

2016-10-29 10:14:40 | はがき随筆
 大工仕事は本職なみの夫である。しかし古女房がイライラするくらい無駄なこだわりを持っている。和室を洋間にリフォームすることにした。本職に依頼せず夫がすべて施工した。不用になった畳はゴミに捨てるのだが、夫が玄関の横に立て掛けてパンパンと棒でたたき、雑巾がけまでしている「バカじゃないの」と言いたかったが、堪忍袋の緒をしっかり引きしめて見ていた。翌朝ゴミ収集車がピカピカの古い畳をガリガリと木端みじんに切り刻んで収集していった。古い畳と同じように古女房も大事に思っているのかとジロリと夫の顔を横眼で見た。
  出水市 古井みきえ 2016/10/28 毎日新聞鹿児島版掲載