はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

古い畳と古女房

2016-10-29 10:14:40 | はがき随筆
 大工仕事は本職なみの夫である。しかし古女房がイライラするくらい無駄なこだわりを持っている。和室を洋間にリフォームすることにした。本職に依頼せず夫がすべて施工した。不用になった畳はゴミに捨てるのだが、夫が玄関の横に立て掛けてパンパンと棒でたたき、雑巾がけまでしている「バカじゃないの」と言いたかったが、堪忍袋の緒をしっかり引きしめて見ていた。翌朝ゴミ収集車がピカピカの古い畳をガリガリと木端みじんに切り刻んで収集していった。古い畳と同じように古女房も大事に思っているのかとジロリと夫の顔を横眼で見た。
  出水市 古井みきえ 2016/10/28 毎日新聞鹿児島版掲載

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3 コメント

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面食いで寡黙 (コメンツのイケメン)
2016-10-30 08:09:01
みきえさんの御主人様は・・・・。


スタイルといい顔といい日活のスター以上なんです。


まかり間違えば大スターになっておられたイケメンなんです。


そして、男らしい寡黙な方なんです。


みきえさんは「面食い」だから南国育ちなのにワザワザはるか北の札幌まで嫁に行かれたのだと確信します。


御主人が拙宅に来られた時、私の女房が「みきえさんの御主人と結婚すれば良かったぁ」とツブヤキました。


私の女房も「面食い」だったのかぁぁぁ・・・と思い知らされショックを受けました。

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人生の機微 (広島県 田丸)
2016-10-30 10:46:58
 古畳は長年踏みつけられて可愛そう。でも人間に、いつも柔らかさとやさしさと心地よさを与えてくれます。そして、夏は涼しく、冬には温かさをくれます。

 そんな畳に感謝して、お別れに際し、ほこりを払い、雑巾できれいに拭いて「ご苦労でした。有難う。」と送り出したのだと思います。そこに、ご主人の人となりや優しさを感じ取ることが出来ます。

 そんなご主人ですから、古女房といえど大切に思っているはず。

 古女房という言葉にはながい長い時間と歴史があります。ちよっつとやそっつとで使える言葉ではありません。

 私事で恐縮ですが、私の女房もずいぶん古くなりましたが大切に思っています。思っていてもなかなか表現できなくて、反対の言動をとることが度々あります。
 世の女房族の皆さま、とかく夫族は不器用です。そこのところお汲み取りいただきまして、手綱を締めたり緩めたりで宜しくお願いいたします。



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いいご主人ですね (hitareri)
2016-10-30 11:14:32
ふっふっ~思わず笑みがこぼれる記事です。
ずっと使っていた畳を大事に最後まで取り扱っているご主人って、とってもかわいいですね(失礼)
身の回りの物を大切にする人は、身近な人もきっと大切にしてますよ。
みきえさんのご主人って素敵な方なのですね・・
よかったですね。いいご主人に出会えて~
でも業者に頼らず、自宅の和室を洋室にリフォームって
すごい話です。それだけの腕をお持ちだから「職人気質」なのですね・・
いいお話を読ませていただき、心がほっこりしました。
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