はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

はがき随筆9月度

2016-10-19 17:22:37 | 受賞作品
 はがき随筆の9月度月間賞は次の皆さんです。

 【優秀作】21日「義母」伊尻清子=出水市武本
 【佳作】10日「遠い南の空」新屋正興=曽於市大隅町
 【佳作】25日「ざんげ」清水昌子=出水市明神町

「義母」は、94歳で亡くなった義母への追悼が内容になっています。夫に戦死された後、田畑を守り、子供を育て上げ、孫に優しかったその生きざまが、毎日一輪車を押して田畑に向かう後ろ姿に象徴されている文章です。戦争は政治家が始めて庶民が犠牲になるといいますが、70年間というその影響には考えさせられます。
 「遠い南の空」は、ニュージランド留学しているお孫さんが、滞在先のご主人の早逝に出会った。その体験にどのように対処しただろうかと、遠くから心配になっているという内容です。昨今肉親の不幸にもなかなか出会わない実情から考えれば、貴重な体験になるかもしれません。
 「ざんげ」は、肉親へのしつけの難しさが軽い後悔とともに描かれています。遊びに来た孫をかき氷を食べに連れていったら、オマケにおもちゃを一つずつもらった。ところが彼は二つも取ってきた。すかさずおじいさんはそれを注意したが、自分は見て見ぬふりをしてしまった。あの孟子でさえ、自分の子の教育は他人に頼んだといいますから、難しいものです。
 この他に3編を紹介します。
 種子田真理さんの「Tさんに大感謝」は、随筆や川柳などでご活躍のTさんに、映画についての情報を教えてもらったことへの感謝の内容です。単なる連絡や告知板では困りますが、随筆仲間の横の広がりは貴重なものだと思います。
 山下留美さんの「富士登山」は、山の日も設定されて、家族で挑戦した富士登山の印象記です。多い日の登山者は7000人を超えるというが、その目的はそれぞれ異なるとしても、それぞれの吐く息は富士の裾野に漂っているだろうという印象が興味深い。よほど大変だったのでしょう。
 永野町子さんの「夕顔」は、夕闇の中で一瞬にして咲く夕顔が、今年は猛暑のせいかなかなか咲かない。それが9月になって咲きはしたが、一瞬ではなく、「徐々に渾身の力」で咲いた。夕顔への愛情が表れている文章です。地球温暖化も心配です。
鹿児島大学名誉教授 石田忠彦

脊柱管狭窄症

2016-10-19 16:37:48 | はがき随筆
 今、普通に歩ける事に感謝している。2年前、ウオーキングで左足の違和感を覚え、まもなく歩く事が困難になり腰痛がひどくなった。脊柱管狭窄症と診断され、手術以外治る方法はないといわれ途方に暮れた。痛み止め薬で激痛に耐え手術を避けた。いざりながら家事をこなしてスラックスは何枚も破けた。歳月がたつうち痛みが少し和らぎ薬を減量した。リハビリに足、腰に負担をかけないように自転車を使った。これがよかったのか歩けるようになった。この間、夫の優しさ、周りの人の助けはうれしかった。身障者への援助を痛切に感じた。
  出水市 年神貞子 2016/10/19 毎日新聞鹿児島版掲載